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尾賀さん 大丈夫?




 その後も何件か廻って尾賀さんは欲しかった服を一通り購入することが出来た。

欲しかった服も手に入り尾賀さんは非常に上機嫌で楽しそうにニコニコと微笑んでいる。


ちなみにあのヤバかった服たちはすべて却下、それには尾賀さんも納得していた。

「一度試してみたくって…」そんなノリで胸元開きまくりの服を着てみたそうだが、ものには限度があるだろ。


特にキャミソールタンクトップはヤバかった。ほぼ胸元丸出し… あいつのせいで俺の意識は飛んだ。



「そろそろ昼ごはん食べよう」

時間は2時過ぎ、もうとっくに昼飯時は過ぎている。


「ごめんね、私の服選びで時間取っちゃって…」

「別にいいよ、それより何食べる?」


正直言って超腹ペコ… 食えるものなら何でもいい、そんな感じ。

飲食店エリアに歩いていくと、空腹の腹を刺激するとっても香ばしいにおいに引きつけられて、思わず「あそこにしよう」と尾賀さんに言うと、「私も好き」ということですぐに決まった。


 入り口の扉を開けるとお好み焼きの香ばしいにおいが嗅覚を刺激しまくる。

席に案内されメニューを検討するが、俺はもう決まっている。俺はお好み焼きといえばあれしかない。尾賀さんはメニューを見て真剣に悩む… 最近のお好み焼きは具材やトッピングなど自在に選べ過ぎて余計に悩んでしまうことが多いよね。


「尾賀さん決まった?」

「う~ん、… 決めた」


というわけで俺は豚玉のモダン焼き、尾賀さんはシーフードミックスのお好み焼き、ついでに焼きそば1人前。


「お好み焼きは久しぶり… お腹へったね」

「ほんとに…」


「そう言えばこのお店って自分たちで焼くの?」

「そうだよ、目の前の鉄板でね。俺がやるから大丈夫、まかせて」


俺、こういうの得意。クイーンの分も美味しく焼かせていただきます。

注文してから暫くすると具材の入った大きなカップなどが運ばれてきた。俺はそれを手際よくかき混ぜて鉄板にのばし、形を整えて具材をのせる。


 お好み焼きは自分たちで焼きあげてソースを塗って好きなように食べるのだが、焼けるまでには結構時間もかかる。目の前で出来上がってくるお好み焼きを見ながら会話すると非常に話も弾む。だから敢えてお好み焼き屋にしてみた。


 焼きながらいろんなことを尾賀さんに聞けるし、それに気になることも確認できる。

今の尾賀さんの格好、喋り方、俺との対応… どう考えても今の尾賀さんが本物だ。全く無理がない。


だったら何故学校でワザとダサくて目立たないようにする? 普通逆だろ…

はっ!… もしかして尾賀さんは大好きな俺のためだけにオシャレをして可愛く見せようとしてくれているのか?


………尾賀さんって、なんていじらしいんだ。 ふっ、惚れるぜ…


 なんて冗談を言ってる場合じゃないな。いくら俺でもそんなアホな妄想は抱かない。

でもそれを直接聞くわけにもいかんし… 聞くと多分引かれるし…


それに俺にとってそれは逆に好都合だからな… 俺としてはこのままいて欲しいし、このままでいいんだけど… とにかく別のことを尾賀さんに色々と聞いてみよう。もう一つかなり気になってることもあるし…



 泰助は俺に任せろと言って楽しそうにお好み焼きを焼く。尾賀さんもそれをニコニコして楽しそうに見ている。泰助は焼きながらもいろんなことを尾賀さんに話しかけ、尾賀さんもそんな泰助にすっかり気を許して楽しく話していた。



「ふぅ~う… 食った食った」

「美味しかったね~」


お好み焼き職人泰助が焼いた美味しいお好み焼きを食べてお腹もいっぱい…


「あ、ごめん… そう言えば柳瀬君の服、まだ全然見に行ってない…」


食事を終えて今は午後3時、携帯で時刻を確認した尾賀さんはもうそんな時間なんだと驚いてる。


「別にいいよ、今日買えなくても他の店で買えるし…」


この余裕… なにせ明日も菫と買い物に行くんで、ホントいうと今日は服を買う気無し。

そもそも今日の目的は尾賀さんの監視… その目的は十分に果たせている。


「で、でも… 柳瀬君に悪い…」

「気にしないで、それより文房具とか小物を買いたいって言ってたよね、そっちを見に行こう」


「本当にいいの、なんかごめんね」

「大丈夫だから」


心根の優しい尾賀さんはそんな泰助を心から気遣った。

心根の腐った泰助はそんな尾賀さんのおっぱいを心から気遣う。



 取り敢えずモール内をぶらぶらと移動して雑貨や文房具などを売っている店を探して歩き始めたが…


やっぱこうなるよね…


周りにいる若い男連中の視線を尾賀さんは集めてしまう。

さっきは女性ものの服屋だったから男も殆どいなかったけど、大勢の男がいる中に行けばこうなる。


以前、尾賀さん自身が言ってたように尾賀さんのおっぱいもかなり注目されている。

俺は闘気をみなぎらせた。ホントの事言ったら尾賀さんのおっぱいを見ている奴らに噛みついてやりたい気分だ。


俺は必死にコスモを高めて闘気を練っていたが、ふと隣にいる尾賀さんの様子を見ると異常に委縮している。さっきまであんなに楽しそうな顔をしていたのに、今は何かに怯えて震えているような感じだ。


