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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
第3部 シルビア編
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第1次ウィルス戦争

第1次ウィルス戦争


その年は某国が性懲りもなく研究中のウィルスを拡散したというニュース、他の国は又かと思って某国からの渡航者を早くに制限したが。

今回はそれだけでは済まなかった、今回のウィルスは結構危険で人からの感染はもとより荷物や空気からも感染する感染率の高いものだった。

アメリカはすぐにロックダウンを宣言し某国からの人の流れや輸送を全て止めた。

だが時すでに遅く船からの荷物はほとんどが汚染されていた、港では運ばれてきたコンテナの検査をしていた検査員が最初に掛かりその後船の船員の70%が発症

運輸貿易関係はほぼその営みを止めざるを得なかった。

その年のアメリカのウィルスによる死亡者数は100万を超えた、いわゆる第1次ウィルス戦争である。

このウィルス戦争には裏にいくつもの逸話がある、ある国の開発した健康法によって致死率が20%から4%になったと言う、その話はSNSでも広く流れていて。その多くが日本の新潟地区からの話だった。話の内容はシルビアのよく知る気功術の話、なんでも気功術の道場スクールに通うAちゃんは気功術をすでに中級まで習得した10歳の女子で新潟から入港している某国からの荷物を扱う港湾労働者の娘だった。

その家庭で気功術を習得しているのは母親とAちゃんだけ、父親とまだ幼い弟は未習得だったと言う。

その親子、父が先に感染し家庭内感染を起こしたが、母親と娘は感染しても発症しなかったと言う。

さらに気功術を使い家族の感染を防ぎ一時は危篤状態になった父と弟を救って見せたと。

さらにさらにSNSで調べていくと某国からのビジネスで帰国したB氏は当日乗った旅客機で感染したはずだったが、その後本人は病院で検査まで受け隔離されたのだが発症はしなかった。

その旅客機に乗った乗客の内感染したのは70%130人(200人乗り)そして彼は新潟県出身で気功術の経験者だった。


彼曰く高校生の頃近くの気功術の道場で学んでいたが就職で都会に移り住み、通うことが出来なくなったが、気功術を習得してから体の調子が良いため常に続けていたらしい。

この話はウィルスより早く噂が広がりアメリカはもとよりヨーロッパへも広がっていった、日本で気功術の講師をしていた数十人が外国へも派遣され急遽柔術道場や拳法の道場で気功術が習得されていく事となった。

当然アメリカではシルビアに気功術の講師として白羽の矢が当たり。

獣人達、数人を連れ気功術を教えて回ることになった。

この頃には獣人の気功術もほとんどが中級を超えて気功術7級後半の腕前まで精進していた。


「次のステージは何処?」

「次はカリフォルニアでしゅ」


マリネはノキナと一緒に人攫い(獣人攫い)に遭った犬の獣人だ、あれから3年が経ち18歳になったマリネはなかなかの美人さんになった。

彼女はすでに気功術7級を超えてシルビアの補佐をしている、少しおっとりしているが。

きちんと話の内容を理解し記憶しており気ぜわしく慌てやすいシルビアとはちょうど良い相性だった。


「そうすると飛行機じゃないと無理ね」


ここはニューヨーク、アメリカ大陸を横断しなけりゃいけないのだから飛行機じゃないと難しい。


「また飛行機だにゃか?」


もう一人の仲間キロルは猫の獣人20歳で気功術は7級前半、彼女は体が柔らかくオリジナルのキャットダンスやキャットウォークを披露して気功術の講習では人気の指導者だ。

いつもこの三人でアメリカの各州を回っている、講習に回っているのは現在3グループ中心はシルビアだが他にも6人2グループが交代で各地を回っている。広大なアメリカだ本当はもっと沢山回る事が出来れば良いのだろうけど、彼女たちは獣人。

気功術で人化の術をかけて人間と全く変わらない容姿を得ているが、たまにアクシデントで術が解けてしまうこともあり。

気功術中級の5級後半でなければこの仕事は難しいという事になって、現在は3グループがメインになっている。

特に自然の多い場所を他の2グループが回り、大都市をシルビア達が回っている。

気功術の応用編、人化の術は魔素に左右されやすいからだ。

講習や移動の途中では必ず公園を探し魔素を取り込むためリフレッシュする事にしている。

ニューヨークのケネディ空港からカリフォルニアのロサンゼルス空港まで約5時間の旅になる、空港のロビーに入ると広く長いホールを速足で歩きながら航空券の予約をスマホで器用に取得する。


