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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
第3部 シルビア編
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アクシデント

アクシデント


常に考えていることだが、この機の搭乗者もすでに事前に調査済みで今のところは不審な搭乗者は見つかっていないが。

中にはお金に目がくらみ敵に騙されて危険なアルバイトに手を出す人もいるので安心はできない。

飛行機は大空へ溶け込んでいく、これから4時間半隔離された鉄の箱の中で過ごすのだ。

空へあがって2時間が過ぎた頃やはり例の乗客が騒ぎ出す、CAが医者を呼び出すがこの日はあいにく搭乗者が少なく、見つかったのは看護師のみ。

乗客は新型のウイルスに感染していたのだろう、看護師ではできることは限られているし。そもそも看護師が出来る事はほぼ無いと言ってよい、必要なのは特効薬か人工呼吸器、そして一番効果的なのは気功術。

今現在アメリカでの気功術習得率は7%これでもかなり増えたほうだ、早く増やさないとこの国の3割はウィルスの餌食となるのに、気功術に対する考え方が獣人に対する偏見からか、いまだに差別的な見方をする者もいてはかどらない。

シルビアも白人なのだがこの偏見はいまだに理解できない。

どうやら飛行機はこの搭乗者によって途中で降りることになったらしい、着陸先はカンザス州ハッチンソン空港。

このことでほかの乗客が騒ぎ出した、後部座席に座っていた乗客が突然暴れ出し機長を呼べと怒鳴り出した。

一生懸命なだめるCA、我々も我慢できず怒鳴り散らす客の下へ向かうとその怒鳴る客はCAを羽交い絞めにし人質に取ると操縦室へ向かい歩き出した。

シルビアはマリネとキロルに急ぎ指示を飛ばす。


「マリネは感染した客の下へ気功術でウィルス除去をお願い、キロルは暴れる客の気をそらせて、後は私が何とかするわ」

「ハイでしゅ」

「あいにゃ」


2人はすぐ行動に移すとそれぞれに通路を移動する、マリネは椅子に座りぐったりしている客のそばに駆け寄り対応している看護師と相談すると、気功術で患者の頭周辺に防御膜を巡らせる、気功術の防御膜でまずはウィルスの遮断を試みる。

看護師にはその間、心拍数と脈拍をカウントしてもらう、危なくなったら気功癒術及び気功強化術で患者の肺と心臓の強化を試みる。

マリネはこの時すでに気功癒術も上級を習得しており軽い風邪はもちろん、通常の怪我も即治療してしまう程の腕前を持っていた。


マリネが気功術を掛けて数分で患者の咳も減少し脈拍も安定してきてとりあえず命の危険は脱した。

一方キロルは暴れる客の前で幻惑魔法を発動させる、彼女の特異なダンスだが実は踊りの中に幻惑の魔法が組み込まれておりその魔法を見ると、何故か眠くなると言う。

踊り方により幻惑の魔法は効果が異なり、眠くなる踊りのほかに幸せな気分になる踊りや、やる気の出る踊りなど数種類ある。

気功術をする前にこれをやると緊張が解けて習得が進むし、気功術に対して懐疑的な客に掛けると信頼度が増すと言う精神安定の魔法が掛かる。

キロルは気功術の師範と言う肩書だけでなくオリジナルのダンスパフォーマーとしても人気が高い、すでにファンまでいてTV出演のオファーまで来るほどだ。

キロルが気をそらせているうちにシルビアが背後に回りCAの首を絞めている腕を解くとCAに気功術で防御膜を張りまずはCA救出。

暴れていた客も大人しくなり、椅子に座らせ様子を見る。

暴れていた客はどうやらこの機に搭乗する前に麻薬の一種を接種したらしい、一種の興奮状態との事。

問題は収まったがCAや機長と相談した結果やはりハッチンソン空港で降りる事を選択する、危機は収まったとはいえ2人も不安定な客がいたのではこの先又アクシデントが発生しないとは限らない着陸は妥当な判断だろう。

空港へ降りると外には救急車とパトカーが2台来ており飛行機が滑走路に着陸すると警官と救急隊員にささえられお騒がせな2人は飛行機から降りていった。


「2人共有難う」

「あたしたちに掛かればこんなもんでしゅ」

「観客が1人じゃちょっとさびしかったにゃ」

「まあそうは言うけど、あのまま放っておくとさらに危ないことになりそうだったからね」

「解ってるにゃよ、冗談ニャ」

「それはさておきこれからどうしようか…」


飛行機は結局代替えの機体を待つにも1時間はかかるので空港で待つしかないのだが、そうするとLAに到着するのは1時間半以上遅れてしまい、本日の講習場所の講演時間に間に合わない。

そう逡巡していると同じ旅客機に乗っていた乗客から一緒にチャーター機に乗らないかとお誘いの話が。

よく見るとその人物は歌手のミランダ・ロクスリーだった、ソウルフルな歌声とエキゾチックな容姿で魅了する、今期発売した新曲がヒットチャートにノミネートされ今話題の歌手の一人だ。

彼女もLAで仕事があるらしくどうせならと声をかけてくれた、聞いたところ彼女はシルビアの顔をどこかで見て覚えていたらしい、キロルのダンスにも興味が沸いたとのこと。


「どう 悪い話じゃないでしょう、お金もいらないわ」

「それでは悪いわ」

「かまわないわよついでだし、じゃあこうしましょう 気功術だったわよね、私もTVで見て少しは知っているのよでも講習を受ける暇もないし。良ければフライトの時間に少しレクチャーしていただけないかしら」

「マリネ キロルどうかしらこの話、乗ってみる?」

「良いでしゅよシルビアしゃん」

「右に同じにゃ、キャットダンスをお披露目するにゃ」

「ミランダ 仲間からOKが出たわ、よろしくね」

「こちらこそ、楽しみだわ」


一行はこの空港で小型ジェット20人乗りをチャーターしLAを目指した。

機内に入り、小型機が飛び立つと安定した頃を見図って気功術の個人指導を始めた。


「手をおなかに…と…気を込めてっと」

「慌てなくてもいいわゆっくりリラックスして」


4人はチャーター機のソファーチェアに座ると目を閉じ気功術初級を始める。

ミランダはさすがに歌とダンスに慣れているのか、普段から歌の呼吸法トレーニングを欠かせないだけあり気功術の習得もスムーズに進んだ。

そして気功術中級初歩、おまけのキロルお得意キャットダンスとミランダの歌で盛り上がり約2時間の旅はあっという間に過ぎた。


「これは素晴らしいわ、しかもウィルスに対抗できるなんて、なぜ今まで知られていなかったのかしら。」

「まあ 私が知ったのも3年前だから仕方がないのよ」

「そうなの?」

「元は日本の柔術や合気道からの派生という事だけど詳しくは今度日本の気功術師範が来るから聞くことになっているの」

「そうよね元が何かを知るより今広めないといけないわけだものね。」

「たくさんの人ができるようになればこの国のウィルス感染者数は少なくなるでしゅ」

「そうすれば皆ハッピーにゃ」

「私も応援してるわ、有難う今度又会ったらお食事でもしましょう 今日は無理だけど絶対よ。」

「解ったわ、こちらこそよろしくお願いするわ」


LAの空港に着くとミランダのファンが押し寄せており、シルビアたちも何故かファンに囲まれ後日ミランダのブレーンとダンサーではと言う誤情報の噂が流れた。


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