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鮮血の花嫁殺人事件⑦(ドレスに隠された真実)

 三空に話を聞き終え、のり子はすみれと今井刑事と一緒に撮影室に向かっていた。その途中で、すみれがのり子に心配そうな顔で話しかけてきた。内容は……予想できるが。


「ねえのり子……やっぱり三空さんは」

「……現状では容疑者の最有力候補だろうね、残念だけど」

「だよね……」

「動機は十分、事件当時鍵を持っていてアリバイもないとなればな。まして犠牲者2人に直接的な被害を受けていると確定しているのは彼女だけだ」


 正直、ここまで揃っていて彼女を疑うなという方が無理だ。でも、一方で彼女が犯人だという証拠もない。であれば、まだ他の可能性も探らないといけない。そのためには、やはり雪奈さん殺しが鍵となってくるだろう。撮影室に着き、のり子は改めて部屋を調べた。


「やっぱりこの事件の鍵は、この部屋が事件当時密室だったことですね」

「そうだな。君の言うように不自然な点はあるにせよ、密室の謎が崩れないことにはやはり鍵を持っていた人物が犯人ということになる」

「もしくは共犯ですよね。ですけど、本当にどうして犯人は凶器を抜いたんでしょう、自殺の可能性も残しておいた方が都合がいいはずなのに」


 まさにすみれの言う通りだ、密室にする最大のメリットを放棄する理由は何なのか、天秤にかけてもデメリットの方が大きい。もしくは……


「凶器を抜かざるを得なかった……?」

「どうしたんだ、のり子君?」

「いえ、何でもないです。あと気になるのは、やはり今回の事件がウエディングドレス尽くしなところですね」

「犯人がウエディングドレスに執着があるからじゃないの?」

「その可能性もあるけど……トリックの都合上、必要だったからだとしたら?」


 最初はウエディングドレスの華やかさや神秘性から、のり子もそれほど深くは考えなかったが……もしかしたらそこにトリックを暴くカギが隠されているかもしれない。


「ふむ、なるほど。しかしウエディングドレスでないといけない理由か……」

「私はあまり詳しくないからなあ……すみれ、何か思いつかない?」

「特徴をあげるとすると、色は純白が多くて基本雪奈さんや私が着ていたふわっとした感じのデザインが多い、ベールとかグローブとか花束とかオプションが多いところかな」

「確か、すみれが着ていた【Aライン】よりも雪奈さんが着ていた【プリンセスライン】の方がよりふわっとしているんだっけ?」

「そうだね、スカートのボリュームが下半身を丸ごとカバーしてくれるから、対比でウエストが細く見えたりお尻の大きさが気にならなくなったりで、日本人の体形に一番合うんだって」


 さすがすみれ、本当にモデルになった方が良いんじゃないかと思えてくるが……まてよ、それらがウエディングドレスの大まかな特徴だとしたら……!?


