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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
第3部 シルビア編
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日本気功術協会

日本気功術協会


リンの借りていたのは郊外の1軒家で庭付きの物件だった、大家は真向いのおばあちゃん。リンが住んでいた家は前に麻薬の売人が住んでいたことがあり、向かいに住む大家のおばあさんは又変な奴が入ると困ると思い真向いの家を買い取った、買い取ってからは自分から見て信じられる人に貸していたらしい。

特に女性に貸したことが多いそうだ。リンは真向いの大家へと尋ね残る家賃の支払いと本日をもって引っ越すことを告げた。


「おばあちゃん元気でね」

「寂しくなるわ、ミートパイを作ってもあげられる人がいなくなる…」

「ごめんね、仕事が見つかってこの町にいられなくなったの」

「だから家におばあちゃんが気に入っている物を残していくからね」


リンはミュージカルや演劇関係それに歌関係のポスターやサインを数点部屋に飾っていた。その中に大家のおばあちゃんが絶賛していたタペストリーが有った。

それはリンの祖母の昔の写真と主演したミュージカルのポスターの合成写真、リンの祖母はミュージカルのスターだったのだ。

他にも往年の映画俳優からのサイン入り色紙などが多く飾られていた。

問題の一つピアノだが、一軒家と言えばやはりグランドピアノ。

リンの家に有ったのもそれは綺麗な白いグランドピアノだった、ガラス張りの庭が見えるリビングにどんと構える白いピアノ。

まるで一枚の絵のような今にも誰かが弾くピアノの音が聞こえるようなそんな情景がそこにあった、ほとんどの調度品は元々大家さんの私物らしい。

という事で持ち出すものは数点の写真とぬいぐるみぐらいで、ピアノのみどうするかと言う所だった。

ピアノの処分で話し合っている所で大家さんが現れピアノを売ってほしいと話し出す。

交渉の末にピアノはそこそこの価格でこのままこの家に置いていく事になった。

頼んでおいたピアノ業者には手数料と迷惑料を上乗せし帰ってもらうことに。

ピアノはなんと8000ドルで大家さんの物に、この価格は買ったときとほぼ同じ価格だった。話を聞くと実は大家さんも昔ミュージカルに出演してたらしい。

スターでは無かったが、リンの祖母とは共演こそしなかったが勉強のためによく見に行ったと昔の思い出を話してくれた、引っ越しの準備も終わり荷物を詰め込んだ一行はこの地区で借りている協会の倉庫へと足を運ぶ。

倉庫と言ってもレンタルボックスの少し大きいバージョンだ、車1台ぐらいなら入れられるし、レンタルボックスの中で暮らすことぐらいは可能な広さがあった。

そこに今回引っ越し先には持っていけない余分なものを段ボールごと左右に配置する。

段ボールには名前と日付けを書いて内容物の目録を書いた紙を張っておく。

これで一応いらない荷物の後片付けは完了だ。


「それじゃ今日はご苦労様本日も宿はロ〇ヤルハイアットに取ってあるからこれからは自由行動でオーケーよ、私は日本の気功術協会の人が来るからこれから待ち合わせの場所へ行くけど、来れる人はついてきても良いわよ」


新人2人共に行く当てや予定などはなかった、それに気功術の話も少し聞きたいし、付いて行けば夕食にもありつけると言う。

先方の協会関係者との会合なので自由は無くなるが2人共に少し興味が沸いていたので同行することに決めた、獣人2人は当然同行する。

午後6時になり待ち合わせ場所には3人の日本人が待っていた、一人は若く20代の男性もう一人は30代だろうか眼鏡をかけ一見キャリアウーマンに見える女性、そして最後の一人は醸し出す雰囲気から相当な気功術の使い手ではと判断できた。

その人物は頭は禿頭で黒いサングラスをかけロングコートを纏い杖を突いていた。

待ち合わせ場所のホテルのラウンジで8名が顔合わせする。


「日本気功術協会講師 相羽誠です」

「日本気功術協会理事 古科美憂と申します」

「US〇気功術協会理事のシルビアオースティンです」

「US〇気功術協会講師キロルにゃ」

「US〇気功術協会講師マリネでしゅ」

「板垣享吾です」

「リン・ワーグラーよ よろしく」

「日本気功術協会対外支部総括、多賀秀樹です」

「タガ タガヒデキ?あなたが多賀秀樹?」

「そうですよシルビアさん」


シルビアは気功術で多賀の気を探る、そして気付く懐かしい気の色と言うか形と言うか目の前にいる男から3年前消息を絶ったあの子の気を感じる。


「この姿では初めましてですね」

「あなたノキナを知ってるわよね!」

「一時本人でしたからね」


シルビアは驚きと共に頬を赤くして手に力が入るのを抑え込んでいた。


「まあ良いわその話は後でしましょう、かまわないわよねタガさん」

「そうですね 私的なことは後にしましょう」

「それでは本日我々がここに来た理由をお話しします」


日本の気功術協会がアメリカに来た理由は数十年後の未来についてだった。

今から100年後第2次細菌戦争が始まるそれまでに7割の国民に気功術を教えなければ大変なことになると。今流行っているウィルスとは比べられないぐらい強力な殺人ウィルスが全世界を恐怖に陥れるという事を。