「イェス チケットは取れたわよ」


ウィルスのせいで航空機の空きは取りやすい、現在航空機の搭乗者数は30%と言ったところか、次の便まで1時間現在午後12時半1時間あれば昼食が摂れる。

いつもカバンの中にはチョコバーやダイエットバーが忍ばせてあるが、空港のバーラウンジがあるコーナーへ足を運ぶとコーヒーのチェーン店へと入っていく。


「皆好きなの頼んで良いわ」

「あたしはパスタとジュースとポテトでしゅ」

「じゃ、うちはシーフードバーガーとミルクにゃ、フィッシュフライも付けるにゃ」


それぞれに注文すると食事が来るのを待った。

待ち時間の間にもメールをチェックする、各地の情報と講習のオファーそして別行動で講習に回る仲間の現在地、等々は常に把握しておかなければ次のスケジュールに合わせられないからだ。

そして日本の情報も、SNSでつかんだ情報の中に今週日本から気功術の師範クラス数名がアメリカにやってくると言う。

何人来るか性別とか年齢はまるで分らないが、どうやら同じ気功術をどのぐらい修練しているかを測りに来るらしい。

まあアメリカ人がしかも獣人までが何処で気功術を入手したのか知りたいという事もあるのだろう。

日本に行きたいと思っていたのに向こうから情報がやってくるのだから会わずにいられるわけがない。

シルビアにとっては飛行機代が浮いたぐらいの気持ちだったが、実は先方の日本気功術協会はある事が理由でアメリカへと訪米することになったのだった。

世間話をしながら待ち時間を過ごすと、ロサンゼルス便への搭乗時間がアナウンスされる。


【アテンションプリーズ…】

「それじゃ行くわよ」

「はいしゅ」

「うんにゃ」


二人は残る食べ物を慌てて口に入れ席を立つ、はっきり言うと獣人は人の様な道具を使う食事には慣れていない、この二人もフォークやスプーンがやっとで箸なんて使うのは考えられないだろう。

日本食のレストランは未経験だが、もし日本食のレストランへ行くことになればたぶん食べるのに苦労するはずだ。

手荷物少しとバックパックを背負い通路を搭乗者ゲートへ急ぐ、ロス行きは12番ゲート。

ゲート前で空港職員が端末を使いチケットの確認をする、この時代マスクは任意だが私たちは気功術でウィルスの除去ができるので形だけのマスクを着用している。

機内に乗り込むとやはりこの便もガラガラだった、見たところ機首の乗客は10人程度、中央で仕切られているので搭乗者数は60人に満たないだろう。

指定した座席に座りアナウンスを待つ、CAのアナウンスを聞きながら端末を操作し今日の宿泊先や講習会場を確認する。

そんな中シルビアは搭乗締め切り直前になって乗り込んできた乗客に違和感を感じた、少し落ち着きがない。

手荷物を強く抱きしめていて息が荒い、自分の座る座席の横を通り過ぎたとき確信した。

(何らかの病気を発症している可能性が高い)

すぐにCAを呼び体温測定を確認すると対象者の確認は取れていて平熱との事。

とりあえず確認してみたが理由を付けてさらに確認するのはこれ以上無理だろう証拠は無いのだから。

シルビアが穏便に済ませたこの指摘が後になって少し後悔することになるとは思わなかった。

座席はこれだけすいていると仲間ともバラバラに座っている、シートベルトのサインが(ポーン)と言う音と共にアナウンスされる。

ウィルスの感染者が乗っているだけではそんなに問題ではない、注意すべきは獣人に対する妨害やいまだに減らない敵対者達だ、彼らはいつどこで牙をむいてくるかわからない。

気功術のおかげで気功力6級以上になれば防御力は人の4倍、ナイフはもとより銃による襲撃ではかすり傷1つ受けないが、車や航空機に乗っている場合は要注意だ、ハイジャックされ人質を取られれば第3者にも被害が出てしまう。

自分たちの事情で他人を傷つけるなんてことは絶対避けなければならない。

さらに飛行機の場合、最悪墜落してしまう事になれば気功術で身体能力を強化していても、その被害から免れる事は難しいだろう。


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