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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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19−2. 不穏



「承りました。

では、行ってきます!」


 そう言って思いきり踏み出すと、地面に足がめり込むが体勢を崩すほどではない。

 その一歩で思い切り跳躍して、森の上空を飛び越えて一気に距離を積める。


 川向こうから「行ってらっしゃーい」と、ロメーヌの間伸びした声が聞こえた。

 流石に一歩では難しかったため、一度背丈の高い木の枝に着地し、さらにもう一度跳躍して人の気配のする場所を確認すると、うごめく人影が複数ある。


 少し行き過ぎたがその人影が何者かを探る為、一瞬だけ浮遊の力を使い失速し音もなく木の枝に着地する。


 一瞬で私が視界から消えたとこで慌てているようだ。

 如何にも盗賊といった風貌の男達、手に単眼鏡だろうか?それを持った男が、慌てた様子で逃げろと怒鳴っている。


ほほーん


 私がこちらに来るのを目視できたらしく、なかなか良い動体視力と感をお持ちなようだ。

 急な撤退命令に部下達は、何で?と言わんばかりの顔をしつつ、のろのろと後ずさる様に去っていこうとする。

 残念ながら時すでに遅し、背後には私が陣取っている。


 ニヤリと笑って、木の枝に腰掛けて男達を見下ろす。

 人数は8人、そして手には剣や斧を持っている。

 迷い人でないのは確定だが、魔獣を狩るにしては防具もつけておらず防備が薄い。


やはり奴隷狩か…


「あらあら、そんなに慌てていったいどちらへ?」


 突然響いた私の声に首がもげるのではと言うほど、勢いよく皆が木の上の私を見上げる。

 彼らの驚愕した顔はなかなかに滑稽だ。

 クツクツと笑いが込み上げてくる

 おっと、まだ神の力を使っていないのに、いかんいかん


「フフッこんな森深くまで来て、もう少しゆくりなさったらどうです?」


「黒髪…」

「あの噂本当だったのか!?」

「どどどどうすんだよ!!」


 下っ端と思わし数人が慌てふためいている。

 あの噂?とは、気になることを聞いてしまったな、これはますますお話を聞かねばなるまい。


「狼狽えるな!馬鹿ども!!」


 単眼鏡を持っていた男が怒鳴る

 やはりこの男が頭のようだ

 失礼は重々承知だが、他の者達よりも頭の良さそうな顔をしている。


「あんた…何者だ…人間にしか見えねーが、あの距離から一瞬でここに来やがった。

 ドラゴノイドだってそんな動きできやしねーそれにその髪、何なんだよあんたは」


 そう言いながら男は一歩ずつ近づいてくる


「答えてあげても良いですが、その代わり私もあなた方に聞きたい事があります。

 素直に応じて下さるなら、穏便にお話し合いができますが…如何します?」


 ニッコリと笑って問えば、話をしていた男の後ろにいた男が大股で距離を詰めてくる。


 「黒髪だから何だってんだよお頭!!!

この女もとっ捕まえて痛めつけて聞き出せば良いじゃねぇーか、それに珍しい毛色だ。

良い値で売れるぜこの女」


そう言って下品な笑い方をする野郎


はい、奴隷狩確定!と、心の中で白目を剥く


「馬鹿!黙ってろ!!」


 頭と呼ばれた男がまたも怒鳴るが時すでに遅し、下品な笑い方をしていた男は私に目掛けて、分銅鎖を投げつける。


「交渉決裂、残念です」

 

 まぁ、こうなると思っていたけどね。

 大袈裟に、やれやれと言う身振りをしながら後ろに倒れて分銅鎖を回避して、そのまま一回転して地面に着地すると同時に、一瞬で下品野郎の背後にまわる。

 

 まったく視線が追いつけていない奴隷狩達の視線は、未だ私のいた木の方だ。

 ドラゴン達とは反射速度が桁違いに遅い。

 人間だから仕方ないか…


「さて、どうしましょうか?

