24−3. 不如意
「ルークス、どうした?」
空いてる席に向かうミリアの後を追おうと踏み出すが、ルークスが店の奥を見つめていることが気になり、問いかけつつ視線の先を見ればエルフと…ドラゴノイドの姉弟とは珍しい。
その席にはフードを被ったままの者も居て、確かに気になりはするが女同士で酒を飲んで…エルフがドラゴノイドの胸をっ…意外とデカイな…じゃない!
咳払いをして慌てて視線を外すと、同じくルークスも頬を染めて視線を外した様だった。
お前まさか…そういうのが見たくて…と、言わんばかりの目で見ていたのを察したのか
「ちっ、違いますよガイル!!フードの方がコチラを見ていたので少し気になっただけで!
別に女性同士のそう言うのを期待していた訳では無いですからね」
確かに、ルークスは他の兵士たちと違って下世話な話は避ける方だ。
だが、意外な一面がないとも限らない
「そう言う事にしといてやる」
ニヤリと笑ってミリアのいる席へと向かう
「本当に違うんですよー!」
そう言いながら自分もガイルの後を追う
…あのフードの者
目が合った時、何故だか声をかけたい衝動に駆られた。
それは怪しんだからでも、知り合いだからと思った訳でもなく、ただただ声を掛けなければと思った。
向こうが視線を外してくれなければ、そのまま歩み寄っていたかもしれない。
何故そんな事を思ったのか自分でも分からずもう一度、振り返ってフードの者を見るが、先程のような衝動は起こらない。
一体、何がどうしたと言うのか…立て続いている魔獣討伐で疲れが溜まって、感覚がおかしくなっているのかもしない。
今日は、早めに帰ろう
そう思って、ミリア達の席に座ると既に頼んでくれていたエールを煽る。
すると、隣に座っていたガイルが急にズルズルズルとジョッキを持ったまま、テーブルへズルズルと突っ伏していくではないか、聞こえるのはガタイに似合わず静かな寝息
「えっ!?ミリア!何でガイルにお酒飲ませたんですか!!?」
「えっ!?飲ませてないよ!いつもの蜂蜜ティー頼んだよ!」
ガイルはガタイに似合わず下戸なのだ。
しかも酒が入ると即寝てしまう…。
試しにガイルの飲んでいた酒を一口飲むと
「これ…蜂蜜酒ですよ…お茶じゃない…」
「ちょっとハンナァァ!!どうしてくれんのよ!!誰が連れて帰るよのこのデカ物!!」
ハンナはこの店の看板娘だ。
「あら?ゴメーン!間違えたわー、1杯負けとくから頑張って!」
そう言ってウィンクを残して華麗に去っていくハンナ、それを唖然としながら見送りミリアと顔を見合わせると
「あぁーそう言えば私、彼氏と後約束あるんだったわー」
「えぇ!?ミリアまさか!!」
「んじゃ、よろっ!」
自分のエール代をテーブルに置くと、戦闘中でも見た事ないような素早い身のこなしで酔っ払いや店員を避け、風のように酒場を出て行ったミリア、伸ばした手が空を切り、そのままガイルと同じ様にテーブルへと突っ伏す。
「はぁーーーーーー」
長い溜息が酒場の喧騒に消えていった。




