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傭兵の国盗り物語短編集  作者: ドラキュラ
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お人形姫と無線

今度は青天の霹靂編でフィーナ達の戦いをランドルフ達が援護した話です。


しかし、まぁ・・・・長い間書いているとキャラ設定が判らなくなる事があるので怖いもんです。

 フィーナ中尉達を逃がし、殿を務めた私達だが何とか馬の居る場所まで退却する事に成功した。


 既に辺りは暗く夜となっているからワイバーンの追撃がないのは有り難い。


 だが、更にまた進まなければならないと思うと気が重い。


 殿を務め更に逃げたから体力を使い息も荒くなってきたから少し休憩を挟みたい所だ。


 「少し休憩するか」


 軍曹は私達を見て休憩を挟む事にした。


 これは有り難く直ぐに私達は地面に腰を降ろし荒い息を整え始める。


 その一方で馬達は雪を掻き分けて地面に生えている草を食べ始めている。


 見ればあちらこちらが掘り返されているから私達が待っている間に食べ続けていたと判る。


 「よく食べる馬たちだな」


 軍曹のまったくその通りだと私達は頷く。


 だが、距離を考えれば今の内に食べておこうという考えだと思う。


 それに倣うように私達も携帯食料を取り出して軽い食事を開始した。


 「ワイバーンが夜は動けなくて助かるぜ」


 お陰で追手は歩兵だけという事になるが、今の所はそんな気配も感じないから問題ないだろう。


 「これから少佐に偵察の報告をしてどうするんですか?」


 まさか敵が前線基地を造るまで待つなんて事は無い筈だ。


 「嫌がらせはする。他には・・・・王都に偵察するかもな」


 「私達が、ですか?」


 「かもしれん。ヴィールングのおっさんが指揮する兵たちは顔が知られている」


 更に言えばフィーナ中尉達が少佐達を救出した事を考えると警戒は前以上に厳重となっているだろう。


 となると・・・・やはり嫌がらせだけになる可能性が高いな。


 下手に侵入して捕まりでもすれば少佐がされたように拷問される恐れがあるのだから。


 「まぁ、旦那の事だ。そこら辺は考えている事だろうぜ」


 司教様も居るんだと軍曹は続けた。


 確かに司教---エドリアス大尉なら少佐同様にこれからの事をもう考えている事だろう。


 前線基地を敵から奪った後の事なども既に。


 あの方の知識は半端ではないからこうして作戦を考える時に役立つ。


 司教という職業にはまったく不向きで寧ろ学者などの方が本人も言った通り向いている。


 「しかし、俺達が来た事を知られたから・・・・向こうも急ぐかもしれないな」


 軍曹は肉をフォークで刺すと口の中に放り込みながら敵の基地造りは更に急がれると言った。


 私達が来たのだからもう少しスピードを上げて作業に取り掛かる可能性が高いのは頷ける。


 それならそれで構わない。


 寧ろ急いで造って欲しい。


 そうしたら私達が奪い取って有効に使わせてもらうのだから。


 そんな事を思いながら私は高カロリーの戦闘食を口にしようとした。


 そこで無線が鳴った。


 ガルムこと猟犬が背負う通信機だ。


 「こちら猟犬・・・・・・・・」


 猟犬は受話器を取るとコード・ネームを名乗ってから直ぐに嬉しそうに尻尾を振った。


 あれを見れば相手が誰なのか判る。


 「これは我が主。如何なさいましたか?」


 猟犬を従えているのは少佐だ。


 その少佐から無線を受けたのだから尻尾を振りたくもなる。


 しかし、直ぐに不機嫌な顔になり私を見た。


 な、何で私を睨むんだ。


 私は何もしてないぞ。


 「・・・・貴様にだ」


 猟犬は犬歯を剥き出しにして私に受話器を差し出した。


 「まったく。なぜ貴様ばかり・・・・・・・・・・・・」


 そんなこと言われても困るのだが・・・・・・・


 心の中で猟犬に言いながら私は受話器を受け取る前に相手は少佐かと尋ねた。


 猟犬はぶっきら棒に綺麗なお人形からと返答した。


 「・・・・お人形ねぇ」


 山犬の眼つきが鋭くなり・・・・何故か刺す勢いで私を見てくる。


 「私、何もしてないよ?」


 猟犬と言い何で私をそんな風に見るのか理解できない?


