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邪神ですか?いいえ、神です!  作者: 弥生菊美


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9−2.世界情勢




 「そっ、そう言えば!

この世界には皆さんの他に獣人や人間が居るそうですが、交流は有るのでしょうか?」


 そう話した途端に彼女達の表情が曇る。

 私的には1番聞きたい内容なのですが人間はやはり、盗賊との一件があったばかりだからまずかっただろうか…そう思っていると、アレイナがポツリポツリと語り出す。


「昔はよく人間が、ドラゴノイドやエルフの住む里に来ていました。

 何でも、薬師という職業で病に効く薬草の研究をしているとか、私も切り傷や熱冷ましの薬草や煎じ方を教わりましたし、その頃はまだ人間と多少のいざこざはあれど、今ほどの溝はありませんでした。

 とは言え、我らも自給自足には限界があります。

 隣国のミッドラスに行商に行く者も若干名おりますが、その際は人間や獣人ともやり取りがありますが、人間や獣人は力量がドラゴノイドより格下だと言って、里には毛嫌いするものが多くいます。」


そう言ってアレイナの近くに座っていたエルフの男を見る


 「そうですね。エルフもドラゴノイドと似たような状況です。

 ドラゴノイドの里とは近い距離にありますので他種族で唯一の同盟関係にありますが、エルフも他種族に対しての偏見は強いため交流は盛んではありません、獣人は言葉を話す魔物なんて言う者もおりますし、特に人間は他種族や同族まで奴隷にする種族です。

 人間はエルフを獣扱い、エルフも人間を蛮族扱いしております。」


 エルフの男性は目を伏せる。

 こちらの世界でも人間が1番非道な種族か…元の世界でも、どの生物よりも人間が1番残虐だ!なんて言われてたくらいだ。


 自称召使が問題視していた事がまさにコレ、やはり…話し合いをさせた所で平行線が目に見える。

人間の国がこの世界の大半を占めているが、一カ国ではない。

以前説明してもらったリリーちゃんの話を思いす。


 1番領土が広いのが最近戦争を次々と仕掛けているグラドシル帝国

ここ数年で2カ国を飲み込んで大国になったそうだ。

絵に描いたような軍事国家だが、王家があるそうで軍部は王家に従っているそうだ。

つまりは現王様が野心化でいらっしゃる。


 次いで大きい国がハイランジア

水路が張り巡らされた水と花の都と謳われるが、奴隷推奨国家で方方から奴隷を買い付けて消耗品のように使い潰しているという。

ここも王家が健在で、最近新しく若い王に即位してからは、帝国との摩擦が減りつつあるらしいが、この2カ国が戦争を始めたら世界大戦レベルの大ごとになるそうだ。


 次がミッドラス

こちらはサンタナムよりも若干領土が広いそうだが、獣人の国だそう。

好戦的な種族なため魔獣を積極的に狩っては素材を国で売っている。

商業都市としてかなり潤っているらしい。

魔獣の動向に関して聞き込みをするならミッドラスが良いかもしれない。


 4番目がサンタナム

魔法や魔石の研究が盛んで人間がメインの国ではあるが、魔力に秀でた者、研究に熱意のある者であれば、種族関係なく受け入れるというが 、実験体に奴隷を使う事もあるというので博愛主義とは言えない。

大国の2国はサンタナムの研究内容を狙っているが、どんな隠し球を持っているかわからないので手が出しづらいそうだ。

やはり、武力こそが平和に1番近いのかもしれない…


 そして最後はサージ

人間の国だがどの国よりも小さく、ハイランジアの一角にある様な国だという。

土地が狭く肥沃とは言えない土地のため貧しい国民が多く、サージで税が納められなかった国民は代わりに奴隷としてハイランジアへ売られるという。

ハイランジアの属国に近い国のようだ。


そして国を持たない

ドラゴン、ドラゴノイド、エルフ


ざっと聞く限りまぁ、色々と根深い、問題山積み、問題しかない。


 エルフの男性の話を聞いた後に、片手にカレーパン、もう片方の手にチョリソーのパンを持って、ムシャムシャ食べているドラゴンの少年を見やる。

 刺激物だと言ったのだが、むしろ食べてみたいと言うので渡したのだが、だいぶお好みだったようだ。

 育ち盛りなのは分かるし、子供なのは分かっているが、ちょっとくらい話を聞こうよ少年


「グレン、ドラゴンは…他種族との交流…は、ない様ですが、この世界の現状をどう見ているか、話を聞いた事はありませんか?」


 口をモグモグさせながら少し考えるように首を傾ける。

ようやっと口の中の物を飲み込むと


 「大人が会議する時は僕たち子供を寄せ付けないので、どんな話をしているかは知りません。

けど、最近はイライラしているドラゴンや魔獣が増えてるって、悪い兆しがあるって父上が言っていました」


 悪い兆し…さすがはドラゴン、既に何かに気づいているのか?

