6−1. 似た2人
グレンの治療をしながら先ほどの話を思い出す。
治癒系の魔法がない事も驚きだが、それよりも、この世界に黒髪と黒い瞳が存在しないという事だ。
黒って自然界によくある色だと思うけどって、ここは異世界だった。
地球の当たり前が通用するわけがないか…
この世界の神となるのであれば唯一感があっていいのかも知れないが、なんの功績もない得体の知れない黒髪の女がウロウロしていたら、見せもの小屋に売られてしまうかも知れない。
いや…まぁ、ドラゴン落とせる力があるから、そんな目には合わないのは分かっているが悪目立ちはしたくない。
黒髪の悪魔とか…魔獣の化身とか言われて、討伐される側になるのはごめん被る。
神になったとは言うけれど、実際は人智を越える力が有るだけで、私本来の偽善者and自己肯定感の低さは相変わらず健在なわけで…
自己肯定感高かったら、もっと神様っぽく堂々と自慢げに黒髪を靡かせて、颯爽と歩くくらいはできたかもしれないが
私には無理
とは言え、この世界の国や街を見て回りたいので、当面はこの髪が見つからないようにしないと、髪の色も神の力で変えられるんだろうか?
地球の神も古今東西、姿を変えられる神様多いし大丈夫だろう…多分…
それに、ちゃんとした神になる為の方針を決めないと、私としてはそれぞれの種族の話を聞きたいと思っている。
気性というか性格の傾向とか知っておきたいし、何せ地球には人種は人間しかいないのにも関わらず戦争を繰り返し、同じ国の人間同士ですら殺し合いをするのだ。
本当にこの世界を救う事ができるんだろうか…
私って本当に…はぁ…
そんな事を考えているうちに、グレンの治療が終わり傷も鎖の跡も綺麗さっぱりなくなった。
「治療はこんなものでしょうか?痛むところは有りますか?」
かざしていた手を下ろして問いかけると、グレンは「うわぁ〜本当に治ってるー」と感激しながら、体を捻って自分の背中を見てみたり、腕を上げたりして他に傷がない確認している。
「大丈夫です。どこも痛くないし傷も治ってます。」
怯えた表情の抜けた無邪気なグレンの顔が向けられる。
普通にしてれば可愛系イケメンなんだけどな…こんな見た目なのに、遊び半分で人種を焼き殺しちゃうんだよな…
「それは良かったです。それで、グレンには少々…いえ、もうしばしお付き合い頂きたいのですが…ねっ?」
そう笑顔で聞いてみる。と言うより強制感を醸し出す。
このままグレンを返したら他のドラゴン達に、どんな話を風聴されるか分かったものではない。
出来る限り!!この世界の敵でもないし、ドラゴンの敵ではないんですよー
世界を救いに来たんですよーと、折角なので刷り込んでおきたい。
「ぼっ…僕はそろそろ帰らないといけないので…これで…」
と言って逃げ出そうとするグレンの首根っこを満面の笑みで引っ掴み、そのまま平原に来た時同様、飛ぶように走り馬車の向かった森へと向かう。
「グゥエッ!?何でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?
ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」
絶叫するグレンを無視して直走り、あっという間に森の淵に到着する。
せっかく平原に出たと言うのに、1時間と経たずに森に戻ってきてしまった。
ただいまマイホーム…いや、マイフォレスト
「はぁ…はぁ…首がっ首がもげるかと思った…」
到着してグレンを離した途端、四つん這いに倒れ込みゼーハァーしている。
人の姿をしていても人間の武器なんかじゃ傷がつかないと自慢していたので、これ位いどうって事ないだろうと思ったがダメだったらしい。
普通の子供相手だったら、絶対にこんな連れて行き方を思いつきもしないが、私はどうにもグレンを雑に扱ってしまうようだ。
「元がドラゴンなんですから、その位で如何にかならないでしょう」
「限度がありますよ!!!ゲホッ…」
間髪入れず否定されてしまった。
スミマセン…次からは気をつけます。
本気で咽せているグレンの背中をさすってやり、持っていたお水を渡してやる。
そう言えば!と思い出し、お詫びがわりに便利鞄から森○キャラメルを一個取り出し紙を剥いてグレンに手渡す。
何故これがカバンに!?と初めて見た時は思ったが、幼少期を思い出す懐かしい味に何度癒されたことか、そしてこれを食べきると御丁寧に新の一箱が追加されているのだ。
自称召使の心配りに感謝、と心の中で手を合わせる。
「この茶色いのなんですか?」
クンクンと匂いを嗅いで首を傾げる。
匂いを嗅ぐあたり動物感あるなーと言う目でグレンを見つつ、自分様にも一個取り出して口に放り込む
「それは砂糖菓子みたいな物です。舐めてもいいですし、噛んでも良いです。
喉が少しは落ち着くかもしれません」
私が食べているのを確認してグレンも恐る恐る口に入れる。
そんなに警戒しなくても今更毒なんて盛りませんよ
可愛らしく口をモゴモゴさせている姿に、見た目よりも幼く見えるグレンが可愛らしく思えてくる。
そして、みるみる顔が明るくなっていく
「何だこれ!!この砂糖菓子!!甘いけど不思議な味だ!
すごく美味い!!肉以外で美味しいと思ったの初めてだ!」
キラキラした瞳でとても嬉しそうに語るグレン
そうだろう、そうだろう
キャラメルの中でも森○キャラメルは最高峰に美味しいのですよ
無邪気なグレンが可愛らしくて、人種を焼いて追いかけますのが楽しい!とか言っていた邪悪な面を忘れ呑気にほのぼのしてしまう。
っと、呑気にしている場合ではないここは魔獣のでる森だ。
油断は禁物!
それに、森へ入ったリリーちゃん達を探さねばならない。
馬車の通った車輪の跡が残っているから探すには苦労はしないだろう。
そう思っていると、急な殺気にグレンと同時に振り返り森の奥に視線を向ければ、そこに立っていたのは見間違うことのない白銀の幼女、リリーちゃんなのだが…
獲物でも見るような、いや…射殺すような目でこちらを見ていた。




