召喚勇者全滅 レベル1で魔王戦 ハードな世界でまたーり生活
連載用に考えたお話を読み切りに……………
『借りて借りて借りて踏み倒す異世界逃走記!?』の筆が進まないので、現実逃避ちう。
「私、ダーメガミの世界に魔王が住み着いたのねぇ。だから、とぉっても困ってるの。でも、あなたたちの世界から勇者召喚すると、その勇者が魔王をなんとかしてくれるって噂で聞いたから、適当に何人も勇者召喚してるんだけど、みんな、すぐ死んじゃうんだよね。ねぇ、あなたは大丈夫だよね?」
ちょっと待て、大丈夫も何も、俺はなんでこんなところにいるんだ?
近所のスーパーに夕飯の食材を歩いて買いに行く途中だったんだぞ。
だだっ広い白い空間に炬燵とブラウン管テレビっぽいのがある。
そして、そのブラウン管テレビっぽいのに繋がってる8ビットなゲーム機。
炬燵に入りながら笑ってゲームをしてる幼女。
さっきのセリフは、その幼女から聞いたセリフだ。
「そこにある死んだ勇者たちから回収したチート仕様のスキルカードは好きに使って良いわよ。それと、魔王をなんとかしてくれたら、そこの宝箱に褒美として準備して誰も受け取れずにキャリーオーバーしたチート仕様のスキルカードがあるから、それを全部あげるわ」
バサッという音とともに、俺の足下にたくさんのカードと宝箱が現れた。
【取得経験値×100】、【転移魔法】、【無限のアイテム袋】、【寿命×100】、【寿命×100】、【剣スキル×100】、【盾スキル×100】、【HP×100】、【MP×100】、【魔法攻撃×100】、【レアドロップ×100】などなど、マジチートスキルって感じのチート仕様のスキルカードがいっぱいあった。
えっ?
これだけチート仕様のスキルカードがあれば魔王なんて余裕じゃね?
課金ゲームでもこんな優遇措置はないぞ。
ちょっと憧れていた異世界召喚、頬が緩む。
「これ、全部使ってもいいんですよね?」
恐る恐る聞いてみる。
枚数制限なんかあったら、チート仕様のスキルカードを選ぶのが大変だ。
「魔王をなんとか出来るんなら良いよぉ」
すげーよ。
マジ太っ腹。
と言うか、やる気なし?
ゲームをやってて、ちゃんと聞いていないんじゃないのか?
でも、くれるのなら貰っておけばいい。
俺は、落ちている使えば消えるチート仕様のスキルカードを拾っては使いを繰り返して、床に一枚のチート仕様のスキルカードが落ちていない状態になった。
確認のために褒美である宝箱の中身を見てみる。
【職業選択の自由】【幸運最大】【ギャンブル運最大】【亜空間ハウスレベル1】【スキル失敗ゼロ】【飛行】【戦士】【白魔法使い】【黒魔法使い】【魔物使い】【獣使い】【拳闘士】【商売人】【料理人】【解体】などなど、魔王をなんとかした後のことを考えたようなチート仕様のスキルカードだ。
「チート仕様のスキルカードって、俺が万が一死んじゃったとしても回収出来るんですよね? だったら、報酬用のチート仕様のスキルカードを先に貰っちゃダメですか?」
念のために聞いてみる。
「良いけど、平和になった時用のチート仕様のスキルカードだよぉ。それでも、いいのぉ?」
マジやる気ねぇだろ。
「全然OKです。ありがとうございます」
でも、御礼は言っておく。
頭を下げるくらいタダだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:花守林大介
職業:勇者
レベル:1
HP:0800/0800 MP:0000/0000
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レベル1で、HP800とかチートだろ。
MP0でも、【取得経験値×100】があるから回復魔法を使わなくても、レベルが上がりそうだし、問題無さそうだな。
「じゃあ、勇者、頑張って早く結果を出してねぇ」
視界が暗転したと思ったら、視覚的に分かる禍々しい空気の中に立っていた。
こういうときって、野うさぎがいるような草原に飛ばされるんじゃないの?
