閑話 大浴場②
少し上に上がりますと湯船の淵に腰掛ければ、アレイナものぼせる手前だったのか湯船の淵に腰掛けて手でパタパタと仰いでいる。
リリーちゃんとロメーヌには悪いが先に上がろうか、なんて話をしていたら
「久しぶりの風呂ぉ〜リリーさんも早く早くぅー
あっ!タキナ様にアレイナちゃーん!
後で私が2人の体の隅々まで、念入りに洗って差し上げちゃいますからねぇ〜」
手をワキワキさせながらニマニマしているロメーヌに、アレイナと共に冷たい一瞥を送る
「「お断りします」」
「ひどぉ〜い!!」
と言いつつカラカラと笑うロメーヌは、ゴイスーボディを惜しげもなく晒し、いつものテンションで巨乳を揺らしながら「2人とも冷たいぃ〜!」と、駄々をこねる様なそぶりを見せれば、その後ろから幼児体型のリリーちゃんがトボトボと浴場に入ってくる。
「邪魔です」
そう言ってロメーヌを睨みつければ、それをまるで意に返さないロメーヌが
「いやぁーん、リリーさんも酷いぃーでも可愛いぃー!」
そう言いながらロメーヌがリリーちゃんに抱きつこうとしたが、それを交わしてリリーちゃんがコチラにやってくる。
「皆んなひどぉぃー!
洗わせてくれたらぁー胸が大きくなるマッサージしちゃいますよぉー!
私みたいなぁー超巨乳も夢じゃ無いんですからぁー!」
その言葉に、アレイナがヤレヤレとため息をつき、リリーちゃんは完全無視を決め込んでいる。
しかし、私だけが何だと!?と、顔をあげる。
それを見たロメーヌが妖艶な笑みを浮かべ
「あらぁ〜、もしかしてタキナ様はご興味がおありですかぁー?
もぉー、タキナ様もやっぱり女の子ですねぇーンフフフ」
私に手招きしながらニマニマと笑うロメーヌを見つつ、今ばかりはロメーヌの言葉にのってみたり…いやでもぉ…神としてこれはどう…いやしかし、私も女なわけで!!
と、葛藤の末に立ちあがろうとする私の肩をアレイナが掴んで押し戻す。
「ダメですよタキナ様!!しっかりして下さい!!
あんな事言って、タキナ様の胸を揉みたいだけですからね!!
タキナ様にいやらしい事したいだけなんですよあの人は!!
タキナ様、聞いてます!?タキナ様ぁぁぁ!?」
「そんな事ないですよぉー、ほら見てくださいタキナ様!
私に身を委ねれば、こんな風になるのも夢じゃありませんからぁー
さぁーさぁータキナ様ぁーこちらにぃー」
ロメーヌがニマニマと笑いながら腕を組んで自分の胸の下に入れ、その豊満な胸をバインバインさせているロメーヌ
うっ…羨ましい…あそこまでじゃなくても良い…せめてもう二回りくらいで良いんだ!!!
ロメーヌの誘いに乗るようにヨタリと一歩踏み出せば、両手を広げたアレイナが前に立ちはだかる。
「どいてくださいアレイナ、私は…私は行かなくては…巨乳が私を呼んでいる!」
「タキナ様!!お気を確かに!!
リリーさんもタキナ様を止めてください!!
完全に正気を失っておられますよ!!
タキナ様が前代未聞のご乱心ですよ!!」
随分と大人しくしているリリーちゃんを不審に思い視線を落とせば、その肩がワナワナと震えている。
すると、バッとリリーちゃんが顔をあげたと思ったら
「タキナ様!!
あんな痴女に奉仕させるくらいなら、リリーがタキナ様の胸にご奉仕し「いや言い方!!!」」
思わずリリーちゃんにツッコミを入れたところで、己の胸へのコンプレックスのあまり正気を失いかけていたと反省しつつ、リリーちゃんの顔を見ればその鼻から赤い筋がツーッと垂れる。
えっ!?まさか!?
「リッ!リリーちゃん鼻血出てますよ!!」
「はっ!?リリーさん!?
タオルタオル!!ロメーヌさん!!ふざけてる場合じゃないです!!」
「あら大変ー!
リリーさん、さてはタキナ様にご奉仕しちゃう想像しましたねぇー!
リリーさんのえっちぃー!ってイヤァン♡」
鼻血を垂らしたままのリリーちゃんが、近くにあった小さい木の椅子を掴むとロメーヌに投げつけるが、笑顔であっさり避けるロメーヌ、その背後で木の椅子が壁にぶつかり砕け散った。
割と本気で投げましたねリリーちゃん!?そんな事を思っていると、避けたことが気に入らなかったのか、リリーちゃんの地を這う様な声が浴場に響き渡る。
「クソ痴女エルフがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ンフフフフ♡」
疲れを癒すはずのせっかくの風呂がもはや大騒ぎ、自身が原因であることは百も承知だが、もっかい風呂入り直そう。
現実逃避をして湯船に戻っていけば
「えっ!?タキナ様!?
2人を止めてくださらないんですか!?
ちょっ!2人ともやめて下さい!あっ!また椅子を投げないでくださいリリーさん!!
ロメーヌさんもリリーさんを刺激するのを止めて下さい!!
もぉぉぉぉぉ!!やめなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
今度はアレイナの叫びが浴場に響き渡った。
一方男湯では
「ダハハハハ!!
女湯は随分と賑やかだな!!」
ドートル、ダン、プロンズ、クロイ、エドの5人が大浴場の湯船に並んで浸かっている。
グレンは湯に浸かるもすぐに上がってしまい、今頃外にある売店で肉を食べている事だろう。
「賑やかというより、阿鼻叫喚だな」
ドートルが関わりたくないと言わんばかりに目を瞑る。
「あのエルフ…どうせあいつが引金だろ…」
苛立つクロイに、エドがまぁまぁ、タキナ様がおられますから大丈夫ですよ、と宥めすかす。
「ははは、我らはのんびり湯に浸かり疲れを癒しましょう。
軍に戻ったら我らの方が阿鼻叫喚です。
なにせ、苛立ったシルトフィア代表が待っているんですから…」
プロンズの言葉に皆が現実逃避をする様に目を瞑ると、5人はゆっくりと湯に沈んで行った。




