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100話目 レンとミクの双子の日常


 にぎやかな春の訪れを告げる桜の彩りも、地球温暖化の進む季節の中で、早くも散っているけど、春は春として、訪れるので、わたしの姉、レンは、授業中でも、春眠暁を覚えず。

 チャイムの音でも、お姉ちゃんの眠りを起こすことはできない。安楽椅子探偵ではなく、安眠学生は、いつも事件を寝過ごす。某小学生も、果報は寝て待てと家の中にいてくれたら、世界はどれほど平和なのだろう。


「エイプリルフールだよ、ミクたん」

「きゃぁっ、びっくりした」


 うつ伏せのまま、カッと見開く目。

 


「起きるなら、普通に起きてよ」

「タヌキ寝入り」

「いや、九割は本眠でしょ」

「嘘と本当は混ぜることで本当味を帯びるのだよ。調味料で誤魔化せば、ほとんどのものがマヨネーズになるように」

「お姉ちゃん、マヨラーになったら、絶交だよ」

「ミクちゃん、今、世界のマヨネーズ愛好家を敵に回したよ」

「そんな狂信者団体は知りません」

「でもさ、マヨネーズよりプロテイン女子の方が人口少なそうじゃない」

「いいえ、健康ブームだから、プロテインは女子の必需品です」

「ミクちゃん、それよりファッションしようよぉ〜。そんなカチッと制服着てると、着痩せするタイプですとか、脱いだら巨乳とかのネタができないよ」

「しません」

「消えたおっぱいの謎」

「教室で、そんな言葉言わないで」

「消えたパイオツの謎」

「……」

「ちょっと黙らないでよ。ごめんって。わたしの脳内選択肢が勝手に、言葉を選択したせいだから」

「一度、脳に電極を刺した方がいいですね」

「ミクちゃん、姉の灰色の脳細胞にメイラード反応を起こさせないでよ」

「ピンクでしょ」

「まぁ、脳みそだからね。で、ミクちゃん、寝起きの謎々は」

「お姉ちゃんは、ナゾナゾを食べて生活でもしてるの」

「文学少女だから」

「文学少女よりピエロです」

「それはピエロのメイクをしてみたいという無意識の願望が」

「わたしの無意識を捏造しないでください」


 わたしは、さっさと単純なナゾナゾを書いて、ルーズリーフを一枚渡す。


『わわお姉たたたちゃわたわたんだわわたたまっわわてたた」


「ミクちゃん手抜き」

「抜くのは、手じゃないです」

「四月一日は、わたぬきと呼ぶけどね。見た瞬間に、ワタに汚染されてるよ」

「綿流し、一名様、ご招待」

「ミクちゃん、くだらない話をしている間に、再び、あの鐘の音が聞こえてきたよ」

「チャイムを不気味な音みたいに言わないでよ」


 わたしは自分の席から一度も立ち上がることなく休み時間を終えてしまった。姉の相手をしていたら。




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