閑話 大浴場①
※閑話なので、こちらを読まなくても本編には影響しません。
※来週の最新話の更新は諸事情により11月22日(水)に行います。
白い大理石でできた豪華な浴場に、湯煙が漂う。
スチーム効果でお肌も些か生き返っている気がするが、あくまで気がするだけだ。
あまり泡立ちの良くない石鹸で手早く身体と頭を洗い流し、自分の黒髪を簡単に結い上げて足早に湯船の淵に向かう。
念願のお湯に、つま先を浸ければ何とも言えないイイ湯加減!
ただの湯ではないようで、バラのような良い香りが湯からも香る。
ザバザバと階段を下り、ゆっくりと湯に浸かれば
「だぁ〜生き返るぅ〜!!」
思わずおっさんのようなセリフと共に、顎の辺りまで体を湯船に沈める。
シルトフィアに臭いと言われ、兵士に案内されてクロイ達と軍の上層メンバーとこの大浴場に来たわけだが、市民も使う公衆浴場と言う割には、なかなか清潔感のある豪勢な浴場である。
はぁ〜、と息を吐きながら極楽極楽と湯に浸かっていると、遅れて体を洗い終えたアレイナが髪を結いあげ、豊満な胸元を頼りない濡れタオル一枚で隠しつつ、恐る恐る湯に脚を踏み入れる姿はなぜか官能的…お湯に片足を入れただけで顔を赤くして、んっ!と何かに耐える様な声を出しつつ、ノロノロと湯の中に入ってくるアレイナ
その姿を鼻まで湯に浸かり、ブクブクと空気を吐きながら眺めていれば、その視線に気づいたアレイナが
「そっ、そんなに見ないでくださいタキナ様!!」
と、言いつつ顔を赤くしながらもコチラにやって来て私の隣に座ると、アレイナも「はぁ〜」と目を細めて極楽顔になる。
「湯に入るだけなのに、随分と色気のある入り方をするなと思いまして、思わず見惚れてしまいました」
思ったことを正直に述べれば、アレイナがハワワと言いながら見る見る赤くなっていく
同性の私でもわかる!絶対これは男にモテる行動であろうと!
使い所は間違いなくないだろうが、いやはや勉強になる。
「タキナ様は陰日向のない方ですから、そんな方に言われると余計に恥ずかしいです…」
そうですか?と、呑気に返せばアレイナが力強く「そうです!!」と返す。
アレイナと言いロメーヌといいスタイル抜群…巨乳で羨ましい…己の平らな胸を思って、またも湯船に口まで浸かりブクブクと息を吐き出す。
この世界に来る前よりも、視力も良くなり、少しばかり若返らせてもらった。
ついでに胸を三回りくらい大きくしてくれても良かったのにな…そんな煩悩まみれな事を考えていると、アレイナが口を開く
「実は私、この様に大きな浴場に来るのは初めてなんです…
里では湯の張った桶で体を洗い流すくらいしかしたことがなかったので、湯に浸かるのがこんなに気持ちの良いものだとは知りませんでした…」
そう言うと、極楽と言わんばかりに「はぁ〜」と再び息を吐く
ドラゴノイドの里に風呂がないですと!?と言うことは、温泉もないのか!?
「そうだったんですね…
アレイナ、もしやこの世界に温泉は無いんでしょうか?
暖かい湯の湧き出る泉的な物なんですが…」
「オンセンですか?
初めて聞く名前ですが…湯の湧き出る泉ならドラゴノイドの里のほど近い場所にありますが…
ですが、高温で入るのは難しいかと思います…」
「えっ!?あるんですか!?」
思わずバシャリと音を立ててアレイナの方を向けば、アレイナが落ち着いてくださいと言わんばかりに、手でドウドウとジェスチャーをする。
「ありますが、先ほども申し上げたように高温で、沸騰している湯に近い熱さですから入ることは不可能かと思います。」
「いえ!熱くても冷ませば良いんです!!
温泉!!!温泉がある!!!」
やったぁーーーーーー!!!と、叫びたい衝動を堪えつつ、んふふふ〜と思わず機嫌の良い声が出てしまう。
「冷ますって?水でも入れるおつもりですか?」
どう言うことでしょう?と、可愛らしく首を傾げるアレイナに、そうですねーと少し考えて、草津温泉の湯畑を例に出して説明する。
「源泉では熱すぎるので木で水路を作り、そこに源泉を流して外気で冷まし、少し離れた場所に浴場を作る。
そうすれば、ちょうど良い温度の温泉に入れると言うわけです。」
「なるほど!!
それでしたら、ドラゴノイドの里にも浴場が作れます!
毎日こんな湯に浸かれたら幸せすぎます〜」
ヘニャリとした顔をするアレイナを見て、クスクス笑う。
その後、他愛もない話で女子トークに花が咲き、ついつい長湯してしまった。




