第34話 イーサンとソフィの過去その2
数年前 魔毒竜殲滅戦にて
「ラッキーナンバーは18! イーサン、ソフィ、ちゃんと意識しておけよ〜。後で後悔しても遅いからな〜」
茶髪に碧眼の男性が忠告する。
白のローブには数字の形をした装飾品をじゃらじゃら括りつけられ、歩く度に金属音が鳴った。
彼の名はノア・コールマン。
イーサンの親友であり、長年の付き合いの冒険者。
占星術、タロットの知識と実践を冒険者の戦闘に流用した私たちとは、出逢ってすぐ意気投合した。
彼が扱うのは数秘術で、占数勇士の名を王国に轟かせる実力者だ。
「ノアの占いは当てにならない。人の宿命を知るには、星を読むのが確実だからな」
「おいおい、占星術はオカルトでないといいたいのか? 数秘術、馬鹿にすんなよ〜」
「占星術は学問だ。数秘術と違ってな」
言い張るイーサンに困ったように微笑むノアにつられ、私にも笑いが込み上げる。
「またそれかよ、イーサン。ソフィに呆れられるぞ」
「君はどう思う、ソフィ。由緒正しい占星術こそが、人を導くに値するだろう?」
「いや、数秘術だって役に立つよな。頼む、数秘術が一番だって言ってくれ!」
問われ、私は頭の中の素朴な考えを吐露した。
「う〜ん。解釈次第でどうにでも受け取れるタロットが、私は最良だと思うけど」
「……ンアーッ! ソフィのせいで更にややこしくなったじゃんか。ま、俺たちは仲間で好敵手だ。実力のある奴が正しいってことで」
ノアが強引に話を終わらせるも、横のイーサンは不満気に自らを指差し示す。
この中で俺が一番強い、と言いたげに。
「おお、アンタらがいれば大丈夫だな。なんたって英雄だもんな」
魔毒竜退治に集まった冒険者は、英傑と称される彼らを、歯が浮くような台詞で賛辞した。
英雄か、と呟くイーサンは目を細め、褒め称える冒険者を一瞥する。
「魔毒竜やそれに匹敵する魔物を倒したから、英雄になるんじゃない。きっとその人についていきたいと感じさせて、初めて本物の英雄になれるんじゃないかな。イーサン」
「そうかもな」
英雄の在り方を耳にし、彼も納得したように頷いた―――その瞬間!
突然、周囲一帯の森は夜の帳が降りたような暗闇に包まれた。
何事かとざわつく冒険者の声は、爆音を思わせる音に掻き消されていく。
冒険者らを高みから見下ろす、〝何か〟がいた。
そして、その〝何か〟に見つかれば命はない。
絶対的な力の前に冒険者らには談笑する余裕などとうに消え失せ、ただただ生命の危機から解放されるのを待つばかりであった。
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