表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傭兵の国盗り物語短編集  作者: ドラキュラ
11/37

私を見て下さい

 ランドルフと食事をしている間・・・・彼を怒らせてしまった。


 私エリーナは、ただ気になった事を口にしただけなのに・・・・・・・・


 それが彼には逆鱗となったのか怒ってしまった。


 何とかその場は持ったけど・・・・今度からは気を付けようと思う。


 そして食事をした後は2人切りで話したけど彼は上の空。


 表面上は私の話を聞いている風にしているけどランドルフが上の空だと私は分かった。


 どうしたら貴方が私を見てくれるのですか?


 湯を浴びた後、私は寝室へ行き眠ろうと思ったが眠れないで困った。


 そこで・・・・ランドルフの所へ行こうと思い意を決して行ってみる。


 誰も居ない事を確認してからランドルフの寝室へ行く。


 音を立てないようにしてドアを開ける。


 彼は敏感・・・・少しでも音を立てたら直ぐに起きる。


 テツヤ殿と会ってからランドルフは見違えるようになり・・・・何処か遠くへ行ってしまった気がする。


 寝室へ入りベッドへ行くとランドルフは寝ていた。


 でも、枕の下には拳銃が入っており武器も直ぐ近くに置いてある。


 寝巻ではなく軍服を着て寝ている所から見ても彼は何時でも行ける準備をしているんだと思い知らされる。


 私と会っている間は・・・・でも今は戦時中・・・・


 リカルドお義兄様が相手・・・・・・・・


 お義兄様・・・・どうして兵を起こしたのですか?


 お母様は・・・・お義兄様に王位を譲る気だったのに・・・・・・・・


 考えるのを止めた。


 考えてもお義兄様の気持ちを知る事が出来ない。


 ランドルフは眼を閉じて寝ている。


 どんな夢を見ているんだろう?


 オリガさんと一緒に居る夢?


 ガリシャと居る夢?


 それとも・・・・・・・・


 「私と一緒に居る夢を・・・・見てくれているのですか?」


 もし、そうなら嬉しい。


 私を見てくれるのだから。


 「ん・・・・んんん」


 軽く寝返りを打つ彼に驚き私は急いで寝室を出た。


 そして自分の寝室へ戻ると直ぐに眠れた・・・・・・・・


 目が覚めた私は眼の前に広がる白い花が一面に広がった場所に居た。


 ここは・・・・何処?


 周囲を見回していると・・・・・・・・


 「ランドルフ!!」


 居た・・・・彼が居た!!


 後ろを向いて座っている。


 私は走った。


 待って下さい・・・・待っていて下さい・・・・・・・・


 やっとの思いで彼の居る場所に着いた。


 だけど彼は振り向いてくれない。


 あの澄んだ瞳で私を見てくれない・・・・・・・・


 「ランドルフ・・・・・・・・」


 彼の首に手を回し抱き着いた。


 温かい・・・・彼の鼓動が聞こえる。


 「ランドルフ・・・・こっちを向いて・・・・ランドルフ、私を・・・・私を見て・・・・私を見て下さい」


 眼を閉じて彼に自分の願う気持ちを伝える。


 「・・・・エリーナ」


 彼が私の名前を呼んでくれた。


 様づけではなく名前だけで・・・・・・・・


 「ランドルフ・・・・お願い・・・・私を、見て下さい・・・・私を見て・・・・」


 彼の顔が動いた。


 そこで・・・・・・・・


 「あ・・・・・・・・」


 目が覚めた。


 ベッドから上半身を起こすと自分の寝室だと気付く。


 「夢、だったの・・・・・・・・」


 そんな・・・・彼が私の名前を呼んでくれたのは夢なの?


 これは、私が望んでいる事・・・・・・・・?


 私は・・・・・・・・

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

|

 私サラは1人で紅茶を飲んでいた。


 だけど・・・・味気ない。


 「・・・・テツヤ殿」


 テツヤ殿はどうして私の夕食を断ったの?