ここって、お城の謁見の間とか言うような部屋じゃないの……か?
あそこに玉座みないな宝石を散りばめられたら大きなイスがあるし。
「おぬしは、女神ダーメガミからの刺客か?」
玉座に座ってた銀色の髪をしたキツネの獣人っぽい幼女が立ち上がって聞いてきた。
俺は迫力に負けてコクリと頷いた。
「はぁぁぁぁぁ、めんどくさいなぁ。では、この世界最強の魔王、玉藻の手に掛かって跡形もなくなって死ね」
いきなり勇者レベル1で魔王戦って、そりゃあ、みんな、チート仕様のスキルを貰っても死んじゃうわ。
とりあえず、走って逃げて考える。
マジか、魔王の攻撃がかすっただけで残りHP8とか勘弁してくれよ。
「今の攻撃で死なぬのか!」
激おこの魔王と、玉座の横で笑ってる四天王っぽいヤツら。
俺、なんでこんなとこにいるの?
帰って、夕飯作らないと………。
ああ、あのくそ女神。
結果を早く求めすぎだ。
スキルの「×100」系は、ほぼ全滅だ。
ゼロにいくら掛けてもゼロだ。
と言うか【レベル×100】をいれておけよ!
HP×100しか役に立っていない。
なけれりゃ即死だぞ。
【無限のアイテム袋】は、中身がねぇ、武器も防具すらもな。
逃げるにも、【転移魔法】は、どうもこの世界で行ったことのある場所にしか移動できない。
マジ使えねー。
これコブラVSマングースじゃなくて、コブラVSハムスターじゃねぇのか?
武器もスキルもない勇者じゃ全く役に立たない。
と言うことは、【職業選択の自由】でジョブチェンジだ。
まず、武器を使わないジョブは……って、【魔物使い】でいいじゃん。
足を止めて振り返って叫ぶ。
「モンスターテイム!」
これがダメなら、もう打つ手なし。
神に祈るしか…………。
あーないわ。
マジないわ。
「この世界最強の魔王相手に、モンスターテイムが効くものか!」
自らフラグを建ててくれた魔王に感謝。
それは、ダメなフラグっぽいぞ。
ピロピロリン♪
ニヤリと思わず笑みがこぼれた。
モンスターテイムが成功したようだ。
「魔王、この城の敵を殲滅しろ」
俺じゃ、相手にならないからな。
魔王がモンスターテイムされると思っていなかった四天王っぽいヤツらや近衛兵たちは俺の命令を受けた魔王が瞬殺した。
これから、俺のターンだ。
玉座に座って魔王が戻って来るのを待つ。
凄い勢いでレベルがドンドン上がっていく、マジ楽だ。
セカンドジョブとか付けれるようになったので、他のジョブをセットしてレベルを上げていく。
レベルカンストした魔物使いを外さなければ大丈夫だろう。
玉藻をモンスターテイムしたことと幹部を倒したことで、魔物の支配地域が広がらなくなったため、ダーメガミとか言う女神からOKを貰った。
これで、俺がこの世界に来た目的、グランドクエストが呆気なく完了した。
残りの人生はエピローグとなる。
魔王城の魔物を殲滅後、魔王に案内させて、金銀財宝、飲食料品を全て回収。
これで、老後は安心だ。
「さて、人がいるところに行くか」
「……はい」
素直に返事をする元魔王。
これから、俺と魔王の旅が始まる。
そう、俺の残りの人生を過ごすための終の住処を探す旅、数十年の長いような短い…………。
そういえば、【寿命×100】スキルカードって、2枚使ったような?
もしかして、俺の残りの人生って、数十万年?
えっと、またーりと過ごすか…………。