真夏の夜の純愛殺人事件⑨(一人じゃない)
~のり子視点~
織絵からの電話が切れ、のり子は胸を撫でおろした。未だに危険な状況だけど、織絵ちゃんの命は失われていない……ならば、希望を捨てずに全力で突き進むまで!!
「良かった……織絵君が無事で」
「ええ、ですけど危険な状況なのは変わりありません、急がないと!!」
のり子もスピーカーホンにしていたので、今井刑事も織絵の無事をすぐに知ることが出来、安堵していた。もちろん危険な状況に変わりないことは彼も理解しているので、すぐに表情を引き締めた。
「それにしてものり子君、犠牲者全員の共通項は一体何なんだ? 織絵君にも当てはまるようだが」
「それは……全員が茶色のゆるふわヘアーで、ワンピースを着ていることですよ」
「な……何だと!!??」
「3人とも髪の長さは違うし、ワンピースの色も違うんで気付かなかったですけどね」
「そ、そういえば織絵君も茶色のゆるふわヘアーでピンク色のワンピースを着ていたな」
そう、考えてみればシンプルな共通項だった。早めに気付いていれば、もしかしたら亜麻さんを救うことは出来たかもしれないのに……のり子は頭を抱え、涙を流した。
「あと、犯人も分かったと言っていたが……決め手は何だ? あれだけ聞き込みをしても分からなかったというのに」
「今井刑事、犠牲者はみんな全身数十か所をナイフのようなもので滅多刺しにされて殺されていたんですよね?」
「あ、ああ」
「で、綾乃ちゃんが殺された後に警察が近辺に注意喚起をしてくれましたよね。具体的には、どういう風にしたんですか?」
「『数日前に引き続き、若い女性が全身数十か所を滅多刺しにされて殺害された。みなさん、夜の外出はお控えください』だな」
「そう、かなり残酷な殺し方だったのもあって、それについて語っている人も結構いましたけど、その中で一人だけ妙な発言をしている人がいたんです」
―――
「しかし痛ましい事件ですね、若い女性が全身数十か所をナイフで滅多刺しにされて殺害されるとは」
―――
「それのどこが妙なんだ?」
今井刑事は車を運転しながら、首をかしげた。確かに特に問題のない発言に聞こえるが……
「凶器ですよ。確かに使われたのはナイフのようなものでしたが、警察は注意喚起の際に凶器が何だったのかは一切言及していません」
「あっ!!」
「刺殺に使う凶器と言えば包丁もありますし、アイスピックだってあります。では、どうしてナイフだと断定できたのか……それは実際に使った犯人だからってことになるんです」
「な、なるほど。その発言をした人物は確か……」
「ええ……ゴミ回収業者の米緒誠志、彼こそが犯人です!!」
レストランで綾乃ちゃんの前で笑顔でゴミを回収し、綾乃ちゃんが縁の下の力持ちと感謝していた人物。彼こそが綾乃ちゃんと亜麻さんを殺した犯人だったとは……のり子は自分の洞察力の無さに呆れるしかなかった。
「しかし、あいつにはアリバイがあっただろう? 20:00に来て、20:50にはたくさんのゴミ袋を抱えて事務所に行って回収完了を店長に報告している。店長が後で調べたらちゃんと店内のゴミは回収されていたそうだし、回収には40分はかかるわけで、10分では犯行は不可能だと思うが」
「……ちゃんとゴミを回収していたらね」
「え?」
「あの時、米緒はゴミを回収してなんかいなかったんですよ。店員の片瀬さんが言っていましたが、今は盛夏期で店内は混雑していて店内のどこに誰がいるかも把握しづらい。そんな中で他の店員との連携や客対応をしているわけですから、ゴミ回収業者がいるかいないかなんてホール係も分かるわけがないんです」
「そ、それは確かにそうだが……じゃあ、奴が持っていたたくさんのゴミ袋は?」
「それは前日回収した分ですよ。同じ店の回収したゴミが前日分か当日分かなんて、パッと見で分かるわけがない。それを回収車から持ってくるなんて、数分で済みます」
考えてみれば、回収したゴミをいちいち事務所に持ってきて店長に見せる必要はない。あれは、確かに今回収しましたよということを強調するためのパフォーマンスだったわけだ。