「それ本当なの?」

「ああ 間違いないまだ100年あるが、この国の人を救うには今からやらなければ間に合わない」


レストランのメニューからそれぞれに注文すると食事をしながら双方の状況を話し合った。

第1次ウィルス戦争は今のところ膠着状態が続いている、各国に気功術経験者が増えてきたため、改善してはいるがまだまだ安心はできない。

アメリカそしてヨーロッパはキスとハグが挨拶だ、どうしてもウィルスの餌食になり易い。

過去にマスクでさえ拒否した経緯がある、科学力で何とかしようとしてもできることは限られている。

それよりも有効な手段が有ればそれを進める方が断然良い、今までの研究で気功術習得者のウィルス感染率は5%だ5%の内訳は気功術習得者の70%が1級30%が2級そして死亡率は0%。気功術習得者の増加を妨げるもう一つの問題は宗教、宗教による教義で他者からの教えを拒否する傾向がある。

今回シルビア達の講習に参加している宗教関係者は〇リスト教の信者でもかなり教義の緩いプロテスタント系がほとんどでカソリック系や特殊な生活環境を堅持する教義の団体に所属する信者は一人も参加しなかった。

100年後の目標としてもなかなかに難しいと感じる、だが医療現場での利用率は徐々に高まっており。

近々医療審議会などでも取り上げられると言う話が有る、医療系の協会から少なからずシルビア代表に対し議会へ参考人として出廷の話も来ている。

気功術を医療系で進めるにも本当に効果があるかどうか、いまだに信じない頭の固い人たちの前で証明してくれという事らしい。

とりあえず今のところ2回出廷すればいいらしいが、今後さらに増えることも予想しなければいけない。

気功術の講習会さらに議会への出廷スケジュールはかなりタイトだ。

最近は各大学などからも公演依頼が来ていて、今のところ大学関係は保留にしてあるがいずれ受けなければならなくなるだろう。

ウィルスのせいでリモート授業が続いていて、まともに勉強がはかどらない事を考えると大学での講習も必要なのは確実だからだ。

気功術を広めるためには資金だけでなくもう一押しが必要なのかもしれない。

例えば有名人を気功術で治したとか、どこかの事故現場で気功術師が人を救ったとかの美談が有れば認知度もさらに上がるだろう。

この時代日本の気功術習得者はすでに30%を超えており医療それに学校、軍や警察関係も訓練に取り入れてきている。

第1次ウィルス戦争の被害者は日本が一番少なくこの1年間で10000人に満たない、ウィルスに感染しても隣人やその場にいた人が必ずと言うぐらい気功術習得者だからだ。

死亡した人のほとんどが引きこもりや老人の一人住まいで気功術協会もそこまでは手が届かない、それでもこの数字は他の国と比べて奇跡的な数値だった。


「日本の数字はすごいわね〇SAもそうしたいけど色んな壁があってなかなか進めないのよ」

「それは仕方ない事です、だがこれから2・3の奇跡が起きると思いますので。信じて進むしかないでしょうね」

「2・3の奇跡って?」

「詳しくは解らないのですが、数十年後ウィルスではなく他の事で有名になります」

「まあそれは話だけとして、問題はこれから近い未来で何を目標にしていくかよね」

「そうですね、そのために近い将来何があるか本に書き留めることにしました」

「執筆もなさるんですか?」

「フィクションとしてですけどね、未来予知なんてほとんどの事は皆信じてはいないでしょうから」

「なるほどそれならば、信じてる人にとっては最高のバイブルになりえますね」

「なんか難しすぎて付いていけない」

「なんか眠くなってきたのにゃ」

「シルビアしゃん私たち先に部屋へ行ってて良いでしゅか?」

「ええ、あらもうこんな時間?」


すでに夜10時を超えていた、シルビアは残る人は任意で話を聞くように促したが獣人達とキョウゴは用意した部屋に向かった。

そして非公式ながらUSA気功術協会と日本気功術協会は今後も相互協力関係を進めていくことで合意した。


「有難うそれじゃ後程こちらのデータを送るわ」

「よろしくお願いします」

「こちらが日本のデータです」

「それから多賀さんの本は今買えるのかしら?」

「差し上げますよ」


そういうと古科がカバンから一冊の本を取り出す、一見した所普通の小説のように見えた、シルビアはすぐ読みたかったが今夜は他にすることがあるので頂いた本を洋服のポケットに入れて握手を求めた。


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