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魔法少女☆惨劇

 地獄絵図。

 駆けつけた先に繰り広げられた光景はまさにその一言に尽きる。

 苦しみもがき、絶望のまま亡くなったのか開眼したまま息絶えた老人。

 臓物がはみ出た腹部を押さえ、苦悶の声を上げ逃げ惑う青年。

 自分の無くした片手を探し泣き惑う少年。

 我が子の躯を抱き締め絶叫し続ける母。

 老若男女差別も区別もなく暴虐の嵐が吹き荒れたかのようなその惨状。

 俺は凄惨なその光景に思わず立ち竦む。

 今まで魔法少女を続けてきたが、ここまでの惨劇はなかった。

 ぬるま湯に浸かっていた自分の現状に歯噛みする。

 だが今は後悔する時間じゃない。

 俺は近くにいた人達へ声を掛け避難を促す。


「こっちだ! 早く!」


 恐慌に駆られ、ただ逃げ惑っていた人々は、指向性を与えられ出口に殺到する。

 俺は混乱の中少しでも秩序を保とうと声を出し続ける。

 怒涛の様に押し寄せる人々の奥、悲劇をもたらした奴等の姿が見えた。

 今までのコミカルにデフォルメされた姿じゃない。

 人々を殺める事に特化したような鋭利なデザイン。

 異形とでも呼ぶべきその姿。

 俺はこれだけ距離が離れているのに戦慄を禁じ得ない。

 その瞬間、声を上げる俺の動向が注意を招いたのか一匹がこちらへ飛び掛かってきた!


(マズった……死ぬ!?)


 せめて人々の盾になろうと、手を広げ立ちはだかる。

 そんな俺目掛け、鎌の様な手刀が俺の身体を貫こうと迫り、肉のバリケードを有無を言わず突き刺さ


「凍てつきなさい」


 る事無く目前で凍りつき砕けた。

 涼やかに響く声。

 この完璧なタイミング。

 さすが真の魔法少女。自分の出方を心得てやがる。


「遅くなりました……そして、また逢えましたね」


 舞香とパフュームの人格は別なのか、改めて話し掛けてくる。

 労わる様に俺の無事を確認し面を上げると、そいつの前に毅然と立つ。

 目前を冷たく見据えるその姿は怒りに震えていた。

 無理もない。

 おそらくパフュームにとって初の惨劇。

 人々を守れなかった自責の念が彼女を襲ってるのだろう。


「わたしは勇気と自由の魔法少女ラブリィ※パフューム。

 罪を数える必要は無く、絶望がお前達のゴールです」


 凜と言い放つパフューム。

 しかし俺は、どこか危うさを秘めたその佇まいに、嫌な予感が過ぎるのを止められないでいた。

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