「し、しかし実際に店内のゴミは回収されていたのを店長は確認したんだぞ。もし君の言うことが本当なら、ゴミは残っていることになるわけで」
「そう、それがこのトリックの巧妙なところなんですよ。犯人は綾乃ちゃんを殺害してレストランに戻ってきて店長に帰りの挨拶をした後……改めて店内のゴミを回収したんです」
「な……何だって!!??」
「さっきも言いましたが、盛夏期である今は混雑で店内にゴミ回収業者がいるかいないかなんてホール係も分からない。まして元々ゴミ回収業者というのは目立たない服装をしているんです、いつもと服装を変えて帽子でも被れば客と判別すらできません」
「な、なるほど。店長に帰りの挨拶をしたのが20:50、そこから急いで回収すれば21:30頃には終わる。混雑で各種チェックは閉店後になってしまうのが実状と言っていたし、22:00以降に店長がチェックすればゴミは回収されていて、まるで20:00~20:50の間に回収されたと思わせることが出来るというわけか」
要は帳尻合わせであり、結果として回収されていれば店側も過程について詳細に調べようともしないということだ。シンプルだが、盲点を突いたトリックと言える。
「つまり米緒は20:00に店に着いて店長に挨拶した後、すぐに車で森林公園に向かってAホテルに行く道とBホテルに行く道の分かれ道で待機し、綾乃ちゃんと心也君が二人になったのを見計らって心也君を気絶させ、綾乃ちゃんを誘拐して殺害。すぐにレストランに戻って前日回収したゴミ袋を持って事務所に行き店長に挨拶、その後そのゴミを回収車に戻して急いで店内のゴミを回収し立ち去ったんです」
「レストランから森林公園まで車で片道約15分だから往復30分、犠牲者を待ち伏せして誘拐して殺害するのに約15分、合計45分だから犯行は確かに可能だな」
「まあ今回は綾乃ちゃんが途中でトイレに行きたくなって心也君と少しの時間離れたのは米緒にとってラッキーでしたけど、それがなかったとしても男子高校生と女子高生の2人組です、暗闇から不意打ちすれば心也君を気絶させて綾乃ちゃんを誘拐するのは難しくないですからね」
「しかし、ゴミ回収時刻と綾乃君が森林公園に来る時刻が一致したのは偶然なのか?」
「いいえ、そんなことありませんよ。店員の片瀬さんが言っていたでしょう、基本20:00に回収ですが回るのはここだけじゃないんで時間はある程度前後するって。ゴミ回収というのは基本そういうものですから何にも不自然じゃないですし、盗聴器で綾乃ちゃんの行動を把握していたんですからそれに合わせて店着時刻を調整したんです」
「なるほど、夕食の時間帯となればある程度絞られるわけだし、綾乃君は高校生だから酒も飲めない関係で夜遅くにもなりにくい、時刻調整は十分に可能ということか」
ゴミ収集業者という一見自由が利かない立場でありながら、その立場を利用してアリバイを作って悠々と罪のない善良な女の子達を次々と殺害していたとは……のり子は改めて米緒への激しい憎悪を感じた。
「のり子君、森林公園に着いたぞ!!」
今井刑事の言葉を聞き、のり子はすぐに車を降りた。辺りを見回すと、ゴミ回収車を発見した。やはり犯人は米緒だ……のり子は今井刑事と一緒にすぐに森林公園の中に入り、全速力で走って織絵を探し始めた。
「のり子君、着いたのは良いが織絵君がどこにいるのか見当はついているのか? この暗闇では、正直見つけにくいぞ」
「大丈夫ですよ。織絵ちゃん言っていたでしょう、追ってきてくださいって。私なら……分かるって」
「た、確かに言っていたが……どういう意味なんだ?」
「あれですよ」
「あれは……蓄光塗料!?」
「今日、織絵ちゃんに夜にどこにいても見つけられるようにって私が渡したんです」
道に少しずつ蓄光塗料が落ちている、織絵ちゃんが米緒から逃げながら垂らしてくれているのだろう。これを追えば……その先に織絵ちゃんがいる!!
