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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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17−1.エルフの里




 私がこの世界に来てから早数週間


遂に、遂に…私は文明らしい生活に触れたのだ!!


 屋根付きの部屋でフカフカのベッド!!

ヒャッホー!!!と、叫びたいのを抑えて靴を脱ぎ捨てベッドに倒れ込み、大人気なく足をばたつかせて喜びに打ち震える。


 神となってからは睡眠が必要ないとは言われ、確かに疲労も空腹も眠たさも感じない。


だがしかし!!!


 日々精神的な疲れは蓄積されていく、何せ元が庶民の中の庶民、モブの中のモブ!

 そんな私が神!人に頼られ、人に崇められるのだ。


 耐えられるわけなかろうよ


 大きなため息が枕に消える。


 エルフの里に案内されたものの、里のすぐ近くでも狼の魔獣が出たとのことで里はてんやわんやの大騒ぎ、倒せなかったものの近隣のエルフの里の力も借りて、何とか追い返すことに成功したところで、グレンが倒した魔獣を持って現れた我々を見てさらに大騒ぎ


 警備の増強や他の魔獣が近いていないかの偵察等で、とても挨拶どころではなさそうだったので、里が少し落ち着くまで私達は少し休みたいと申し出たのだ。

 エルフの長にもまだ会っていないが、向こうもそうして貰えると有り難いとの返事だったのでwin-winであろう。


 エルフの里の周りには丸太で作られた高い塀で囲まれており、大きな大樹を中心とした集落になっていた。

 これもよくアニメで見るエルフの里といった感じだ。

 木に寄り添うように小屋が作られ、全ての木々と行き来できるように、網目の様に張り巡らされた木の板の通路、手すりもあるのでバランスを崩しても安心だ。


 私達が通された部屋は大樹にほど近い3人部屋の小屋、粗末な部屋とライハは言ってたが、今まで野宿状態だった私からすれば、泣きそうなくらい文明的な部屋である。

 部屋の中は全て木で作られていたが、どの家具も縁取るように目を見張るほどの細かい掘り物がしてあった。

 可愛らしい葉やバラに似た花弁の多い花も細部まで表現されており、エルフの職人の技が光っている。

 エルフってやっぱり器用なんだなと改めて感心してしまう。

 上を見上げれば電気の代わりか、白い石が天井に嵌め込まれており、ドア近くの魔石に魔力を込めると光るのだそうだ。


なんて文明的!


そして、川の字に並んだベッドメイキング済みの愛しのベッド


くぅ〜!!最高かよ!


 平常心を保ちつつライハが部屋を出たのを見送り、冒頭に戻る。


「タキナ様はこの寝床がお好きなんですね」


 ポンポンと自分のベットを軽く叩きながら、グレンが不思議そうにベッドに腰掛ける。

 ドラゴンだったグレンにはベッドなど無縁だったろうから、きっと、寝心地の良さに驚くことになるだろう。


「タキナ様」


 氷のように冷たい声が私の隣のベットから降り注ぐ、声の主はもちろん


「なっ…何でしょう、リリーちゃん?」


 恐る恐る首だけリリーちゃんの方を振り向けば、声とは相反して花のように可愛らしい満面の笑みを浮かべたリリーちゃん

これは姿勢を正さねばと起き上がり、リリーちゃんに向き直る。


「あの売女が仲間になるとは初耳です」


「リリーちゃん言い方!」


「では、女狐で」


あまり変わらないが…まだましかっ…いやそうか!?


「僕は森の獣が仲間になるのは反対です。僕より弱いし」


「グレン!」


 やめんか!という意味を込めて名前を呼べば、本当のことですもーんと言わんばかりのグレンの顔


「不本意ながらリリーもトカゲと同意見です。

 連れて行ったところで、あの女狐ではタキナ様をお守りできません、そこのトカゲより役に立たないと思います」


「トカゲって言うなクソチビ!僕はドラゴンだ!」


「黙ってろクソトカゲ!」


 隙あらばバトルを始める2人、まったく賑やかで仕方ない。

 大人しくベッドに座ったまま睨み合っているだけ、まだましかもしれないが…しかし、ロメーヌどうしたものか…

正直なところ私も悩んでいるのだ。


「弱いかどうかは問題ではないのですよ、私は守られるより守る側ですから、2人はとても強いのでそんな必要はないですけど、私は2人の事も守っていきたいと思っていますよ」


「「タキナ様」」


ハイハイ、2人とも泣きそうな顔をしないのと苦笑いをしつつ、さて本題


「ロメーヌの事は正直悩んでいます。

 ロメーヌは顔が広い様ですし今後、国の出入りや他の種族との交流の際に活躍してくれそうですので」


 2人の前では言えないが、意外としっかりしているロメーヌならこの2人の面倒も見てくれそうである。

 その辺の子供と違って2人がしっかりしているのは重々承知しているが、時々見え隠れする幼さに危なっかしさを感じるのだ。

 大人が2人いた方が私の安心感もあると言うもの、ただな…ただ…歩く18禁お姉さん…2人の教育に大変よろしくない。

 やはり決めるにはロメーヌとの面談か必要かもしれない


「確かに、あの女狐はそう言う面では役に立ちそうですが…」


 リリーちゃんも思うところはあるようで、ブツブツと思案している様子


「一度、しっかりとロメーヌと話し合ってみようと思っています

 決定するのはそれからでも遅くはないでしょう」


 本当はドラゴンの里に行っている間に考えるはずだったのだが、すっかり存在を忘れていた。


許せロメーヌ


それにしても、急にグレンが静かだなと思って振り返ってみれば、ベッドの上で猫のように丸くなって寝ているグレン

かっ…可愛い!!!

ハワワワワ!!


 語彙力を失って感動していると、リリーちゃんが呑気なクソトカゲと悪態をついている。

グレンが風邪をひかないようにローブを掛けてやっていると、後ろでリリーちゃんが何かを思いついたようで


「タキナさまぁ〜、リリーも眠いので一緒に寝てください」


 キュルン♡とでも効果音が付きそうな可愛さ全開で、両手を胸の前で合わせて祈るように上目遣いで、私を見上げるリリーちゃん

己の可愛さを全力で出しに来ている


恐ろしい子!!


リリーちゃんも睡眠が必要ない筈だったのだけど…

最近はリリーちゃんにおんぶに抱っこ状態で、我慢ばかりさせている。

たまにはリリーちゃんを大いに甘やかそうじゃありませんか


「そうですねー

私も眠くなっちゃったので、たまには一緒に寝ましょうか?」


 フフッと笑って布団をめくって横になると、リリーちゃんもすかさず入り込んで来て嬉しそうに抱きついてくる。

私…子供いないけど本当に母性に目覚めそう


うちの娘、まじ天使!!


唇を噛み締め嬉し泣きを堪えて目を瞑った。


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