表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/181

11−2.最強と最恐



  

 もっと!!もっとだ!!もっと楽しみたい!!

黒い感情に塗りつぶされるまま、高揚感に呑まれていく


 「さぁ、どうするエンテイ!!!

貴様はこの鎖から逃れられるか?無様に引きづり落とされぬように精々足掻いて見せろ!

 アハハハハハハッ!!」


 エンテイを追うように地面から伸びた鎖が何本も上空へと伸びる。

その巨体からは考えられない俊敏さで鎖をよけ尻尾で叩き落とし、追撃を交わしながらも氷の槍を作り出し、私に向かって打ち込んで来る。

それを体を逸らして避けるが、しかし砕けた音がしない


足元に冷気…


 不審に思い足元を見れば撃ち込まれた氷の槍が砕ける事なく地面に刺さり、そこから凍結範囲をじわじわと広げ、私の足元まで凍っている


 やるじゃないか!!

ニヤリと笑い上空のエンテイを見上げると同時に青い火球が私目掛けて放たれる。

 

 シールドを展開するが一瞬で溶け落ちる。

シールドがっ…身体が熱風に包まれる


「「タキナ様!!!!」」


リリーちゃんとグレンの声が遠くで聞こえる


あぁ…これこそ私の求めていたもの、邪悪な笑みと共に上空へと意識を集中する。




「やったか…」

 

 追撃の止んだ鎖が意識を無くしたように地面にバラバラと落ちていく、その様子にほっと息を吐くエンテイは、上空から己の放った火球の落ちた場所を見下ろした。

 

 地面は黒く焼け、あまりの高温に石が溶け赤く溶岩の様になっている

まともに食らったなら生きてはいまい


だが…胸騒ぎが治らないのは何故だ…



「いやはや、ドラゴンとは思えぬ戦法だな」


 その瞬間、己の息が止まる

 分かっていた…自分では勝てぬだろうと思っていたが…化け物でも見るかのように恐る恐る振り返り、自分の頭上を見上げれば、邪悪な笑みを浮かべる黒髪の娘がいた。


 自分はこの世界で恐れるものなど何もない最強のドラゴン、それ程に強いと自負している。

人も魔獣も同族のドラゴンでさえも、負けた事などなかったと言うのに…だのに…今…その自分が…恐怖している…

 硬直したかのように動かない身体


これが神という者なのか…



「なかなかに楽しかったぞエンテイ、これにて終いだ」


 そう、楽しい時間は終わり


 私の理性が完全に吹っ飛ぶ前に終わらせましょう。

 先ほどの、シールドが溶けた時、あっ…死んだかも…のおかげで一瞬戻ってきた理性の手綱を握りしめる。


 体を浮かせていた力を切り、重力を失ったかのように落下しつつ体を捻り、目を見開き呆気に取られているエンテイの巨体に、力を込めて踵落としを食らわせれば、ザイアスの時と同様にエンテイの身体がメキメキッと言う音を立てる。

 エンテイの体がくの字に曲がり、その勢いのまま地面に叩きつけられ砂埃を撒きあげた。


 いささか戦い足りないな…などと思いながら、砂塵がかからない様に少し離れた位置に着地して落としたエンテイを見れば、地面に減り込み白目を剥いているエンテイ

 それを見て世界最強のドラゴンに勝った喜びで高笑いを上げたい衝動に駆られるが、持っていかれそうな理性を何とか引っ張り戻す。


 「さて、他に挑む者は居るか?

このタキナが存分に相手をしてやる」


 落とされたエンテイを信じられないような目で見つめるドラゴン達に、ニヤリと笑って問いかける。


 そして何時もの様に段々と戻ってくる正常な精神

どどどどどどどどどうする!!!!!!?


 理性が吹っ飛ぶ前に、とか考えるくらいの余裕あったつもりだったけど、なかったよ!!蹴り落としちゃったじゃん!!!

ドラゴン最強を!!!勝ててよかったけど、思った以上に神の力強くて助かったけど!!!

あぁぁぁぁぁぁ!!何で毎度毎度こうなってから後悔するんだ私!!