「しかし、これは米緒にも見えるのだろう? もし消されてしまったら」
「心配ありませんよ。少量だから見えにくいですし、仮に気付いたとしても消しながら織絵ちゃんを追っては明らかに自分自身のスピードが落ちて逃げ切られてしまいます」
「なるほど、こんな緊急事態でそこまで頭が回る織絵君もさすがだな、これならば」
「……油断は禁物ですよ、今井刑事」
「何だと!?」
「織絵ちゃんはバドミントン部に所属していますから体力はありますし、足も速い方です。ですが……それはあくまで女性としてです。何だかんだで男性と女性では体力や運動能力に差があります、男性の米緒相手では……分が悪いのは変わらないんです」
そう……状況が極めて悪いのは変わらない。織絵ちゃんが想像以上に頑張ってくれているから、ギリギリ繋がっているだけだ。織絵ちゃんもこれ以上時間を稼ぐのは厳しいはず、普通のことをしていては助けられない。ならば……普通じゃないことをするまで!!
「今井刑事、今から作戦を話します。危険ですけど……協力してください!!」
「……のり子君の言うことなら、どんな危険でも付き合うさ!!」
今井刑事は走りながら笑顔で了承してくれた。本当に良い刑事に恵まれたものだ……のり子は心が温かくなるのを感じ、更に走るスピードを速めた。
***
~織絵視点~
「はぁ、はぁ……」
段々息が切れてくるのを織絵は感じていた、走る速度も明らかに落ちている。元々視界も足場も悪く、草木が邪魔をする森林公園内を走っているのだ。加えて蓄光塗料を垂らしながらなのだから、本来のスピードを出せず体力も普段より消耗する。
最初に向こうが織絵の行動に面食らって遅れた分のアドバンテージも少なくなってきた、かなり向こうが近づいてきているのを感じる。ただ逃げるだけではこれ以上時間を稼ぐことは出来ない……何か、何か策はないのか。そう思った瞬間、前方に月の光に照らされた空間を織絵は発見した。
「……広場?」
小さいが、障害物がない空間。どうせ犯人が間近に迫っているのであれば……不意打ちが出来ないあの空間で対峙し、時間を稼いで体力も回復した方が良い。織絵はそこに急ぎ、到着した後すぐに振り返って犯人の顔を確認し……驚愕した。
「あなたは……ゴミ回収業者の米緒さん!!??」
「へっ……可愛い顔して思った以上にやるじゃねえか、驚いたぜ」
レストランで見せた紳士的な態度とは180度違った、外道な笑み。まともな人間の顔じゃない……これがこの男の本性ということか。すぐに襲ってこないのは、彼も体力を消耗しているからだろう。織絵は米緒を憎悪に満ちた目で睨み、尋ねた。
「あなたが……綾乃ちゃんを殺したんですか?」
「ああ、そうだ。俺好みの可愛い子だったんでねえ。殺そうとした時の反応も滅多刺しにしている時の反応も初々しくて愛らしくて素晴らしかったから、ついやりすぎちまった」
「……」
「あそこまで楽しめたのは初めてかもしれんな、あの子に感謝しているぜ。命乞いも悲鳴も助けを呼ぶ声も、本当に最高だったな」
―――
「ひっ!! や、やだ……お願いです、殺さないで」
「ふふふ……残念でした、それじゃあな」
「いやああああ!!!!」
米緒のナイフが綾乃の華奢な体に突き刺さり、血飛沫が舞った。綾乃は苦痛に顔を歪めて悲鳴をあげ、米緒はそれを楽しむように何度も綾乃の体にナイフを突き刺した。
「うっ…うっ…うっ…」
「良いねえその反応、たまらねえ」
「痛い……痛いよお……心也君、助けて……」
―――
織絵は今までの人生で一番大きな憎悪を米緒に向けた。頭の中が灼熱の怒りの炎に包まれて、どうすることも出来ない。こんな……こんな人の心を持たない悪魔に綾乃ちゃんの幸せな未来は奪われたっていうの!!??
