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第五話「俺様の追放宣言が響かない」

 

 知らないことを次々と知らされ、俺は――なんだろうな、困惑していた。



「俺が……コイツらを守ってた?」



 なんか違う。そういうのは俺のキャラじゃない。

 でも、事実として、俺のスキルがなかったら――


(……ブロックとロッタは今ごろ街で、暗殺者に襲われてたかもしれない)



(でも、そもそも、あいつらが危ないのって、もしかしなくても俺のせいなんじゃ……)


 そんな考えが、胸の奥でじわじわ広がっていく。


 ――俺が、原因。


 俺が一緒にいたから、巻き込まれて、命を狙われて……


 ……許されるわけがねぇだろ、そんなの。


(あいつらが俺のせいで死ぬとか、絶対に、絶対に許されねぇ……)


 なら――


 俺は、決意した。


 弱気とか、そんなもんじゃねえ。これは、覚悟だ。


「……おい」


 静かに、だけど強く言ったつもりだった。


「お前ら、勝手なことばかり言いやがってよ……! 俺様のスキルでお前たちを守ってただと? そんなわけがあるか!」


「え、でも実際そうじゃ……」


「黙れっ! そんなことはどうでもいいんだよ!」


 シルビアの冷静なツッコミを振り切って、俺は立ち上がった。


「やっぱりお前たちは俺様の足手まといだったじゃねえか! 俺様は一人で最強なんだよ! 一人で十分なんだよ!」


 頭の中では《危機察知》のスキルがビリビリ鳴りっぱなしだったけど――


 無視した。



「だから―――お前たちを追放する!! ブラッドウルフ隊は今日で解散だ!!」



 言ってやった……!


 これでアイツらは安全だ。俺と関わらなければ、もう巻き込まれない。俺は一人で生きていく……!





「―――あ、それ無理だから」


「はぁあ!?」


 一瞬、自分の耳を疑った。


 ……いま、シルビア、なんて?


「前にも言ったでしょ?」


 シルビアはすっと立ち上がり、きっちりと俺の前に立った。



「――追放されたくらいで仲間じゃなくなるほど、薄情じゃないの。私たち。」



「そうそう!」ロッタが元気よく手を挙げた。


「今さら追放しようとしても、もう遅い! って感じだよリーダー!」



「ていうか、追放ってまた休暇もらえるってことじゃないの? やったー!」


 お前ら……!


 俺の、俺の決意をなんだと思ってやがる!!



「ちょ、ちょっとは感動とかしろよ!? 泣いてすがるとか、感情的になったりしないのかよ!?」


「泣かないし、すがらないし、感情的にもならないけど? どうせ自分のせいで私たちが危険な目に、とか頭悪いこと考えてたんでしょ」


「だよねー、だってリーダーが何言っても、私たちは仲間だもん!」


「……そんなことより俺は、香草焼きのテイクアウトをまだ残してるからそれ食べたいです」


 ちょっと待て、最後の関係ないだろ!!


 俺は両手で頭をかきむしった。


 こいつら、ほんと、なんなんだよ……!



「……真面目な話をするけど」シルビアが真顔に戻る。



「さっきも言ったでしょ。たとえパーティから追放されても、ガイルの《危機察知》スキルが私たちに発動するし、ロッタやブロックのスキル支援効果はガイルに届く。」


「……それって」



「そう。追放されたって、私たちが“スキルの範囲内”である限り、危機は共有される。ガイルを狙うために私たちを先に潰す方が有効と敵が判断してるっぽいからね。」


「それにブロックいないとまともにリーダーのスキルって使えないんじゃなかったっけ?」ロッタが言った。


「ロッタがいない時も色々大変だったんだよなー」とブロック。



 俺はその場で力なく座り込む。


「だから、ガイル」シルビアがしゃがんで、目を合わせてきた。


「無理に自分のせいにして、距離を取ろうとしなくていい。あんたと私たちは、もう一蓮托生。逃げられないの。だったら、やるべきことはひとつでしょ?」


「――解決するしかねぇってことかよ……」


「そう」


 そうか……そうだよな。逃げ場はない。


 だったらもう……突き進むしかねぇじゃねーか。


 ……だけど。


「でも、俺、やっぱりお前らを巻き込んでる気がして、怖いんだよ……」


 ボソッと、本音が漏れた。


 ロッタがその隣でにっこり笑う。


「じゃあ、いっぱい守ってもらおうかな。リーダーがスキルで守ってくれるなら、安心してスイーツ食べられるし!」


「……お前は胃袋の話しかしてねぇな」


「だって大事だもん!」


「俺もリーダーのそばなら安心だよ」ブロックが言う。


「何があっても、なんとかなるって気がするんだよね」


「……根拠は?」


「リーダーがそういうタイプだから!」


 お前ら……ほんと、根拠ない信頼寄せてくるよな……


 だけど――


 嫌いじゃねえよ、そういうの。


「……ったく、めんどくせぇ連中だな。仕方ねぇ、ここまで言われたら、俺様がスキル使い倒してやるよ!」


「その意気よ」



「じゃあまずは―――」


 と言いかけた時、ミーナが慌てた様子で部屋に入ってきた。


「すみません、先ほど知らせがあり、襲撃犯を奪い返されたとのことです。厳重な警備を掻い潜って―――」


 どうやら黒幕は相当にヤバい奴ららしい……

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