人間って脆そうだから、気をつけないと殺してしまいそう」


 うーんと腕組みをして考える

 下品男と頭が慌てて後ろを振り返る


「なっ!!!?」

「いつの間に!!?」


 人間ってどれくらい脆いのだろうか?

 ドラゴンですら力を加減しないといけなかった。

 拳一発で人間の身体に風穴とか、スプラッタな光景を自らの手で作り出したくはないし、そんな趣味もない。


 どうしたものかと考えていると、背後から手斧を勢いよく振り下ろしてくる下っ端の1人


「この化け物がぁー!!」


 その斧をヒラリと身を交わして避け、前屈みになった男の顔面に自分の顔を近づけて

ニッコリ笑う


「練習台の立候補ありがとうございまーす」


 そう言いながらその男の額をデコぴんすると、首が思い切り後ろに倒れる。

 一瞬、首飛んだ!?


 と、焦ったが白目を剥いた男は、地面に刺さった斧を残してそのままの勢いで、仰向けに倒れた。

 デコぴん1発で気絶とは脆過ぎて怖い…


「魔獣が人間に化けてるんじゃ…」


1人の奴隷狩が怯えたように声を出す


「魔獣だなんて失礼な、私は別の世界から来た神ですよ」


 地面に刺さった斧を足で軽く蹴り上げ手でキャッチすると、魔獣呼ばわりした男に向かってその斧を投げる。

 もちろん力はセーブした。


 見事顔面…ではなく顔の真横にドスン!

 と言う音を立てて斧が刺さる


 男は目を見開いたまま腰が抜けたのか気が抜けたように、ズルズルと木を背にして地面へとへたり込んだ。


 それを見届けると同時に後ろから殺気、しゃがんで避ければ私の首の辺りに剣による一閃、分銅鎖を投げた男によるものだ。

無言で斬りかかるとは殺す気できたと言う事だ。

 他の仲間を剣や斧を構えてこちらを睨みつけている。


「おい!止めろお前ら!!お前らが勝てる相手じゃねー!!」


 頭が叫ぶが聴く耳持たずのようだ。

 良い隊長がいても部下がこれでは苦労するだろうなと、頭に同情してしまう。


 しゃがんだ体制から片足を伸ばして、斬りかかってきた男の足を払う。

 男はバランスを崩すが血走った目は私の顔から視線を逸らさない。


 良い気概をしているじゃないかと、ニタリと笑ってやる。

 剣を地面に突き立て倒れるのを回避しようとする男、もう少し遊びたい気持ちもあるが、この位にしておかないと全員と戦闘する羽目になるなと思い

 頭と呼ばれた男以外全員の足元から、お馴染みの黒い鎖が数本飛び出し男達の悲鳴もろとも簀巻きにする。


「さて、コレでゆっくりお話しできそうですね。

 お頭さん?」


 振り返り呆気に取られている頭に微笑めば、部下達に視線を向けていた。

 頭の目が怯えるように私を見据え、その場に崩れ落ちるように座り込む、声が出ないのか口をハクハクと魚のようにさせていた。


 「改めまして、私の名はタキナ

この世界を救う為に参りました

この世界唯一の神

正しき者には導きを、悪しき者には鉄槌を

皆様、以後を見知り置きを」


 道化師のような一礼をして、ニヤリと笑った私の顔はさぞ悪人顔であったろう。


 悪しき者には鉄槌をか…するりと出てきた口上に自分でも驚く


あれっ…


コレってどっちが悪役か分からなくない!?

神よりも邪神ぽくない??

神様って後光がさすような

清い尊い純白な神様のイメージ

あっ…あれぇ!?

力そんなに使ってないのにな…


 鎖に巻かれて芋虫のようにのたうち回る者、泣き出す者に失禁までしている者もいる。

 そんな絶望の淵にいる盗賊と、違う意味で顔を白黒させて絶望している私の元へ、ロメーヌが他のエルフの戦士を連れて来た。


 その場は混沌そのものだったと、後にライハは語る。



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