「亜麻さんを殺したのも……あなたですか?」
「ああ、そうだ。綾乃とかいう子に比べると初々しさは足りなかったがな、なかなかの上玉だったぜ。『毬友……助けて』って断末魔の声も良かったなあ、今回は本当に獲物に恵まれていてラッキーだよ」
「……」
「お前は特に上玉だと思っていたんでな。茶色のゆるふわヘアーでワンピース姿っていう俺の好みにも合致しているし、これを逃したらいつ出会えるか分からねえレベルだ。悪いが、何としても仕留めさせてもらうぜ」
「……許さない」
「あ?」
「あなただけは……絶対に許さない!!!!」
織絵は憎悪に満ちた灼熱の怒りの炎を瞳に灯し、米緒を睨みつけた。命を狙われている恐怖など、もはや問題ではない。自分の中の溢れ出る怒りを目の前にいる怨敵にぶつけること……今の織絵にそれを制御することなど出来なかった。
「へえ、大した勇気じゃねえか。だがなあ、お前に何が出来る? そんな小さな華奢な体でよお」
「人の心を持たないあなたには分からない……一人では出来なくても、人の力を借りることで出来ることがあるってことが!!!!」
織絵は大声で叫んだ瞬間、こっそり手に握っておいた土を米緒の顔に向かって投げつけた。織絵はすぐに後ろを向き、全速力で逃げ出した。
「ぐっ!! あ、あの小娘があ!!」
土が目に入り、それをぬぐうのに時間がかかった米緒は明らかにスタートが遅れた。上手くいった……織絵はそう思ったが、一方でこれも長くは続かないだろうとも思った。広場で米緒と対峙して喋って時間を稼いである程度体力を回復できたとはいえ、完全に戻ったわけではない。先程のような時間稼ぎは、もう出来ない。だが……
「綾乃ちゃん……」
織絵は綾乃の笑顔を思い浮かべた。一生の友達になれたかもしれない存在……幸せな未来がこれからいくらでも待っていたはず……それを理不尽に奪われたあの子の想いを、絶対に無駄には出来ない。織絵は綾乃の想いを胸に秘め、体力の限界を超えて走り続けた。私は……一人じゃない!!
