~B・R~ Prophet ~戸田編~
戸田競艇編――
戸田ボート初日――
水面際で6Rの展示を見届けると、数人の客がその女性を取り囲んだ。
近づいて見ると――
その女性は高級ブランドで身をかためサングラスをしている。
すると、真っ赤なキャップを被った。
そして、それを合図に客が順番に1000円札を渡し、小さな紙切れを受け取っていた。
予想屋なのだろうか?
私もキャップを深く被り、その列に加わってみた。
そして、順番が回ってくると私は―― 1万円を差し出した。
その女性は、サングラスを通して私を見る。
すると彼女は、紙切れを差し出した――
3-1-2
これだけ書かれていた。
6R出走表――
6R 枠番勝率 平均ST モーター勝率
① A1 68 0.21 30
② B1 48 0.17 43
③ B1 52 0.18 35
④ A2 42 0.21 28
⑤ B1 36 0.19 33
⑥ A2 29 0.19 31
水温13度
向かい風3m
晴れ
①はベテランレーサー
②は地元若手の有力選手
③は江戸川をホームとするベテランレーサー
④⑤は長崎の若手選手
⑥は年配レーサー
私の予想は1=3-2.4の4点。
電光掲示板を見ると、人気は1-2、4。
3連単は1-4~で売れている・本命レース模様だ。
私は4点の舟券を3万円で分配購入し、彼女の予想3-1-2を1万円で購入した。
6Rがはじまった――
スタートは平均STそのままに、②が①より半挺身前に出た。
①は②に寄せ、回りしろを確保しようとするが、②はそのまままくりにいった。
①はすかさず内に切りかえす。
だが、その展開を見越していた③が差しの一本構え――
④も差しを選択したために、後続は出遅れる結果となった。
1コーナーを抜けると、③が1挺身リードし、①が後に続く。
②は、まくりきれずに流れ3番手。
①は2コーナーに勝負を賭け鋭角に切り込む。
しかし、それを冷静にさばいた③の差しで決着した――
――6Rを見届けた俺は、彼女に声をかけた。
「ありがとうございました」
そして、自分の4点予想の舟券と3-1-2の舟券を見せた。
すると彼女は私の耳元でささやいた――
「よくできました」
彼女はそう言うと、甘い香りを残して去っていった――
私は、笑いが込み上げてくるとキャップで顔を覆った。
この先、どこかの競艇場でまた会う事もあるだろう。
その時は――
~B・R~ Prophet
いったい彼女は何者?
今後の展開をお楽しみに!