 あの方を何度か誘ったが何時も理由をつけられて断られている。


 エリーナはランドルフと夕食をしている。


 それなのに私は駄目だった・・・・・・・・


 何時もはエリーナと食べるがその時は1人で食べたが味気なかった。


 テツヤ殿と食べた時は美味しかったし楽しかった。


 それ以降は食べていない・・・・会う時間も殆ど無い。


 テツヤ殿・・・・・・・・


 紅茶を残した私は眠る事にした。


 眠れば今の時間から解放される。


 逃げる・・・・言われても仕方ない。


 だけど私は逃げた。


 テツヤ殿という男性に会えない時間から・・・・・・・・


 何処とも知らないが綺麗な花が咲き乱れる場所。


 のどかで平和相な場所。


 ここを見ていると心が癒される気がする。


 どうしてここに私が立っているのかは知らない。


 でも、不思議と恐怖感は無かった。


 そこで・・・・・・・・


 「テツヤ殿!!」


 テツヤ殿が背中を向けて立っていた。


 私に両親以外で初めて対等な口の利き方をしてくれた方・・・・・・・・


 私は走ってテツヤ殿の所まで行った。


 「そんなに走って転ばないでくれよ?女王様」


 テツヤ殿は背中を向けたまま笑うのが分かった。


 「あ、貴方が、何処かへ行ってしまう気がしたんです」


 貴方は何も言わずに現れて、私の前から何も言わずに消えてしまった。


 それが怖い。


 だから、こうして私は走ったんです。


 「仕方ないさ。俺は傭兵だ。戦争が無くなれば別の戦争を探しに行く。好き好んで、な」


 そのためテツヤ殿は時に人間の屑と呼ばれるらしい。


 「それは違いますっ。でしたら、何故この国の為に戦うのですか?報酬は出ないのに」


 「この国が居心地の良い所、だからさ。それにあんたみたいな美人をむざむざ死なせる訳にはいかない」


 「っ!!」


 これだけ言われただけで私は赤面する。


 「顔を赤くするとは初心だな」


 「て、テツヤ殿は、嫌いですか?」


 「いいや・・・・自分の色に染め上げる点で言えば好きさ」


 それなら・・・・・・・・


 「わ、私を・・・・・・・・」


 「それ以上は男を口説いていると取られても文句は言えないぞ?」


 「・・・・貴方を、口説いているんです」


 もう29歳で子も1人居る未亡人ですけど・・・・・・・・


 貴方を考えるだけで何も出来ない。


 貴方が現れると心の鼓動が早くなり上気する。


 これが初めての恋だと気付くには時間が掛らなかった。


 私は貴方を・・・・・・・・


 「おっと、それ以上は言わないでくれ」


 テツヤ殿は煙草を吸うのかカチッと音を立てた。


 「どうして、ですか?」


 「俺はあんたと住む世界が違う。あんたとは一緒になれない。この戦いが終われば・・・・・・・・」


 テツヤ殿の身体が消え始めた。


 「ま、待って下さいっ。私は貴方を・・・・・・・・!!」


 「じゃあな。女王陛下。あんたみたいな美人に名前を呼ばれて嬉しかったぜ」


 テツヤ殿が消える!!


 それなのに身体は動かない。


 動いて!!


 動いて!!


 お願いだから動いて!!


 「テツヤ殿!!」


 手を伸ばすがテツヤ殿は消えてしまった。


 最後まで私に振り返ってくれなかった。


 消えてしまった・・・・消えてしまった・・・・・・・・


 いや・・・・いや・・・・いや・・・・


 「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 バッと身体を起こす。


 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・ゆ、夢?」


 私は見回して自分の寝室だと気付いた。


 汗を掻き喉も渇いている。


 それなのに私は何も出来ずに動けないでいた。


 何て、夢なの?


 あんな夢を見るなんて・・・・・・・・


 「テツヤ殿・・・・・・・・」


 貴方は消えてしまうのですか?


 また私の前から何も言わずに消えてしまうのですか?


 ・・・・私の前から消えたりしないで下さい。


 私を置いて何処かへ行かないで下さい。


 戦争を探さなくてもここで私が貴方に仕事を与えます。


 貴方が望む仕事を与えます。


 戦争以外の仕事を・・・・・・・・


 だから、どうか私の前から消えないで下さい。


 私は切に願った。


 でも、この願いは・・・・内乱が終結した時に実現してしまう事を・・・・・・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