第六話「特別指名、拒否不可!?」
全てのAランク依頼で危機察知スキルが反応する――
その事態に、さすがの俺様ガイルも頭を抱えていた。
(おかしい、絶対におかしい!
なんで今まで軽々こなしてきた依頼に、いきなり“ヤバい未来”サインが出るんだ!?)
ロッタが心配そうに尋ねてくる。
「ガイル、大丈夫? 顔色悪いよ」
「いや……検証してみる」
俺は、あえてランクの低い、草むしりみたいなEランクの依頼を手に取った。
ビリビリ……しない。
(低ランクの依頼には反応しないのか?)
次にCランク、Bランクと上げてみるが反応なし。
Aランクの依頼票を手に取った瞬間――ビリビリビリッ!
「……やっぱりAランク依頼だけだ」
シルビアが静かに推理する。
「ブロックさんがいたときは反応しなかったんですよね?」
「そうだ……いや、まさか。ブロックの奴がなにかやったのか? いやいや、そんなバカな……」
“もしかして、今までブロックのおかげでAランク依頼が安全だった……?”
そんな考えが一瞬頭をよぎるが、俺様ガイルはすぐに打ち消した。
(ないない、あいつのおかげで安全なわけがない! ……だが、なんだこの違和感は……)
悶々と考えているところに、
ギルドの担当者・サラが緊張した面持ちで現れた。
「が、ガイルさん! 特別指名依頼が来ています。申し訳ありませんが……ギルドの規則で“拒否不可”です!」
「は?」
サラが差し出した依頼票は、Aランクの中でもさらに厄介そうな“特別案件”だった。
(なんでこんなタイミングで……?
よりによって今、危機察知スキルが最悪にうるさいタイミングで……!)
頭の奥で、ビリビリビリッと警告音が鳴り響く。
(……これはもう、ただごとじゃないぞ……!)
こうして、「ブラッドウルフ隊」は“絶対に断れない危険な依頼”に向き合うことになった。