第五話「絶好調のはずが、全依頼危険サイン!?」
ブロックが“修行”という名の長期休暇に出てから、「ブラッドウルフ隊」は実に快適だった。
森の探索、魔物討伐、商隊の護衛――
どんな依頼も三人だけで軽やかにこなす。
俺様ガイルの危機察知スキルも冴え渡り、ピンチもゼロ。
最近はギルドでも「さすがAランク」「リーダーが違う」と持ち上げられる始末だ。
(ははっ、やっぱりブロックがいないと調子がいい!
こっちは精鋭三人、余計なトラブルもなし。俺様パーティここに極まれり、ってやつだな)
そんなある日。
いつものようにギルドの応接室で依頼票を眺めていた時――
「……あれ?」
急に、頭の奥でビリビリと違和感が走る。
(……ん?今、危機察知が反応したか?)
試しに別の依頼票を見る。
――またビリビリ。
「ガイル、どうしたの?顔が険しいけど」とロッタが心配そうに覗き込む。
「いや、ちょっと……。変だな」
再び別の依頼を手に取るたびに、スキルがビリビリと警告を発する。
討伐依頼、護衛依頼、調査依頼――
どの依頼も、どんな小さな仕事にも、例外なく反応する。
(なんだこれ……。まさか、全部ヤバい未来につながるってことか!?)
シルビアが静かに口を開く。
「ガイル、最近スキルの調子が悪いんですか?」
「……いや、そうじゃない。むしろ、これだけ反応するってことは――」
この状況が、何かとんでもなく危険な前触れであることを、
ガイルは本能的に悟っていた。
(ブロックがいないせい、なのか……?)
まさか、と首を振る。
(そんなバカな。……だが、もし本当にそうだったら――)
ガイルの顔から、少しずつ余裕が消えていくのだった。