12−3.酒盛り
そんな事を思ってると、ザイアスが突然立ち上がり私に向かって指を刺す。
「貴様!!!先ほどから聞いていれば偉そうに言いやがって!!
エンテイ様に勝ったからとイキがブッ…!!!」
言い終わる前にザイアスの顔面にリリーちゃんの飛び蹴りが入り、そのままの勢いで火口の淵まで吹っ飛ばされる。
昨日も見た立派なドラゴン(人型)のシャチホコが出来上がっている
いい具合に火口の淵にあるから絵にならなくもない
リリーちゃん…さっきまで私の隣にいたのに、目にも留まらぬ速さとはまさにこの事、音速のリリーと名付けようか…
「こんの、クソトカゲがぁぁぁぁ!!
タキナ様に手も足も出なかったくせにイキがってんのはお前だクソトカゲ!
次またタキナ様に不敬を働いてみろ!!お前を生きたまま三枚に下ろして人間の餌にしてやる!!」
ザイアスが先ほどまで立っていた位置で、リリーちゃんの顔立ちからは想像もできないドスの聞いた声で怒鳴るリリーちゃん、それをあっけに取られた様子で見上げるドラゴン達
リリーの親分ほどほどに…それにしてもグレンは直ぐに立ち上がったのに、ザイアスはシャチホコのままピクリとも動かない。
生きてるか?ザイアスよ?
「すっ…すみません…うちの子が…リリーちゃん!!
気持ちは嬉しいですけど暴力はダメですよ!!」
リリーちゃん戻ってきて下さいと手招きすると、キュルンとした目でこちらを振り返り薪を軽々飛び越え、その勢いのまま私の胸にダイブする。
グハッ!
ダイブされた衝撃と痛みで思わず声が出るが、リリーちゃんが頭をグリグリ押し付けながら
「タキナ様〜!タキナ様を侮辱するアイツが悪いんです
首を飛ばそうと思いましたけど、ちゃんと殺さないで我慢しました!
殺さなかったリリーはえらいですか〜?」
くっ…リリーちゃん卑怯ですよ!そのウルウルな瞳で可愛いお顔で見つめないでっ!!
ってか、もはや確信犯でしょ貴方!!
そんな事では騙されませんからね!
ダメなものはダメなんです。
「流石は私の頼れるリリーちゃんですねーいつもありがとうございます」
心の声がダダ漏れだぁ〜リリーちゃんの頭を撫で撫でする。
えへへ〜と顔が緩みまくりなリリーちゃんと私
「ザイアス…大丈夫か?」
あっけに取られていたドラゴン達の中でオウカが1番初めに戻ってきたようで、それに続くように他の年上のドラゴンが、ザイアスの様子を見に近くに走り寄る。
背後のグレンが「ザマァー」と言っているのが微かに聞こえた
グレン君、貴方も大概ですね…
「大丈夫です気絶してるだけのようです」
そう言って戻ってくるドラゴン
しかしザイアスはそのままの体制、流石と言うか何というか…家があるわけでもベッドがあるわけでもないので、どうやらそのまま転がしておくらしい。
許してザイアス
「ザイアスは自業自得、気になさるな!
それにしても一撃でザイアスを気絶させるとは、従者もタキナ様に負けず劣らずの強者のようですな、ザイアスは日に2度も敗北するとは哀れよな
ガハハハハハ!!オウカ!もっと酒をついでくれ!」
エンテイが大笑いしながらグラスを差し出すと、ため息をつきながらオウカが一升瓶を手に持ってグラスに注ぐとオウカがこちらに向き直る。
「耳の痛い話ではありましたが、確かにタキナ様の仰る通り必要以上に他種族を威圧していたのは間違いありません。
弱者をいたぶる趣味のあるドラゴンも少なくない
全くの無関係であると私は思ってはおりません、何か我らにもできることがあれば仰って頂きたい。
我らドラゴン、延いてはこの世界を守るためにも」
そう言うとエンテイ含めた他のドラゴン達が、気まづそうな顔をして酒を啜っている。
自分の非を潔く認めるとは、流石はグレンの父と言ったところか
「世界最強たる種族の長にそう言っていただけるのは、大変ありがたい事です。
何から手をつけるかは世界を見てからとなるでしょう
もしもの時は、力添えをよろしくお願い致します」
そう言って頭を下げると
「おやめ下さいタキナ様!
貴方様は我らよりも遥か高みにおられる方なのです。
貴方様が強く気高いお方なのは、短時間であれど十分承知いたしております。
どうか、我らに頭など下げないでください」
オウカが困ったような顔をする
この世界において頭を下げることは、相当遜る意味があるようだ。
気をつけよう…
「世界を見て回られると仰られましたが、タキナ様に…一つ頼み事をしても宜しいでしょうか」
オウカの急なお願い事に
あれっ…デジャブ!?
と、叫びそうになった。