スケベな男共からエロい視線を向けられて怖くなる気持ちは分かるが、この怖がりようはちょっとおかしい… それに… だったらなぜそのような格好をしてきた? そんな格好してるから男の注目を集めるんだろ。



 俺は分かっている。その恰好は決して俺のためにしてきたものではない。

俺は自慢するが基本女にモテる。オッパイさえ言わなければ黙ってても女は寄ってくる。


だから俺に好意を持っているかどうかは女の子の態度で何となくわかる。

だから俺は自信を持って言える… 尾賀さんには特別俺の事を好きだと思っている気持は無いと。


やっぱり謎だ。そもそもおっぱい星人の俺と普通に接してくること自体も不思議だし…



 それからしばらく歩いて雑貨屋を見つけたので中に入り二人で店の中を散策した。可愛い小物やオシャレなアイデア商品を見つけるとキャッキャいってその商品に飛びついて楽しそうに見ている。だけど不意に周りを気にして急におどおどしだす時もある。


普段女の子の細かいところなんか全く気にかけない俺でさえ気付いてしまうぐらいに変だ。

疑問は色々と浮かぶが、それを聞くわけにもいかないので彼女に合わせるような感じでその後も一緒に買い物を楽しんだ。



 尾賀さんは飽きることもなく可愛い商品に夢中になっているので、俺はトイレに行くと言ってその場に彼女を残してトイレに向かった。


実際おしっこもしたかったんだけど、携帯を見てみると『明日は何時から出かける?』とか、『どこへ行く?』とか『返事寄こさないと絞めるよ』などといった菫からの恐喝ラインが入っていたので、そろそろ返事をしないと俺の身に危険が生じる。


何度かラインのやり取りをして菫を納得させて、ぼちぼちと尾賀さんの元へ戻ってみるとさっきの場所に尾賀さんはいない。


結構店内も広いので他の場所をぶらぶら探しに行くとやっと見つけた。

しかも変な男2名のおまけつきで…



 店屋の隅っこ、あまり目立たない場所に尾賀さんは追い詰められてる。ただ、パッと見た感じは軽いナンパのノリみたいだ。ヤロー共はしきりに尾賀さんの機嫌を取ろうと色々喋りかけていた。


別にたいしたことないか… ぼちぼち追い払ってやろう…

そう思って近づいていくと尾賀さんの表情が見えた。


顔色は真っ青、モーレツに怯えている。まるで今にも殺される… そんな表情だ。

そこまで怖がる必要ある? ナンパしてるこいつらの口調も優しいけど…


俺はおっぱいクイーンの従者、当然クイーンに近寄る虫けらを排除するのは俺の使命だ。


「お前らさー、悪いけど俺の尾賀さんに気安く喋んないでくれる?」

俺がそう言うと、そいつらはいそいそと何処かへ散って行った。


「もう大丈夫だよ」 俺はそう言って尾賀さんを見たが、尾賀さんは未だに震えている。


「尾賀さん?」

余りにも震えているので両手で彼女の両肩をがしっと掴んで落ち着かせようとしたが…

俺が少し触れただけで急に頭を抱えてしゃがみこんだ。


「お、尾賀さん、ごめん。… 何もしないから… 大丈夫だよ」

優しく囁くように彼女に言うと、ようやく彼女は俺の顔を見て安心して少し涙ぐんだ。


「大丈夫、安心して。尾賀さんに変なことする奴がいたら俺が退治してやるから」

少しでも安心させてやろう… そう思って何となく俺がそう言うと…

彼女は更に激しく泣き始めた。



周囲の人たちから注がれるとぉ~っても冷たい視線…

夏だけにすごく気持ちいいな…って言ってる場合じゃない。


お、おれじゃねーぞ! 俺はなにもやってねーぞ!

まるで犯罪者を見るような目でみんなが俺を見る。俺は何もやってねー… まだね…



少ししてようやく尾賀さんは泣き止んで立ち上がり、俺に話しかけてきた。


「ご、ごめんね 柳瀬君。助けてくれたのに泣いちゃって…」

「それは別にいいから… もう大丈夫?」


「うん、柳瀬君… ありがとう」

「ちょっとその辺で休んだら帰ろうか?」


そういってそこから少し移動したベンチに座り、尾賀さんを楽しませようと思って佳蓮の頭を撫でに行き、10連コンボを食らって瀕死の重傷を負った話などをしてあげると、思いっきり爆笑して笑顔が戻った。


尾賀さんに笑顔が戻ってよかった。 でも尾賀さん…笑い過ぎだから… おれの心は傷ついた。



 尾賀さんの気持ちも落ち着いたので、その日はそのまま電車に乗って駅でバイバイという感じで別れた。俺はもっと尾賀さんに近付こうと思っていたが… 何となくもう少し様子を見た方がいいかな。



 それから家に向かって歩いていたが、急に背筋に悪寒が走る。

な、なんなんだ… このプレッシャーは? もしやニュータイプ?…


どうやらプレッシャーは俺のポケットから来ている。

恐る恐る携帯画面を見ると、何かラインの未読がいっぱいある。


ためしにラインを見て見ると、『~~~バラバラになりたいの?』とか書いてある。

一体菫は何をバラバラにするのかなぁ~… わかんないや~、てへっ…。


俺は神速でラインの返事を菫に送った。



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