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魔法少女☆飛翔

 DVDとブルーレイの売り上げが良かったのか、3クール目なんぞに突入してしまった事で一番困っているのが敵さんの出現・事件時間帯である。

 今までの奴等は悪の定番よろしく真夜中限定だった為か、変身して駆けつければ何とかなったのだが、今回の敵さん達は昼間、しかもよりによって仕事時間中に事件を起こすのが最近の悩みの種である。


「大変だよ、スター!

 あいつらがまた事件をおごきゅぷぺっぱ!」

「黙れ」

「ん? 何か言ったかね、武藤君?」

「いえ、何でもありません」


 俺は会議中だというのに足元に転移してきて喚き立てる馬鹿(自称魔法少女用愛玩生物~コメット~)を手加減なく踏み潰した。


「ぶもももぷぺ~(「ひどいよ~スター」)」

「黙れ。今外に出る。

 全てはそれからだ」


 俺は溜息をつくと挙手をする。


「部長、申し訳ありません。

 娘が熱発したとの連絡がきたので早退させて頂きたいのですが……」

「またかね?

 まあ君の娘さんは病弱らしいからな。

 後で届け出を出しなさい」

「はい。この埋め合わせは必ず」


 皆に頭を下げ、足元のボロ雑巾をこっそり鞄に回収し会議室を出る。

 無論、ウチの舞香ちゃんは病気らしい病気すらした事がない健康優良児である。

 魔法少女のバイトをすることになった時、いつかこんな事態が来るだろうと事前に根回ししてたのが役に立った。

 俺は人目のない屋上の隅にやってくると鞄からコメットを引っ張り出した。


「さて、事情を聞く前に忠告だ。

 前回言ったな? あれほど唐突に転移したりしてくるな、と」


 俺は昔の世紀末救世主の様に拳をボキボキしながら告げる。


「だって仕方ないんだよ!

 事件を察知したらスターの下に強制転移する仕組みになってるんだもん!」

「そこを何とかしろ。

 不条理には不条理を以って抗え」

「何カッコイイこと言ってんのさ! 

 会議中だってのにサボってケータイ弄ってた癖に!」

「な、貴様! 何故それを!?」

「だいたいスターは!」

「お前は!」




「まぁ不毛だし疲れたからやめよう」

「そだね」

「んじゃまあ……

 今日もいくとしますか」


 俺はスーツの内ポケットから変身用のコンパクトを取り出す(2クール後半からステッキからコレに変わった。多分販促だろう)。


「せ~の!

『パラレルパラレルシューティングスター☆ らぶらぶマジカル~♪』」


 変身呪文が認証、事象に干渉。

 眩い虹色の閃光がコンパクトから放たれ、足元からはファンシーな(どんなものだよ)魔方陣が浮かび上がる。

 淡い輝きをその身に受け、華奢な体のラインを描きながら「あたし」はフィギュアの様なターンを連続で決める。

 そして動きが最高潮に達した瞬間、あたしはフリフリの衣装を身に纏い魔法少女へと変わり遂げた。


「ふう……今日もお仕事頑張らない、と♪」


 ピースサインを真横にしながら目の前に翳し、あたしは視聴者に良く見えるようガッツポーズを可愛く決める。

 世の中何事もコネとカネ。

 愛想は振り撒いておかなきゃね☆


「いくよ、コメット!」

「OK!」


 この姿になると急に元気になるよね~このナマモノ。

 もしかしてロリコンなのかな~嫌だな~キモっ。

 まあ何はともあれ現場に行かなきゃ話にならないし、あたしは飛翔呪文を唱え、コメットと共にビルの屋上から飛び立った。 



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