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プロローグ
いける。
一瞬の隙だった。強固な岩石の、僅かな亀裂のような。
それを見逃さず、過たず確実に、突く。それほど力を込めたわけではない。
ただただ、鋭く、正確に。
その岩石が硬ければ堅いほど、小さな亀裂から簡単に砕ける。
全くその通りだった。
甲高い金属音とともに、大人の身の丈程の大剣が弾き飛ぶ。くるくる回転しながら、ちょうど真上に上った太陽の光にきらめきながら。綺麗な弧を描き空を飛び、音もなく地面に突き刺さった。
呆然と立ち尽くす男の咽元に、剣の切っ先を突きつける。
「私の、勝ちだね」
口角を吊り上げて、微笑んでみせる。剣はまだ、離さない。
男は眉間に渓谷のような深い皺を刻んで、舌打ちしながら両手を肩の高さにあげた。
「約束、ちゃんと守ってくれるよね」
更に笑みを深くする。同時に剣を僅かに突き動かす。
男は苦々しげに、鋭く私を睨んだ。そしてそのままゆっくり、まるで唇が重くてたまらないかのようにゆっくり、一言だけ言葉を放った。
「御意」
澄んだ綺麗な声だった。




