33−3.即再会
その言葉を聞いた瞬間、兵士達が素早く己の腰の剣に手を掛け、ルークスもまた身構える。
流石獣人素早い身のこなしだと、心の中で笑いながら己のフードを取れば、驚き見開かれる兵士達の瞳にその黒髪が映る。
彼らが呆気に取られている隙に、天井と床から黒い鎖が一瞬で伸び兵士達の両手、両脚を拘束して大の字状態で空中に固定される5人
「なっ!?」「離せ!!」
鎖で拘束された兵士達が喚き立てながら踠くがびくともしない鎖、獣人の素早さを目の当たりにしたので、捕まえられなかったら恥ずかしいな…なんて過っていたが、大丈夫だったー!良かったー!!
心の中で安堵しつつ、満面の笑みを兵士達に向けて一歩踏み出すと、口を一文字に結び黙る兵士達
はい!皆さんが静かになるまで3分かかりました!と、言ってみたかったが数秒だった。
察しが良くて素晴らしいです。
心の中で拍手しつつ
「さて、私の正体は言うまでもなくご理解いただけましたでしょうか?」
そう問えば、ルークスがコチラを見据える
「正直、もしやとは思っておりましたが…本当に黒髪の女というのがタキナ様だったとは…」
「ルークスお前!!と、言ってやりたいところだが、俺も同罪みたいなもんだからな…」
ギリアムがため息混じりに答える。
裏切ったみたいな気持ちになってくるが、死活問題なので仕方あるまい
「強硬手段は私とて取りたくありませんでしたが、事は急を要します。
先ほども伝えたように、明日の昼にはコチラに魔獣の群れが到着します。
ただの魔獣なら私が一掃しますが、そうではない…屍でありながら動く魔獣、そして通常の魔獣よりも強力「死んでる魔獣が動くわけねーだろ!いっ!!?イデデデデデ!!!千切れる!!腕と足が千切れるぅぅぅぅぅ!!」」
悪態ついた兵士の1人の鎖を、笑顔で締め上げる。
よく見れば来た時にクロイに腕を掴まれていた兵士だ。
「バカ間抜け!!口を慎め!!」
ギリアムが怒鳴り付けたので、引っ張る力を緩めててやる
「スミマセン…」と、蚊の鳴くような声で謝罪する兵士を一瞥して話を続けようと皆を見る
「こんな話、信じろと言うのはなかなか無理と言うのも仕方のない事、兵士の誰かを偵察に出していただいて、ご自分達の目で確認するのが早いでしょう。
魔獣の対処は私の方で引き受けるつもりですが、100以上いる魔獣の群れが散り散りになれば追うのは難しい
念の為、近隣の住民達には避難して頂きたいのです」
そう伝えれば、ギリアムがコチラを見据える
「何故だ…、何故助ける
村人が死のうと、この国がどうなろうとアンタには関係ないだろう
自分の身に危険が迫った時にどうにかすりゃ良い
なんせアンタにはドラゴンを落とすほどに力があるんだ」
その言葉に、またかと思う。
この世界の人には種族関係なく得のない人助けはしない。と言うのが、常識なのだと実感する。
「この世界の方々は本当に人助けに理由を求めるんですね。
理由なんてありませんよ、まして人の命を助ける事になんて理由なんて必要ありません
神とはそう言う者であり、私の世界では当たり前のことです。」
「私の世界って…どう言う…」
ルークスの問いに
「私はこの世界で唯一の神という種族
この世界を救済するために参りました。
まぁ、この話を信じる信じないは後で議論しましょう
まずは、行動を開始してもらわねば困ります。」
そう、挑むように睨みつければギリアムとルークス以外の兵士がたじろぐ
「そうは言ってもな…アンタの話を信用して俺たちが行動しても、他の兵士達は俺たちの似たような反応をするのが関の山だ」
ギリアムの言葉に、ルークスも頷く
その言葉に、今度は私が自分の口を一文字に結ぶ…やっぱりダメか、そんな気はしていたが仕方ない。
ルークスのツテで兵士達を指揮している者に合わせてもらう他ないだろう。
其処でも、この状況と同じ事が繰り広げられるのだろうなと容易に想像できる。
もういっその事、私の話を聞けぇー!!
ミッドラス国民よぉぉぉ!!って、国の中心で叫び散らしちゃう?
いや、それは流石に脳筋過ぎる…
そんな事を思っていると、兵士とクロイが一斉にドアの方を見る。
えっ?と、遅れて扉の方を見ればバンッ!!と勢いよく開いた扉に驚く
夜の闇にすら映えるその仁王立ちした姿、そこに立っていた人物に思わずカッコイイ!!!!
と、叫びそうになったが平然を装った自分を褒めてやりたい。
しかし…どちら様ですか!?