話し合いができてドラゴンが味方になってくれたらもう、世界蹂躙しちゃえばよくない?

話、簡単じゃやない?なんて思ってしまう。


 脳筋になりつつある自分が怖いが、まぁ、そんな事をしてしまったら、それこそ私はドラゴンの軍勢を率いて世界征服する魔獣の女王とか何とか呼ばれてしまいそうであるが…


 あれ…なんか込み上げてくるものが…血でも吐きそう…よし!考えるの止めよう!そうしよう!

神様っぽく世界征服ってどうやるんですかね…


「悪い兆しねぇー、確かにぃー

最近は魔獣を里の近くでも見かける様になったしぃー好戦的?な感じよねぇー」


ロメーヌにも思い当たる節があるらしい

それを聞いてアレイナも


 「ドラゴノイドの里でも以前より魔獣が凶暴になっていると聞いています。

これはリリーさんが仰っていた世界が終焉へ向かう兆しなのでしょうか…」


 流石はリリーちゃん、しっかりその辺りの話もしていてくれたのですね。

 それと、ちょっと前から気になっていましたが、皆さんには自分の事をリリーさんって呼ばせてるんですね。


「リリーちゃん、私はこの世界の通常の状況を知りませんが、現時点での世界の段階はどの辺りなのでしょか」


 この辺りはしっかり知っておきたい。

 この世界に来てから悠長にする時間があるかどうか確認した際は、今すぐどうこうなる事はまだない。と言う事だった。

しかし彼らの話を聞く限り、確認した時よりも少々進んでいるようで気になってしまう。


「第一段階で魔獣の凶暴化

第二段階で魔獣の分裂

第三段階で群の形成と近隣の生物への強襲

第四段階で分裂を重ねた魔獣から特異個体の出現

これは強化された強い魔獣が出現すると言う意味です。

 それが群れに加わり、そこからは段階と言うよりどこまで里や国単位で人種が抵抗できるかどうかで、時間が変わるかと思います。

現状では第二段階に移行しつつある状況です。」


 聞いといてなんですが、移行しつつある状況とか分かっちゃうの?私よりリリーちゃんのが凄くない?と、素直な感想が出てしまう。

 私っていらない子なのでは?とは思うが、一応…役割を与えられたからには全うしたい。


段階的には最初に聞いた頃と変わっていないが、だが、1点気になる事がある。


 「この世界は負の感情が貯まる事で魔獣が凶暴化する。

つまり、帝国や他の国が再度大きな戦争を起こしたりすれば、その段階は加速すると言う事ですよね…」


リリーちゃんは頷く


「その通りです。

早まるか緩やかになるかは人種の負の感情に左右されます。

前回の戦争で加速しなかったのは比較的、帝国が敗戦国を人道的に扱っているからだと思われます」


 なるほど…戦争を仕掛けて取り込むがその後のフォローが上手いらしいが、帝国の情勢を知りたいところだ。

 しかし、現状最も戦争を始めそうなのは帝国なわけで、戦争なんかしてる場合ではないと伝えたいが、ぽっと出の女の話なんて聞くわけないし…


 それにしても、魔獣が増えるというシステム、彼らの前では言えないが付け加えるならその段階が進むにつれて、魔獣に脅かされる機会が多くなる住人達の恐怖も増えるということ、この世界のシステムを作った神はポンコツなのか!?

 悪循環どころか加速システムついてる様なもんじゃないか…何故、伝承でも神託でもしてこのシステムの説明を残さなかった?

意地が悪いにも程がある…


「確かに…昔から戦争の後は魔獣が増えると言われてきました。

原因はそう言う事だったんですね…私達も長く生きていますが、初めてお聞きする事ばかりです…」


エルフの女性が俯く


 今の話をすんなり信じてくれるんですね…私達が神とか言う存在ですと言うのも、リリーちゃんがどんな説明をしたのか知らないが、理解してくれた様だし、まさか、洗脳…


 リリーちゃんならできそうだな、ドラゴノイドもエルフも長寿の種族、人間よりは歴史の入れ替えも少ないだろう。

そんな彼らの間でも、この世界のシステムは知られていない様だ。


 この世界が滅亡へと向かっている。

それを他の皆は理解してくれるのかと言う問題もある。

ここ居る彼らは奇跡的にあっさり理解してくているが、どうしたものか…毎回この疑問にぶち当たる。


 差別意識の問題では彼らにも思うところがあるが、この世界滅亡へ駒を進めているのは間違いなく人間、目の前の彼らの種族に全く問題がないと言い切れるわけではないが、現状は人間が主な元凶である。


 迷惑極まりないよね人間って、裏切り、憎しみ、搾取、残虐、破壊が特技です。と、人間の説明欄に記入してやりたい。

私の前に積み上がっていく問題は、減るどころか増していくばかり


あぁ…風呂入って寝て起きたら、病院のベッドだったりしないかな…


現実逃避しつつ再度、綺麗な青空を荷馬車から見上げた。




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