俺がおっぱいに目覚めた理由
俺、柳瀬泰助は自他共に認めるイケメンだ。これは嘘ではない。
黙っていてもよく女の方から近づいてくる。
それにコミュ力も高い。シャイで寡黙な奴とはベクトルが180°異なる。
思っていることは何でも素直に話すのでみんなも話の面白さに耳を傾けてくれる。
だから自然と女子は集まってくる。
なのだが、………
ある程度仲良くなると急に俺のことを避けるようになる。
原因は分かっている。
それは俺が仲良くなった女の子につい本音を漏らしてしまうからだ。
言わなきゃいいんだろうけど、でも正直な俺は言わずにはいられない。
「とても魅力的だね… 君のおっぱい…」
7割の女の子はこの言葉で引いていく。
魅力的だね、君の顔… こう言うと女の子は凄く喜ぶのに、どうして“顔”の部分を“おっぱい”にすると引いてしまうのだろうか? 褒めていることに変わりはないのに…
でも俺はどうしてもおっぱいの方を褒めてしまう… やっぱり俺って素直ないい子なんだろう。
残った3割の女の子はノリがいいのかおっぱいを褒めても楽しそうに話してくれる。
おや? これはもしかしていけるんじゃないか…
そんな期待を勝手に膨らませてしまう俺はその気持ちをストレートに伝える。
「一度揉ませて…」
この言葉で全員が消えていく。
俺は小学生の時に担任の先生から人間は正直であるべきだと習った。
俺もその先生の話に共感し、そうあるべきだと信じている。
だから俺は正直に言う… 揉ませてほしいと。
すると女子は潮が引くように俺の元から離れていく。
酷いときにはビンタを食らうこともある。
世の中の男なら俺の言っていることは分かってもらえるはずだ。
男に生まれておっぱいを揉みたくない奴なんているはずがない!
いたとすれば… そっちの方がやばいやつらだ。
おれはみんなにおっぱいが好きだと公言している。俺のことをスケベだと言いたければ言えばいい。
だが、俺的にはむっつりスケベの方がどう考えてもたちは悪い。
「おっぱい揉ませてなんてよく言うよな~ あんな恥ずかしい事俺は言えないよ~」
なんてぬかしつつ、チラチラとパンツが見えそうな短いスカートの太ももや、かがんだ時に一瞬見えそうになる胸の谷間をしっかりとガン見している。
俺はお前らのそんなとこ見逃してねーぞ… むっつりヤロー共。
お前らは言ってることとやってることが反対だろーが! 恥ずかしくねーのか?
そんなに見たいのなら正直に見たいと言え。
俺は皆に誤解されないようにおっぱいが好きだと公言している。
俺の方がよっぽど健康的だ。
俺がこれだけおっぱいにはまった理由… それを今から語ろう。
あれは小学校の6年生の時だった。
(俺は今、遠い目をして昔を懐かしむように語っているのでそのつもりで聞いてくれ…)
友達が今日は絶対俺の家に遊びに来いと息巻いて俺に言うので俺は言われる通りそいつの家に遊びに行った。そいつは一緒に部屋に入るといきなり鍵をかけてご丁寧に扉の前にテーブルを持っていきバリケードを築いて外から誰も入れないようにした。
そして本棚の本を全部取り出し奥に隠してあった一冊の本を俺に見せつけた。
「どうだ、凄いだろ!」
嬉々とした表情で俺に見せた本、それはそいつが兄より受け継いだ由緒正しきエロ本だった。
しかもそいつの兄さんのベストセレクションの内の一冊だという。
俺とそいつは表紙を見ているだけでもう興奮MAXだった。
「は、早く見ようぜ」
俺はそう言ってそいつを急かせて早くページをめくるように言った。
初めて見るエロ本… 俺は感動した。
しかもベストセレクションだけあって写真に出てくる女の子はみんな可愛く美しい。
俺とそいつは息をするのも忘れるぐらいになってその本に見入っていた。
目を皿のようにして見ながらページを進めていくと途中に特集コーナーがあった。
その特集こそ「おっぱい特集」だった。
そこには男なら誰が見ても唸るような素晴らしいおっぱいをした女の子がずらりと勢揃い。
俺はその中でも特にある女の人の胸を見たときに衝撃を受けた。
