秀雄と佳蓮
午前中の授業も終わりこれから昼食だ。
俺は基本弁当を持ってきているが一緒に食べる相手は結構バラバラだったりする。
理由は秀雄が弁当だったり学食だったりすることと、クラスに数少ない俺の理解者(おっぱい同好会)のヤロー共と一緒に食べることがあったり、事情により菫としぶしぶ二人で食べたりするからだ。
俺と菫が一緒に食う時、それは母ちゃんが主婦業から遁走したときだ。
母ちゃんはよく現世からの逃亡を図る。
そんな時母ちゃんは菫に電話一本で俺の昼飯を依頼する。すると菫はおかず二人分をまとめて容器に入れて持ってくる。だからその日は菫と一緒に食わざるを得なくなる。
大人気者の菫が俺と二人で昼飯を… なんて驚くやつは誰もいない。
俺はおっぱい星人として有名で、菫はそんな可哀そうな頭のいかれた幼馴染の面倒を健気に見てやっている… これが皆の一致する見解となっている。
菫が俺と一緒にいるとみんな通りすがりに
「菫さん… 大変だね、頑張って」
と、いたわりの言葉をかけてくる。しかも悲しげな表情をして…
そんな姿を見ると俺は菫に保護されてようやく生き残っている希少種または絶滅危惧種のように感じる。
さて、今日は誰と食べようかな… そう考えてると後ろから声がかかる。
「泰助、今日は弁当だから一緒に食おう」
秀雄がそう言ってきたので今日は秀雄と二人で食うことになった。
「泰助よ~ あんまり佳蓮をイジメないでやってくれよ…」
昼飯を食い始めて秀雄が最初に言った言葉がそれである。
「俺は別にイジメてるつもりはねーぞ」
「あいつさ、俺に他の女の子が近づかないかって心配ばかりしてるんだよ」
「そんなに気に病むんだったら別れりゃいいじゃん… あいつ馬鹿なの?」
「泰助… そもそも佳蓮と俺を引っ付けたのはお前だぞ」
「分かってるさ… 後悔してるよ…」
俺は哀愁を漂わせながら遠い目をして秀雄に言った。
「後悔してんじゃねーよ! てか、よく俺にそんなこと言えるな…」
結構マジになって怒る秀雄… やんっ、怒った顔も素敵…。
「秀雄も佳蓮がいらなくなったらさっさと捨てた方がいいぞ」
俺がそう言うと秀雄は頭を抱えだした。
「お前は何でそーなんだろうな…」
怒りを通り越してもはや憐みの表情で俺を見る秀雄…
どうした、秀雄… 俺は他人から憐れみを受けるほど困ってることは何もねーぞ。
「んで、佳蓮とはうまくやってんのか?」
「ああ、お前さえいなかったら順風満帆だよ」
そうか… 俺さえいなかったら…
優しそうなイケメンの表情でよく親友の俺に向かってそんなことを言うな…
「取り敢えず上手くいってるんだったらそれでいいじゃん」
「…いや、だからさ…… 泰助に言いたいんだよ。 あんまり引っ掻き回すなって…」
最初は少し怒っていたが、今は呆れて笑い出している。
俺と秀雄が知り合ったころもそんな感じだった。
入学したての1年生、クラスメイトを見ると俺に引けを取らないイケメン君が一人いる。
類は友を呼ぶということで俺は直ぐにこいつと仲良くなろうと思った。
「よう、イケメン 俺は柳瀬泰助。お前の名前は?」
それが俺達親友の始まりだった。
「俺は二条秀雄、よろしくな 柳瀬君」
「泰助でいいよ、俺も名前で呼ぶぞ」
「ああ、そうだな。じゃあ俺のことも秀雄と呼んでくれ」
秀雄は本当にいい人が人間の皮を被って生きているような生物で、俺が何を言ってもちゃんと話を聞いてくれる。たとえそれがおっぱい談義であっても…
俺が理想のおっぱいを語ると真剣な表情でうんうんと頷き、さらに「こんなタイプはどうなの?」といって俺に新しい発見をもたらしてくれた。それ以来、俺の親友はこいつしかいないと思っている。
秀雄は俺がどんなことを言っても軽く笑い流している。最初は「馬鹿にしてんのか?」とも思ったが、どうやら生暖かい目で俺を見守ってくれているようだ。
それに… 秀雄はあまり口に出さないが結構俺の本質を見抜いている。
俺が大げさに言っていることもあいつには見抜かれていると思うことも多い。
だが、秀雄は決してそれを口には出さない。本当にいい奴だ。
顔は本物の美形… 優しさと凛々しさを併せ持った完成形。
あまり近くで秀雄の顔をみていると… つい掘ってしまいたい衝動に駆られる。(キャッ)
流石にそれはやらないが…
そんな感じで俺と秀雄は入学した時から仲がいい。
ただ、完全体に見える秀雄にも少し問題となるところはある。
秀雄は野球でもそのセンスを発揮して物凄い実力を持っている。
特にバッティングセンスは半端じゃない。
奴のスイングを近くで見ているとあまりの速さに驚く。それに空気を切り裂く音が他の人と異なる。
一度練習試合を見ていたが、奴が打った打球は軽くグラウンドを超えて行って学校の敷地外まで飛んでいった。
俺はボールってこんなに飛ぶんだと初めて知った。それにその打球はとんでもない速さだった。
試合が終わって俺は秀雄に聞いてみた。
「すげーホームランだったな。どんな球を打ったんだ?」
俺が見ている感じではストレートかスライダーのように見えた。
「おう、あの時か… 確か丸くて白い球… いや、土で汚れてて茶色かったかな…」
「……………」
秀雄、もしインタビューをされることがあっても絶対にそれを言うなよ…
こんな感じで秀雄は人としての大事な何かが少しだけ欠落しているようなところがある。
秀雄のことも紹介したんでやりたくないが一応彼女である佳蓮のことも言っておこう。
秀雄と付き合い始める契機は前に俺が述べた通りで俺がせっせと秀雄を罠に嵌めて佳蓮に近付けた。
そんな佳蓮だが…
顔はかなり可愛い。女らしい可愛さを武器としている奴だ。
ただ、俺にはあの可愛く見せようとするブリブリ態度が鼻について気に食わない。
あいつは本来、茶髪や金髪にしてパンツを見せながら歩くクソビッチになった方が絶対似合っていると思う。あの気の強さならビッチ界でも大物になれると思うし…。
性格はよく言えば明るく行動的、ホントのことを言えば我がまま言いたい放題で声がでかく超攻撃的な性格。だが、秀雄の前では絶対にそんなそぶりを見せない。ネコの皮を10枚以上は被っている。
俺に対してだけのみ超攻撃的なところを見せるのだが… あいつは俺に惚れているのかな?
俺から言わせてもらえばそこいらのビッチよりもよりビッチらしい女とだけ言っておこう。
それと最後に最も大事なところ
おっぱい評論家の俺から言わせると… 佳蓮の乳はデカすぎる。
身長は平均以下の癖になんであんなにでかいの付けてんの?… そのように感じる。
きっとあれは今までの男に揉みに揉まれた結果、あのように成長したんではないかと推察する。
だったら俺にもひと揉みさせろって言いたい…
こいつら以外にも俺の周りにはいろんなやつがいるんだが… めんどくさいんでまた後日。