魔法少女☆仕事
「課長、申し訳ありませんが承認の判を頂けますか?」
週末に予定してる舞香とのお出掛け。
浮かれる俺を窘めるかのように冷たい声で新城真子は言った。
彼女は四月からウチの部署(といっても俺と彼女の二人だけだが)に配属になった新人さんである。
有名大学を出たクールビューティ。
仕事もあっという間に覚え、バリバリこなす。
(……なんでこんな課に配属になったんだろう?)
つい先月までは定年退職される部長とのんびり茶飲み話をする日々だったのに、今は強制労働を課せられる日々。
(うう、あの頃に戻りたい……)
同期が次々出世していく中、万年窓際と云われ様と甘んじていた日々を鑑みて心の中で涙する。
「課長? 聞いてらっしゃいます?」
「ああ、今押すよ新城君」
俺は彼女の差し出す書類に判を押す機械となる。
せめてもう少し愛想があったらね。
一応下心なく歓迎会でもしようかと誘ったら、
「マニュアルの見直しをしたいので」
ときっぱり断られた。
35歳と22歳。
舞香くらいならともかく、干支が一回り以上違うと何を考えているか分からん。
俺もついに「今時の若いモンは……」とか思う様になったのか。
おっさんだなー(はぁ)
「課長? 手が止まってます」
「はい!」
情け容赦ない看守の言う事は絶対である。
不謹慎だが新城君は婦警さんのコスプレとか絶対似合いそうだな~と思いつつ、俺は作業を再開するのだった。