***
「くっ……」
「はっはっは、大分手こずらせやがったがなあ、ここまでだな」
織絵はひたすら逃げ続けたが、やはり男性と女性の体力や運動能力の差は明らかだった。先程とは違う小さな広場で織絵は端に追い詰められ、悔しそうな表情を浮かべていた。
「飛び抜けて可愛いだけじゃなく、胆力もあるか。面白れえ、たっぷり味わいながら殺してやるよ!!」
米緒の外道な笑みが、織絵の瞳に映る。頭がパンクしそうな程考え、体力の限界を超えて走り続けたが、時間を稼ぐのはこれが限界だ。あとはもう……あの人の力に頼るしかない。
「お願いです……頼らせてください」
「死ねえ!!」
今まで織絵は何度も助けられてきた、貰った恩をどれだけの時間をかければ返せるのか想像も出来ないくらい。だからこそ、今回は可能な限り自分の力で切り抜けていきたかった。心の底から慕っている、あの人に胸を張れるように。だが……今の織絵ではこれが限界だった。織絵は息を吸い、大声であの人の名を呼んだ。
「助けて、のり子さん!!!!」
米緒のナイフが振り下ろされ、織絵が目を瞑ったその瞬間、何者かが織絵を抱いて米緒のナイフを間一髪で回避した。
「な、何だ。何が起こった!?」
米緒はナイフを地面から抜き、何者かの顔を睨みつけた。その者はスマホの懐中電灯機能をオンにし、織絵の前に立ちはだかった。
「の……のり子さん!!??」
「織絵ちゃん……良かった、間に合って」
自分は生きている……その実感と、目の前に心の底から慕ってるあの人がいるという喜びと頼もしさが、織絵の心を踊らせた。
「米緒誠志……あなたのような悪魔に、この子を殺させはしない。この子は……私にとって大切な存在なの!!!!」
「のり子、さん……」
のり子の言葉に、織絵の胸はかつてない程熱くなった。今は犯人に命を狙われている状況、こんなことを考えている場合じゃないということは織絵も分かっている。だが……どうしても無視することは出来なかった。この胸の熱さと鼓動の高鳴りだけは……
「はっはっは、頼もしい限りだな。お前、レストランで一緒にいた子だな。もしかして、さっき電話で話していたのり子って奴か?」
「ええ、そうよ。この子は私の後輩なの」
「こりゃまた後輩想いの良い先輩だねえ。よく見るとかなり可愛いしな、先輩後輩もろともぶっ殺すっていうのも乙かもしれんな」
「やってみなさいよ、私はそんな簡単に殺されはしないわよ」
「良いねえ、その度胸。後輩の度胸も先輩譲りってか? だがなあ、お前も所詮は華奢な小娘だ、俺の前では何も出来ねえよ!!」
米緒に屈せず彼を睨み続けるのり子に織絵は頼もしさを感じつつ、危機感を感じていた。のり子は頼もしいが同じ女子高生、推理力は抜群でも戦うとなると力に勝りナイフを持つ米緒相手では明らかに不利だ。
「の、のり子さん、駄目です。このままじゃ、のり子さんまで殺されて……」
「安心して、織絵ちゃん。私は探偵よ、何の仕込みもなく突っ込んだりは……しない」
「え……?」
「2人まとめて……死にやがれ!!」
ドンッ!!!!
米緒がナイフを振り上げた時、大きな音が森林公園に響いた。米緒はナイフを落とし、血まみれの掌を抑えながら、地面にうずくまった。
「ぐ……ぐああああ!!!!」
痛みで絶叫する米緒の後ろで、片手に銃を持って立つ男の姿があった。織絵はその男がいる方向に振り向き、目を丸くした。
「い……今井刑事!!??」
「推理は苦手だが……銃の腕前には自信があるんでね」
「ふぅ……良かった、上手くいって」
のり子は地面に膝を突き、ホッと安堵のため息をついた。今井刑事は米緒の傍に歩いていき、手錠をかけた。
「米緒誠志、殺人未遂の現行犯で逮捕する!!」
「く……くそおおおお!!!!」
米緒が悔し声をあげる一方で、織絵は全身の力が抜けて地面にペタリと手を突いた。助かった……自分ものり子さんも。織絵の心も安堵感でいっぱいだった。
「銃の腕には自信があるって、本当だったんですね」
「そんな嘘などつかん。まったく……上手くいったから良かったものの、無茶しすぎだぞ。下手すれば、2人とも殺されていたんだから」
「これしか策はなかったですし……信じてますから、今井刑事のこと」
「……俺もだ」
のり子と今井刑事がお互い微笑んで話しているのを、織絵は温かい気持ちで見つめていた。そんな織絵の方にのり子が振り向き、優しい笑顔で呟いた。
「織絵ちゃん」
「何ですか?」
「綾乃ちゃんの仇……討てたね」
「……はいっ!!!!」
織絵は満面の笑みを浮かべ、元気に返事をした。織絵には、綾乃の声が聞こえたような気がした。
「ありがとう……織絵ちゃん」