 「別に・・・・・・・・」


 山犬は素っ気なく答えて戦闘食を食べ始め、それに私は訳が解からないまま受話器を耳に当てた。


 「こちらリンクス」


 『・・・・・ランドルフ、ですか?』


 声の主は透き通るように綺麗な声だった。


 この声はエリーナ様だ。


 まぁ、綺麗なお人形からと言われた時点で何となく察しは付いていたが。


 「エリーナ様。何か用、ですか?」


 『いえ、ただ、眠れなくて歩いていたらテツヤ殿と会いまして・・・・・・・』


 それで連れて来られて私と会話でもしろと言われ無線機を渡されたと言う。


 『あの・・・迷惑、でしたか?』


 受話器越しにエリーナ様が気不味そうな感じで喋る姿が頭に浮かんだ。


 「い、いえ・・・そういう訳ではありません。寧ろ嬉しいですよ」


 山犬の視線が更に強くなり背中越しにグサグサと刺さる・・・・・・・・・


 私が何をしたんだ・・・・・・・・?


 『・・・・そう、ですか。でも、これは便利ですね』


 遠くからでも会話が出来るのだからとエリーナ様は言ってきた。


 「はい。ですが、お遊びで使う道具ではありませんからね」


 これに味を占めて毎回こんな事をされては堪らないから釘を刺して置いた。


 『分かっております』


 私の言葉に些か怒った口調でエリーナ様は返しながら今度は少し控え目に喋ってきた。


 『あの、また・・・・約束しても、宜しいですか?』


 「約束?何でしょうか?」


 またもや山犬の視線がキツクなるが私は敢えて無視する事にした。


 『今度・・・・帰って来たら、私とお食事を一緒に・・・・して下さい』


 以前から何度か誘われたが、その度に私が断った。


 今度こそはと食事をしたいとエリーナ様は言われた。


 「へぇ・・・・王女様と食事ねぇ・・・・・・」


 山犬は私の背中---肩に顔を預けて耳元で囁いてきた。


 「ちょ・・・・山犬。今は無線中だよ」


 「だから何よ。気にしないで会話を続ければ良いでしょ?」


 軍曹達に助けを求めるが・・・・他人が困っている姿を見て楽しんでいる人に助けなど求めても意味が無かった。


 『どうか、なさいましたか?』


 「いえ。別に何も・・・・うわっ!?」


 私は思わず悲鳴を上げた。


 山犬が耳元に息を吹いてきたのだ。


 「へぇー、あんたって耳弱いんだ」


 面白い物を見つけたとばかりに山犬は笑ってきた。


 「山犬。好い加減にしないと怒るよ」


 私は受話器を胸に当て山犬を睨んだ。


 直ぐ近く・・・・キスが出来そうな距離だが今は怒りの方が強く気にしなかった。


 「あんたに怒られる筋合いなんて無いわ」


 「私は無線中だ。それを邪魔するのは止めてくれ」


 「邪魔してないよ。ただ、あんたが“さっきの質問”に答えてくれないから自分で調べてるだけだよ」


 「・・・・・・・・」


 これを言われては何も言えない。


 さっきの質問とは例の事だが、あんな質問に答えられる訳もなく答えなかった。


 それを今頃になって蒸し返されては閉口するしかない。


 何より山犬に説教しても彼女の眼を見れば何を言っても無駄だと判る。


 仕方無く私は諦めて無線に集中する事にした・・・・・・・


 それが癇に障ったのか山犬は私の肩に顔を載せて・・・・隅々まで手などを回してきた。


 「おー、逆セクハラとは羨ましい」


 茶化すように軍曹は言ってきた。


 「おい、イーグル。茶化すなよ。それから山犬。リンクスの言う通り今は無線中だ。もう止めろ」


 フォックスがやっと助けてくれた。


 「・・・・分かったわよ」


 山犬は私の耳を今度は齧ってきた。


 「ひぃあ!!」


 これに私は・・・・つい変な悲鳴を上げてしまった。


 「可愛い悲鳴ね」


 山犬は笑顔で私から離れた。


 うぅぅぅ・・・・こんな悲鳴、オリガさんとの時しか出さなかったのに・・・・・・・・・


 『ランドルフッ。どうかなさったのですか?!』


 エリーナ様が悲鳴に近い声を出してきた。


 「い、いえ。何でもありません」


 『先ほど悲鳴を上げたではありませんかっ』


 「本当に何でもありませんから」


 約束は取り敢えず保留すると言ってから無線を切った。


 「山犬ッ」


 私は山犬を睨んだが、彼女は知らん顔で食事を続けたが、私は説教をした。


 まったくの無意味だったが・・・・・・・・・・・・・・


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