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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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29−1.異変



 まだ朝だと言うのに、生い茂る木々が陽の光を隠し辺りは薄暗い。

普段なら心地良い森の空気も、今日は重苦しい気さえする。


 そんな不気味な森に、馬の走る音が響き渡る。

鳥の声すらしない森を見渡せば、この辺ではあまり見かけることのないドラゴノイドの3人組を見つけ、後ろを走るエルフの戦士2人に合図し馬をそちらに向かわせる。


「こんな所でお会いするとは、珍しいですねクロイ殿」


ラトリアがそう声をかけると何やら張り詰めた様子の3人、クロイ殿とドラゴノイドの戦士の2人は護衛だろうか?


「森の様子が気になり、辺りを見回っていた。

ラトリア達も同じような理由で此処に?」


 クロイ殿の言う通り、森が妙にざわついている。

だと言うのに獣1匹どころか魔獣の気配すらない。

 タキナ様の言葉が頭を過り、いても立ってもいられず警戒のため里から出てきたのだ。

タキナ様は魔獣が襲って来るまでには、まだ猶予があると言っていたはず…


「ドラゴノイドの森でも同じ様な状態なのですね」


 落ち着きのない馬の手綱を引いて大人しくさせる。

何かを感じとっているのだろうか


「森に獣の気配がない…魔獣がいないのも気にかかる」


そう言いながら辺りを見回していると、突然離れた場所から鳥達が悲鳴にも似た鳴き声をあげて空へ飛び去っていく


「何だ!?」


驚いた様に声を上げるドラゴノイドの戦士


「確認しにいくぞ、警戒を怠るなよ」


すぐにクロイが馬を走らせ戦士2人もそれに続く


「我々も行くぞ」


 ラトリアと他のエルフの戦士2人もそれを追う様に馬を走らせる。

手綱を握る手が汗ばみ胸騒ぎが治らない。

先行しているクロイ殿、いささか気が急いているようだ


「クロイ殿、何が起きているか予想もつかない状況です。

これ以上近づくのは危険ですので、馬を置いて木伝いに向かいましょう」


 そう提案すれば、コチラを振り返り頷くクロイ

馬を止め、すぐさま木へ上がり6人で鳥が飛び立った場所へ向かえば、立ちこめる濃い血の匂いと獣の匂い…それに混じりかすかに腐敗臭の匂いも漂う。


 袖で鼻を覆いつつ、目を向けた先に居たのは悍ましい光景


「何なんだ…これは…」


 100頭程のサーベルウルフやフレイムボアが群をなし血溜まりの中、同族を食い殺していたのだ。

果敢に争うサーベルウルフだが無惨にも同じサーベルウルフに、喉物を食いちぎられる。

 死んだ仲間に群がるサーベルウルフやフレイムボア、本来フレイムボアはサーベルウルフに狩られる側、一緒に行動するどころか餌を分け合うなどあり得ない。


「タキナ様が言っていたのと…随分と様子が違う様だが…」


 鼻のもげそうな血の匂いが辛いのか、クロイも袖で鼻を抑えながら発した言葉に皆が同意する。

タキナ様の予測が間違っていたのか…


「いや、良く見ろ…食ってるのはただの魔獣じゃない…」


 ドラゴノイドの戦士の1人が指差す。

その先にいた魔獣の足の付け根、胸に近い部分に赤く濁った魔石が体から露出している。


 いや…体がえぐれている様子はない…どちらかと言えば張り付いている?

寄生している様にも見えなくはないが、良く見れば、食われている方の魔獣達にはその赤く濁った魔石の様な物は付いていない。


「あれは…魔石か?あんなに濁った色見たことがない」


「魔石が寄生してる様にも見えるが…」


「そんなバカな事が…」


 他の戦士達も口々に己の見解を述べるが、皆一様にこの光景を見て動揺している。

無理もない…長い時を生きてきたエルフの自分でさえ、魔獣のこの様な行動は聞いた事もなければ初めて目にする。


「タキナ様にお伝えし、指示を仰ぎましょう…。

我らで手こずるサーベルウルフが、あの魔石の魔獣に容易く食い殺されている。

だと言うのにあの数、我らでは勝ち目など到底ない。」


そう伝えればクロイも頷く


「情けない話だが、タキナ様に縋るしかないだろう…

すぐに戻るぞ、ミッドラスへは私が行く」


その言葉に驚く、ドラゴノイドの長自らミッドラスへ!?


何故!?


「クロイ殿はドラゴノイドの長ではありませんか!」


 声を押し殺しながらも驚きを隠せない。

戦士の1人を遣いに出せば済む話、タキナ様に面識のないドラゴノイドでも、長の妹がそばに居れば探すことはできよう。


「見ろ、化け物共が移動し始めた。

道中、奴らと同じ個体と遭遇しないとも限らない。

エルフの君達より我らの方が頑丈さも戦闘力も上、確実に伝えるには私自らが行く方が良い。

1人は護衛で連れていくが、もう1人は里に戻し警戒を取る様に伝える。

ラトリア達も早く里に戻り警戒を、何かあった際はドラゴノイドと連携を取れるように伝えておく」


 そう言ってドラゴノイドの戦士の1人に目配せすると、流石のドラゴノイドの戦士も長自ら行かせることに抵抗があるのか躊躇いを見せると


「行け」


有無を言わせぬ低い声で命じると、一礼をしてすぐさま木伝いに元来た方へと戻って行く


「ラトリア…奴らの向かう方角、嫌な予感がしないか」


そう言われ、ゾロゾロと隊列を成すように歩き出した異様な魔獣達の向かう方角を見て気づく


「まさか…ミッドラス…」



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