精神力が弱すぎる!!!

こんなの神は神でも邪神ですがぁ!?

私は神ですよ!!邪は付かないタイプの神ですよ!

私のせいで神様のイメージぶち壊しだよ!!!


 ごめんなさい本当の神様方ぁぁぁぁぁぁ!!

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!


内心では頭を壁に打ち付けながら大絶叫中である


さて、どう出るドラゴン!!!


 ニッコリ笑ったままの目を恐る恐る開くと、グレンの父を先頭にこちらを向いて頭を垂れているドラゴン達


「我らドラゴンは敗北した相手に従うのが慣わし、未だドラゴン最強であった我が父、エンテイを下した貴方様に我らは従います」


 えっ…従うとか、そう言うの掛けてた戦いだったの?

それに、ドラゴンてそんな習性があるの?

エンテイの話を聞いてやれって言うのは、他種族相手でも掟を守れって事だったの!?

グレンが何やかんや私の言うことを聞いていたのは、そう言うことだったの?

てっきり、私が怖いからかと思っていた。

 

 って事は、早々に世界最強のドラゴンを従えちゃったの?

たのー?たのー?と謎のエコーが脳内リフレインされる。

思考回路爆発寸前である。


 とっ…とりあえずそれよりも…


「さっ…先に…エンテイの治療を行いましょう…話はその後に…」


ドラゴン全部を従えた…はっ??

ちょっ、無理無理…問題を先送りにしよう


 しどろもどろになりながら頭を垂れるドラゴン達を飛び越えて、白目剥いて倒れているエンテイの横に降り立つと、何時もの治癒を施す。

翡翠色のドームを作りエンテイを覆う


「なっ、何を!?」


グレンの父、オウカや他のドラゴンが慄く


「父上、大丈夫です。

あれは治癒の力を使ってくださっているのです。」


 グレンがオウカに歩み寄りながら力の説明をする

 大人のドラゴンでもやはり治療系の魔法は知らないらしい。


 エンテイの後はザイアスの治療もしてやろう。

未だ腹を押さえて苦しげにしているザイアスを見ると、肩を揺らしてビクついた。

 そんなに怯えなくても良いじゃないか…


「タキナ様!!!!」


 リリーちゃんの泣きだしそうな声に驚いて、治療の手を止めて振り返ると走り寄ってくるリリーちゃんが、その勢いのまま私の腹の辺りに抱きついて来た。


 驚いてバランスを崩しそうになるが何とか堪える

リリーちゃんの抱きつく体が小刻みに震えて…リリーちゃんが泣いている???


「どうしたんですか!?リリーちゃん!?」


 あの気丈なリリーちゃんが泣くなんて余程のこと、一体何が!?と、足りない頭をフル回転させていると


「うぅっ…タキナ様ぁ…本当に…本当にご無事でよかった…」


 その言葉で思い当たる。

 エンテイの青い火球を落とされた時のことを言っているのだろう

確かにあれは素面に戻るくらいにはヒヤッっとした。


「リリーちゃん、心配をかけてしまって本当にごめんなさい。」


 リリーちゃんを泣かせてしまうほど心配させてしまうとは、本当に駄女神まっしぐらである。

ゴメンねの気持ちを込めるよういリリーちゃんを包み込むように抱きしめる。

本当に、次からは気をつけます…。


 私を一生懸命支えようとしてくれているリリーちゃんを泣かせてしまうなんて、何て情けないんだ私は…


「いいえ、いいえ…タキナ様があの大トカゲ若きに負けるわけがないと言うことは重々承知しているのです。

 でも、あの時…タキナ様が青い炎で見えなくなった時…うっ…リリーの世界は真っ暗になって…タキナ様がいないと、リリーはっ…リリーはっ…ううっ…」


 本当に駄目な神でごめんなさい…。

こんなにも私を思ってくれるリリーちゃんに、何一つ返せていない自分に泣きそうになる。


私は強くならねばならない

私は強く在らねばならない


そう、改めて心に誓い

咽び泣くリリーちゃんの背中を優しく撫ぜた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