「どうしたんだ、のり子君」

「今井刑事……今、私突拍子もないことを思いついたんです。いや、でもそれを行うにはやはり色々と難点が……」

「どうしたの、のり子。急に独り言始めて」

「……ねえすみれ、部屋に入って雪奈さんが倒れているのを発見して、どのくらい近づいた?」

「うーん、そんなには。ドアの辺りから十分見えたし、さすがに怖いから」


 そう、慣れているのり子ならともかく普通の人、ましてまだ高校生であるすみれが死体に近づきたくないというのはごく自然なことだ。ドアの辺りから見えるなら猶更である。


「それと、倒れている雪奈さんのどの辺りを見たの?」

「どこって、そりゃ血に染まっている左胸辺りよ」

「だよね……で、ベールは下りてた?」

「う、うん」

「やはり……」


 だとしたら、すべて説明できる。部屋を密室にした理由も、凶器を抜いた理由も、事件がウエディングドレス尽くしなことも……


「今井刑事、すみれ……分かりましたよ、犯人もトリックも」

「な……何だって!!??」

「ほ、本当なの!!??」

「うん、だけどまだ証拠がない。それを見つけないことには」

「証拠か……うーむ、警察としても調べられるところは調べたからな」


 確かに今井刑事の言う通りだ。しかしそれは逆に言えば【警察が調べそうにないところ】に証拠があるかもしれない、とも言える。でも、具体的にどこかと言われると……


「せっかくここまで来てるのに……あと一押しなんだけど」

「のり子、一息入れたら? 脳味噌フル回転してるわけだしさ、こういう時こそ落ち着かないと」

「あー……そうかもしれない」

「談話室でジュースでも飲もうよ、おごるからさ」

「ありがと、すみれ」


 すみれの言う通りだ、ここは一度リフレッシュしよう。まったく、今回の事件は何かとすみれにお世話になっている気がするな、今度ちゃんとお礼しないと。


「それじゃ、俺はトイレ行ってから合流するから、先に行っていてくれ」

「分かりました、行こうのり子。それとも、のり子も一応トイレ行っておく?」

「ううん、大丈夫。特に問題は……!?」


 その瞬間、のり子の頭の中に一つの可能性が浮かんだ。もしかしたら、これが……


「今井刑事、トイレ行った後に今から私が言うことを調べてもらえませんか?」

「あ、ああ、分かった。で、その調べることというのは?」


 のり子は今井刑事に調べてほしいことを伝え、先に談話室に向かった。


***


 談話室ですみれと一緒にのり子は今井刑事の帰りを待っていた。しばらくして今井刑事が戻ってきて、のり子に調べた結果を報告した。


「のり子君……君の言った通りだったよ」

「やはり……これで、確定ですね」

「じ、じゃあ、のり子」

「うん、謎は解けたよ、完全に」

「す……凄い!! さすがはのり子だよ。じゃあ私、みんなをこの部屋に呼んでくるね」

「お願い」


 そう言い部屋を出て行ったすみれを見送りながら、のり子は今一度頭の中を整理し始めた。この後関係者全員に真相を説明する準備である。


「のり子君、ちょっといいか?」

「はい、大丈夫ですけど」

「実は一つ君に伝えたいことがあってね。この事件の真相が分かるまでは混乱させないようにと黙っていたんだが、それも分かったみたいだから良いタイミングだと思ってね」

「お気遣いありがとうございます。それで、伝えたい事というのは?」


 今井刑事が妙に畏まった態度で話を振ってきた。何だろう、重要な案件なのだろうか。


「実は先日とある殺人事件が起こってね。君に相談しようとも思ったんだが、内容が内容だし、君も色々あったから言わなかったんだ」

「犯人は捕まったんですか?」

「いや、捕まっていない。というか誰なのか見当はついているんだ、だが証拠がなくてね」

「……なるほど」

「どうする、今話しても良いが?」

「いえ、今はこの事件の真相を暴くのが先です」


 今井刑事が何を言いたいのか、のり子には何となく察することが出来た。それはのり子がこの事件の捜査をする上で浮かび上がってきた一つの疑問であり可能性、それに関係しているからである。【スエジリ】の真実……それはこの事件を解決してからだ。


「のり子、みんな呼んできたよ!!」

「のり子ちゃん、どうしたんだ急に」

「何かわかったの?」


 編集長や三空を始め、事件の関係者が全員撮影室に集まった。のり子は一度深呼吸をし、芯の通った大きな声で告げた。


「分かったんですよ……事件の真相が」

「な……何だって!!??」


 編集長のみならず、既に話を聞いている今井刑事とすみれ以外の全員が驚きの表情を浮かべた。死のジューンブライドは……これで終わりにする!!


「雪奈さんと冬夢さんを殺した犯人は……この中にいます!!」

読んでくださり、ありがとうございました。


次回から解答編に入ります、この事件の犯人は誰でしょうか?


みなさんも推理してみてください。

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