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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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10−3.理由



 「これはこれはグレン様ではないですか、随分と久方ぶりですね。

 もう戻られないかと思っていおりましたよ、それは…その布をかぶっている2匹は人ですか?

何なんですそいつらは?」


 差別意識丸出しの下等種族が、と言わんばかりの視線で私やリリーちゃんを見る


「父上達に引き合わせる為に此処に連れてきた。

話は父上にする。

ザイアスお前は下がれ」


 そうグレンが辿々しくもそう伝えると、ザイアスは気に入らなかった様子で途端に態度を豹変させる


「ハッ、俺に下がれだと?グレン様のお祖父様とお父上が、ドラゴン最強でいらっしゃるから仕方なく下手に出てやってるのに」


このドラゴン、グレンを様付けで呼ぶわりに妙に舐めた態度をとる


「ドラゴンは実力が全て、貴方のお祖父様はドラゴン最強のエンテイ様でいらっしゃるし、お父上は温厚だが実力はエンテイ様に引けを取らない。

 なのに貴方と来たら年下のドラゴンにも負ける最弱ドラゴン、俺が次の長になった暁にはお前なぞ真っ先に噛み殺してやる」


 そう言うと、グレンを見下す様に目を細める。


 ザイアスとか言ったか?

なるほどなるほど、頼んでもいないのにグレンの置かれている状況を説明してくれてありがとう。

話ぶりからするに、君がこの里の3番目くらいに強いのかな?


 ザイアスに何も言い返せず俯くグレン、一緒にいた時は溌剌としていてリリーちゃんとも兄妹のように喧嘩して、ドラゴノイドやエルフの子供らともはしゃいでいたグレン、謝罪の後に号泣した時、何か抱えてるとは思ったがこう言うことだったか…。

 

 生まれた時から舞台の主役を約束されたようなグレンに、私のような脇役どころか舞台に上がれもしない人間に、グレンの抱えた気持ちなぞ推し量ることなどできないが、彼の今の打ち拉がれた姿を見れば期待される役と、それになれない自分、その乖離に苦しんでいたのでは?と思えてくる。


「何にか言ったらどうだ?何もないならその下等種を連れてさっさと失せろ」


 この野郎!と、言おうかと思った瞬間、私の横で大人しくしていたリリーちゃんから不穏な気配を察知


いかん!!


 むしろ、よく耐えました!

リリーちゃんの頭に手を乗せて、どおーどぉーと馬でも大人しくさせるみたいに撫でる


「グレンは力こそまだ弱いかもしれませんが、性根は貴方なんかよりよほどマシです。

ドラゴンは力が全てなんでしたっけ?

なら、私と勝負いたしましょう

その山より高いプライド、砂つぶまでになるまで削って差し上げます」


にっこりと満面の笑みをザイアスに向ける。


「タキナ様ぁ…」


 ドラゴンのデカい図体で情けない声を出すんじゃありませんグレン

うるっとした感じでこちらを向かないの!


「下等種族がこの俺に勝負?

アハハハハハハッ!!なんだこの人間は!

ドラゴンに勝てるつもりでいるのか!

アハハハハハッ!!」


ザイアス大爆笑に他のドラゴンも気になったのか、こちらに顔を向けている。


「ハァー、笑い死ぬかと思ったぞ人間

こんなに笑ったのは久しぶりだ!

 いいぞ、この俺を楽しませてくれた礼代わりに相手をしてやる

一瞬で終わらないよう精々頑張れっ…クククッ…」


 よほどツボに入ったのか涙を流すほど笑うザイアス


つい勢いで喧嘩を売ってしまった…。


あれだけドラゴンに勝てるか心配していた自分は何だったのー!?

バカなのー!?

バカですー!!

神の力なんて手に入れたから調子に乗ってるんだ私、もう…なる様になれ…

私の内心の葛藤などお首にも出さず


「あらあら、それは貴方次第ですよ」


リリーちゃんとグレンに目配せすると、2人はそそくさと後ろへ下がっていく


「アハハハハッ、これ以上笑わせるな!

 涙で前が見えなくなる」


 鉤爪で目元を拭うザイアス、目が合ったところで私は構えるが向こうはさっさと来いと言わんばかりの様子

まぁ、仕方ないかっ…


 私の数少ない長所は切り替えの速さ、こうなってしまったものは仕方ない。

この際だ…神の力がどれだけ通用するか試してやろう

いざとなれば脱兎の如く逃走あるのみ!


 人間よりも頑丈になった身体だが、それを神の力で更に強化すると体に金色の模様が浮かび上がる

この模様が何なのか不明だが魔術回路的なアレ?と思っている。


 力を解放した途端、ザイアスがピタリと黙り驚いた様子で目を見開いてこちらを見ている。

しかし、止ってやるつもりはない


「では、参りますよー」


 踏み出した左足に力込めれば地面が足型に少し陥没する。

 そのままの勢いで地面を蹴り、一歩、一瞬でザイアスの前に出ると、右手に渾身の力を…いや…半分くらいにして取り敢えず様子みようと…一瞬で考えを改めてザイアスの腹に右ストレートを入れる。

 

 自分より遥かにでかいドラゴンの腹に、無様に跳ね返されたらどうしようとか、鱗で拳が痛いかなとか呑気に思ったが、強化されている拳には何も感じずメキメキ、っと言う音と共にザイアスの腹に拳が入ると、20mほどザイアスが吹っ飛び後ろの岩盤にものすごい音をたてて激突した。


あまりの衝撃にガラガラと岩盤の一部が崩れ落ちる。


 えっ…えぇぇぇ…思ったより飛んでしまった…ドラゴン軽くない?

ザイアスが私に反応できずに何の受け身も取らなかったからか?


 全力だったら腹に風穴開けてたかもしれない


あっ、ぶねぇー


内心ヒヤヒヤしていると、周りのドラゴン達が他何事かと集まってくる。

 ことの経緯を見ていたドラゴンも、なんだアレはと驚いている。


「おい、あの人間の…黒い毛だ」

「見ろ、瞳も黒いぞ…」


 ドラゴン達の言葉にフードが取れていたことに気づく、踏み出した時に風圧で取れたのか…

それより、ザイアスは生きてますか?


 そう思うのとほぼ同時に、倒れていたザイアスがムクリと起き上がるが、その口からは血が出ている。


 力の半分で吐血レベルの打撃!?

神様の力を過小評価していたかもしれない…


「ガハッ…なんなんだお前…何なんだよ!!!」


怯えたように目を泳がせ、勢い任せに怒鳴るザイアス


何なんだよ!と、聞かれたら答えてあげるが世の情け


とでも言おうと口を開きかけた所で上空から怒声が響いた。


 一度言ってみたかったのに…

しょーもない事を無念に思いながら声のした空を見上げた。




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