それは凄く美人なお姉さんだったが、そんな美人のお姉さんの胸はボリュームはあるが大きすぎず、また胸の膨らみかけの部分からの盛り上がりにかけて何とも言えないほどきれいな曲線を描いていた。
俺は女の子の胸を初めて見た(母ちゃんは除く)興奮とその形の美しさに心を奪われた。
俺は自信を持って言えるが、エロい気持ち100%でおっぱいが好きなわけじゃない。
あのなんとも言えない柔らかそうな曲線美… まるでビーナスを見ているような芸術的な美しさ…
それがあるから好きなのである。
だから俺は爆乳はあまり好きではない。でかいだけでは意味がない。
俺が目指すのは美乳である。
あの見ているだけで癒されそうな美しい胸… そんな胸を持った子を俺の彼女にしてみたい…
それが俺の理想である。
だから俺は知り合った女の子はまず胸から見る。話はそこから始まる。
可愛いだの美人だの俺にとってはそこまで問題ではない。顔は普通であればそれでいい。
それよりもおっぱいだ。そこだけは絶対譲れない。
ただ、このことを強調して女の子に話すとほとんどの場合、蔑むような目で見られるか可哀そうなものを見るような目でみられて最終的にいかれたヤロ―だと認識される。
そして俺の周りから女の子がいなくなる。
中学も高校も入学したばかりの時は俺の周りにたくさんの女子がいた。
だが… 半年もするとみんな消えてしまう。
それでも俺はめげない。いつか理想のおっぱいを持つ女の子をゲットしてやる。
俺はおっぱいハンター 柳瀬泰助だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
校門前で軽く佳蓮を弄って気分が良くなった俺は意気揚々と教室に入った。
俺が自分の席に近付くと近くに居た女子が両腕を胸の前でクロスさせて俺から1歩2歩と後退っていく。
「秀雄、やっぱりイケメンは罪だね。俺が近づくだけで胸がときめいて苦しくなるみたいで胸を押さえてる」
「……いや、違うから。 みんなお前に揉まれることを恐れてブロックしてるんだよ…」
……そうなの?
「それは俺に対して失礼だぞ! 俺は触っていいか確認してからしか触らねーよ!」
「そこ大声で偉そうに言うとこじゃないから… そもそも確認しないで触ったら犯罪だし…」
みんな俺のことを誤解しやがって。
俺は嫌がる女の子の胸を揉むつもりは毛頭ない。合意がなければ絶対に触らない。
「でもさ、秀雄… 俺、そこらじゅうの女子に揉ませてくれって言った覚えはないぞ… 厳選して選りすぐった女子にしか俺は言ってない」
「そんなもん数人に言えばすぐに噂になって全体に広がるだろ… 大体この学校で女子相手に面と向かってそんなこと言ってるのおまえだけだし…」
しかし… 俺が狙っている女の子からガードされるのはまだ納得いくが、明らかにお呼びでない女子からガードされるのは腹が立つ。 しかもギリ聞こえるような声で陰口言いくさって…
お前らのおっぱいなんて俺の眼中にはない。
そもそも顔だけ見れば俺も秀雄もそこまで変わらない。二人ともイケメンだ。
なのに何故秀雄が近づくと女子は「キャ~キャ~」と黄色い声を上げるくせに、俺が近づくと「ギャァ~ギャァ~」と悲鳴のような声を上げる?
クラスで秀雄は普通にイケメンと呼ばれる。
それに対して俺はザンメンとかパイメンと呼ばれる。
残念なイケメン → ザンメン
おっぱい命のイケメン → パイメン
センスのかけらもないネーミングで呼びやがって。
だいたいザンメンとかパイメンって何よ? 新種のラーメンか?
それじゃラーメンのメニューで考えてみよう…
「イケメン」 かなりイケてるラーメン 美味そうだ。
「ザンメン」 残念なラーメン スープと具がないとか? 麺が入ってないとか?
「パイメン」 パイン入りのラーメン? 具がパインか… かなりイカれてやがる…
イケメンは美味そうだが、ザンメンとパイメンはどう考えても美味そうには思えない。
ま、なんにせよ高校2年生になって今更イメチェンなんて出来るわけがない。それにしたくもない。
俺はどう頑張っても秀雄のような聖人君子にはなれないし… おっぱい好きだし…
だから俺は俺の道を突き進む。
そしておっぱいの道を極めて見せる。