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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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20−1.己の行く末




 私の名前はアレイナ、ドラゴノイドの長の妹

私の父は私が幼い頃から病を長く患っており、薬草に詳しい母に言われて、兄と共に里の外に出て父の為に煎じ薬をよく探しに出ていた。


 その日もいつもの様に兄と薬草を探していたが、酷い夕立にあってしまい逃げ込んだ岩陰で、雨宿りをしていた1人の人間と出会った。

 人間と会ったのはそれが初めてだった。

 その人間は薬師という仕事をしており、薬草を探す旅をしているという。

 その場所に住む人それぞれの治療方法や、薬草の使い方が有ると教えてくれた。


 その人間は他の種族の薬学を自分が学び、そして他へと広めていると言う。

 「小さな活動だけれど、病で苦しんでいる人が1人でも助かるかもしれないから」男はそう言って、お日様みたいな温かい笑顔を見せていた。


 最初こそその男に警戒していた兄も、藁にもすがる思いでその男に父の病状を説明すると、ドラゴノイドの里では雑草扱いしていた草を2種類教えてくれた。

 その薬草の煎じ方も丁寧に教えてくれたのだ。


 雨が止んで人間と別れると、すぐさま里に帰り言われた通りの方法で薬を煎じて父に飲ませたところ、続いてた咳も熱も数日のうちに治まっていった。


 人間に教わった煎じ薬を試すなんてと母には大目玉を食らったが、症状が日に日に良くなっていく父を見て、母も最後は泣いて喜んでいた。


 その時思ったのだ


里の外では治る病も


この里にいては治らぬ事もあるのだと


もっと学びたい


もっと知りたい


助けられる方法が世界には有るのに


知らなければ不治の病となる


 御礼を言いたくて兄と共に男と会った場所に行ったけれど、その人間の姿は何処にもなかった。

 母に教えてもらったドラゴノイドが煎じて使う薬草の一覧、それを書き込んだ羊皮紙をお礼にと渡そうと思っていたのに、クシャりと羊皮紙を握りしめ、帰るぞと名前を呼ぶ兄の元へと駆け出した。



 奴隷狩に攫われてドラゴノイドの里に戻ってきた私達を見た者達は、まるで亡霊でも見るかのように驚いていた。

 泣きながら兄の元に走る弟達の後に、私も里に帰って来れた喜びを兄弟で分かち合った。


 あれから数日、ロメーヌからの遣いの鳥がタキナ様が里に来ていると知らせてきた。


 もう一度お会いしてちゃんと御礼を伝えたい。

 そして、私も旅に同行させて貰えるように頼みたい。

 ずっと、悲願だった世界を旅して薬草学を学びたい。


 このような情勢になってからそれは叶わぬ夢となっていたが、タキナ様のお手伝い…いや…言い換えれば利用する様なものなのかもしれない…できる限りタキナ様の旅の手伝いもするし、その片手間で構わない。


 兄にもこの想いは伝えてある。

 最初は渋っていたが実際にタキナ様にお会いして、答えを出すと言ってくれた。


 絶対にタキナ様に会えば兄も理解してくれる

 決して多くはない手土産の食料と工芸品を馬の背に括り付け、兄と共に馬に乗りエルフの里に向かう。


私は踏み出したい


私は変えたい


きっとタキナ様とならそれが出来る


高鳴る胸を押さえて馬を急がせた








「それで?私の噂ってなんです?」


 鎖で簀巻きにされ、エルフの里のど真ん中に連れて来られた奴隷狩り達は、エルフの戦士達に囲まれ睨みつけられながら、邪悪な笑みを浮かべた神により締め上げられた。

 彼等は悲鳴のような声で奴隷の販売ルートや同業者などを洗いざらい吐かされた後、満面の笑みでしゃがみ込んだタキナの問いに、すっかり怯えた様子で簀巻きのまま転がって逃げようとするのを、タキナが目で追えばロメーヌがすかさず足で止める。


「逃がさないですよー、タキナ様の質問に答えないとぉー

森に吊るして魔獣の餌にしちゃいますよぉー」


 満面の笑みの中にドス黒いものが見え隠れするロメーヌ、お主もなかなか黒いではないかっ…と、思わずにはいられない


「ヒィッ!!!!」


 すると、先ほどから大人しく話をしていた頭の男が盛大にため息をつく


「この後に及んでみっともねー真似すんなゴイル!!」


そう言うとタキナの方に向き直る


「そんなに脅さずとも何でも話すよ、噂が本当ならあんたはドラゴンを落としてる。

 そんなお人に俺らが敵うわけがない…」


 しおらしくなった頭と呼ばれた男、その男の様子を見て頭の鎖を緩めてやる。

 他の部下はそのままだけど、まぁ、逃げるような真似をすれば吊るせば良い。


 ありがてぇ…そう言ってのんびりした動きで起き上がり、胡座をかいてタキナの顔を見上げる。


「アンタの…いや、貴方様のお噂は各国に広がっていますよ、出所は帝国の冒険者って話です。

 噂の内容はドラゴンを撃ち落とし、従わせた黒髪の女がいると…」


 その言葉に天を仰ぐ、マジかぁ…平原でのグレンとの一戦、あれを冒険者が見ていたと言うのか…

 全然気づけなかったよ、って言うか冒険者とか存在するんだね。


 しかも各国に広がってるって、行く前から要注意人物じゃないか、どうすんのコレ!!!!


「その他に何か聞いていますか…」


 今度は私の方が覇気がなくなる

どうするよ…討伐依頼クエスト受注されてたら…


「噂じゃ帝国がその女を囲おうと、冒険者に捜索を依頼したって聞いてます」


 おぉっと…捕獲依頼クエストだったわ…思わず片手で目を覆う。

 思いもよらぬ所で面倒な事になっていたものだ。

 ため息をついて隣にいたラトリアを見る。


「ラトリア、彼らについて提案があるのですが」


 ラトリアは奴隷狩り達から目を外して、何でしょうか?と、こちらを見た。




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