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エピローグ
一年後。
ローズ・ホールの庭園は、かつてないほどの美しさで咲き誇っていた。アリスター・ベネットが愛したバラは、今やマックスウェルとローズマリー、二人の手によって守られている。
「また、庭にいたのかい?ローズマリー」
書斎の窓から、マックスウェルが微笑みながら声をかけた。今の彼が纏っているのは、尖ったベルガモットではなく、穏やかな日だまりのようなサンダルウッドと、彼女が贈ったハーブの香りだ。
「ええ。新しい品種が、もうすぐ咲きそうなの。……ねえ、マックス。お父様たちも、きっと喜んでくれているわね」
ローズマリーが振り返り、優雅に微笑む。その指先には、幸せの象徴であるローズマリーの小枝が握られていた。没落の影はもうどこにもない。かつての庭師の息子と令嬢は、今、対等な愛の守り人として、この美しい屋敷で新しい歴史を刻み始めていた。
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