薬物耐性という無能なスキルを盾に、俺は秘薬を飲みまくった
「は?薬物耐性」
「この者のスキルは薬物耐性です」
他のクラスメイトが、勇者や剣聖や賢者やら、いいスキルをもらっている中、俺は薬物耐性、ただ一つだけ。
よし、違法薬物を大量に飲むぞー、どんどん持ってこーい。
「いらんな」
えっ!?
そこは、適当に違法薬物摂取して、きえぇええええええええ!!ってなるところじゃないの。
あるでしょ、何か、ほら。
能力を底上げするヤバいドラックさんが。
トラックに轢かれるぐらいに効果のあるドラックが。
チョン。
王城を追い出されました。
にょほほほーー。
僕は、これから、どうすればいいのでしょうか。
「テンピオ教団のものです」
はーい、ついていきまーす。
怪しげな教団に入りまーす。
僕はね、うん、どうやら、敵対勢力のようなのですよ。
気にするな、僕は悪の権化になるんだ。
悪の組織の一員になるんだ。
「貧民や孤児の救済をする清く正しい教団ですが」
「あ、はい」
ごめんなさい。
僕は行き場を失っていました。
はい、すぐに陰謀論を考える人間です。ごめんなさい。
さて、孤児院で美少女とキャッキャウフフですよね。
ん、畑仕事、木材。
うん、はいはい、労働ですね。
チート欲しーい。
しかし、ダダをこねても何も出なかった。
「ここは、かつての聖女様を信仰している教団なんだ」
数ヶ月が経ったあと、教団関係者が言う。
どうも、魔王の呪いで、聖属性魔法が弱体化してしまったらしい。
ああ、可哀想に。
それで、この小さな教団にまで支持者が減ったと。
でも、僕のスキルは薬物耐性なんだ。呪いを解くことはできないんだ。
くそ、聖女に呪いをかけるなら、もっと、くっころな……嘘です。僕、健全なんで。
しかし、まぁ、かつての聖女ならば、ヤバめなクスリのことも知ってるんじゃないかな。
エルクサーのような劇薬を。
「そんなものないけど」
聖女さまぁぁぁぁぁああああああ!!
「あ、でも、知り合いの錬金術師が失敗作がいっぱいあるって」
「よーし、そのアトリエにぶち込んでくる」
あはは、燃えないゴミを処分してやる。
俺の鋼の胃袋でな。
よこせ、謎ドリンクを。
錬金工房に、走っていく。
俺は、強くなるんだ。それで、女にモテまくって、ハーレムを作るんだ。
正直な願いなんだ。
一途なんだ、男の願望に。
「売ってくれ。失敗作を」
「えっと、タダでいいよ。どうせ処分するだけでお金がかかるし」
「よーし、大量に謎ドリンク入手」
飲むぞー。
薬物耐性、バンザイ!!
ほひょひょへへ、クスリが決まってきたぜ。
俺の肉体が、アヴェゴギャベギャ。
痛いって。
薬物への耐性はーー。
おいおい、まさか、スキルを超えていくのか。
どんな劇薬だよ。
『毒薬;効果 死』
おーい、何を飲ませてるんだよ。
ただの毒じゃねーか。
『毒薬;効果 死』
ざけんな。俺を殺す気か。
普通は対価として得るものがあるだろうが。
ほら、もっと、魔物の力を代わりに得るみたいな。
『スキル悪臭 獲得』
いらんわ。
飲む前から臭いがやばいんだよ。
『スキル女体化 獲得』
え、ちょっと待て。
俺のご立派なご立派が。
あ、ちょっと待て。それは、耐性ではじけよ。
にょえええええええ。
はーい、異世界転生して美少女になる系ヒロインでーす。
どう、わたし、可愛い。
「ちょっと臭いが」
「聖女様、ひどい」
「え、だって」
「うえーん、美少女なのに美少女なのに。百合展開にもならない」
「これ、消臭効果のある薬です」
こうして、僕は、いや、わたしは、消臭効果のある秘薬を飲みまくる毎日になるのだった。
 




