33-1.即再会
珍しく荒ぶっていたロメーヌの話を聞けば獣人の兵士から
「フレイムボアとサーベルウルフが群れで?
そんな馬鹿な話があるか、作り話ならもっとマシな話作ってこい。
こっちは忙しいんだ。」
と、相手にされなかったという事らしい。
その話を聞いて、盛大なため息をつく
まさか、作り話と思われるとは…魔獣が頻出しているのだから、てっきり信じてくれると思ったのだが…甘かった。
この分だと、ミッドラス兵の視界に魔獣達が入るまで信じてもらえないという事であろう。
ミッドラスを覆う城壁は分厚く強固に見えるが、城門の強度はいかほどなのか…死体だし弱そうと思っていたのだが、クロイ達の話を詳しく聞けば通常の魔獣よりも強いというではないか…
何の準備もしないで、いきなりミッドラスの兵士が対応できるのか…私がここで出しゃばったとして、まだ人々から信頼を得られていない私が魔獣を呼び込んだとか言い出されないか不安もある。
私の判断次第で物事が大きく変わるし、ミッドラス兵士や平原に出ている人々の命にも関わる。
自分の保身より、人命を優先したい。
例え人々から信頼されなくとも…そう思った瞬間、ズキリと頭痛が起こる。
「クッ…」
ぐらりと眩暈が起きそうな程の頭痛に思わず前屈みになる。
朝方の頭痛と言い、あの夢といい急にどうしたというのか…
「タキナ様!?」
異変に気づいたリリーちゃんが、すぐ様私の側に走り寄る。
私の様子に皆の声もピタリと止まる。
「大丈夫です。
一瞬、眩暈がしただけなので…ちょっと寝過ぎたのかもしれませんね。
もう大丈夫ですから、心配しないでください」
そう伝えるも不安そうなリリーちゃんや、皆なの顔が本当に大丈夫ですか?と言っている。
拭えない不安はあるが…今は自分の事など二の次だ。
「私のことよりも、魔獣のことが最優先です。
ミッドラス兵士に魔獣の対処を任せて私はサポート役にと思っていましたが、そうも言ってられない状況ですね。
魔獣は可能な限り私が対処しますが、大量の魔獣が四方に逃げ惑えば全てに対処するのは難しい
抜け出た魔獣は、攻撃力の高いリリーちゃんとグレンを筆頭に対処をお願いします。
ミッドラスの周辺には農村もありましたよね、念の為、村人の避難も必要か…私の黒髪を見せれば嫌でも避難してくれるでしょうか…」
偉そうに仕切っているものの、果たしてこれが正解なのだろうか…自分の判断ミスで誰かが命を落としたり、怪我をしたらと不安で押しつぶされそうになる。
あの悪夢とはまた違った恐怖、内心で頭を掻き毟りつつも、できる限り私が何とかしなければ…俯き、床を見つめながらそんな事を考えていると、アレイナが私の前に来たと思ったら私の両肩を突然掴んだ。
驚いて見上げれば、口元がワナワナと震えているアレイナ
「タキナ様!!!
タキナ様はお一人じゃありません!!
私達が居ます!私では力不足かもしれませんが…それでも!タキナ様のお力になりたいんです!
どうかお一人で抱え込まないで下さい!」
アレイナの突然の言葉に、思わず思考停止してアレイナをポカンと見上げてしまう。
「強強のアレイナちゃんの言う通りですよぉータキナ様ぁー
タキナ様のお力には遠く及びませんけどぉー
こんな私でもタキナ様のお役に立ちたいと思ってるんですよぉー!
いい男探しの旅に来てるだけじゃないんですからぁー」
「アレイナだけではございません。
ドラゴノイド代表として我等も出来る限り助力致します。
魔獣1匹生かして返さぬよう、微力ながら全力を尽くさせて頂きます。」
あぁ…私って本当に…
そうだ…私は1人じゃない…皆なの言葉に思わず目が潤む、私がなんとかしなきゃとそればかり考えていた。
神様なのに人々の手を借りるなんて…そう考えていたけど今更どの口がと本当の神様に言われそうだ。
泣きそうなのが皆なにはバレバレだろうが、ズビッと鼻を啜って
「ありがとうございます。
こんなにも心強い仲間が居るのに、私ときたら本当にダメダメですね。
皆んながいてくれて良かった。
こんなダメな私ですが…どうか皆さんの力を貸してください!」
皆の威勢の良い返事が部屋に響いた。




