世話焼きローレア
世話焼きローレア
ノキナは夢を見ていた、柔らかい2つの双丘に顔をうずめていたノキナは母の夢を見ていた、そう母の夢だったノキナには母の思い出がそんなにない。
それなのにノキナは母の夢を見た、その姿は美しく顔は何故かもやがかかったようで解らなかった。
ノキナは生まれるとすぐに研究所の別の部屋へ入れられた、それからは白衣を着た人間に育てられた。
毎日変な器具を体に付けられたが、食べ物は毎日くれたのでそんなに不自由したという記憶がない。
ただ母の顔だけが思い出せない、獣人だからそれとも実験体だから。目の前のぬくもりにただ幸せを感じていた。
「起こしてしまいましたか?」
ノキナの頭の上で優しそうな声がする。
ノキナはガバッと身を起こすと気功術で全身に防御膜を張る。
「あなた誰です?」
「ノキナ様の弟子です」
「弟子なんか取った覚えはないしょ」
「ノキナ様 まずは落ち着いて深呼吸してみてください」
ノキナは落ち着いて深呼吸すると、何故か7年間の自分以外の誰かが行った記憶が頭の中に流れてくるのが分かった。
「あれ~あう、うんうんそうあ~~ふむふむ」
目を閉じると、頭の中で自分が経験したことのない記憶が次々と流れていく。
いわゆる知識の同化現象だ、いくら記憶が別だとしても体や脳自体は共有したことになり全てでは無いが起こった事象の記憶は経験としてゆっくりと認識されて行く。
そして大きく息を吸うと目をつむり考え事を始めた、ノキナは少しそのままでいるとおもむろに巾着を取り出し中に入れてある魔法石を取り出した。
取り出した魔法石に魔力を流すと映像が流れる、そこに映ったのは自分の姿だった。
【……という事でな、後を頼むぞ】
自分のことながら、実際に自分が行なったわけではないので実感がわかない。
ただ何となく覚えている感じ、そして体を触り出す。
そこには少し大人になりいい女になったノキナがいた。
「ローレアちゃんだっけ、ごめんねまだしっかりと思い出せないしょ」
「大丈夫ですよ、私の中にはまだもう一人のノキナ様がちゃんといます、わからないことは私に任せてください」
「頼むでしょ」
ローレア
(やっぱりあの方は行ってしまわれたのね、いつかまた会えるかしら)
「それでは本日はまず私の事からですが、アビス様にお暇を願う事から始めます」
そういうとローレアはアビスの元へ行きはっきりとノキナの下で修業したいと告げた。
「うむ ノキナ様はこの国の王である、どちらにせよ連絡を取れるようにお前を派遣すると言う形で良ければ任せることにしよう。いつでも帰ってきて良いぞ」
「お許しいただき有難うございます」
「それでは話は決まった、本日は何人か銚子村へ派遣し今後の事を決めて頂く。それでよろしいか」
「うむよろしくでしょ」
と言ってノキナは口を押えた、話し方が昔の口調になっているので少しあせった。
「では人選はこちらに任せてください」
すかさずローレアがフォローをいれる。
「任せる、おおそうだ朝食は食べていくのであろう」
「うむ」
「すぐしたくするゆえ、少々お待ち下され」
ノキナはビビっていた、いきなり記憶にあるとはいえ目の前の海竜アビスを自分ではないが極大魔法で大けがを負わせたのである。
もう背中から汗が滝のように流れていた、これはあまり話さずローレアに任せた方が妥当だと、野生の勘が知らせているのだ。
ノキナはこの違和感が慣れるまでは当分辛抱するしかないと感じた。
いくら記憶を共有していたとはいえノキナから見ればアビスの魔力は桁が違う、よくもまあヒデキ爺さんはこの化け物に瀕死の重症を負わせることが出来たものだと今さらながら感じている。
確かにノキナの魔力量も7年前と比べれば倍以上に膨れ上がってはいるが、今戦えば爺さんが憑依していた時と同じようには行かないだろう。
食事の支度が出来る前に自分の魔力量も確認しておく、それに他の魔法石も調べる事にした、いくつかの魔法石にはどうやらノキナの遺伝子の中に2020年・記憶にあった爺さん美容師の物が使われたらしいと記録されていた。
(精子もしくはDNA)日本のものが多くと聞いていたので間違いはないだろう。
しかも今までこの体を使っていたのがその爺さんだとは、そうすると自分はそのおじいちゃんとは血縁関係がありもしかすると娘か孫かもしれないという事か、もしくは曾孫かな。
ノキナは安心したと同時に不安もかなりあった、急に7歳も体だけ成長したのだ昔と比べると胸は大きくなりお尻もふっくらして身長も10センチは伸びている。
気功力(魔力)は7年というアドバンテージを経てこれでもかと言うぐらいあふれている推定21級。今の身体能力であれば大抵の敵には負けることも無いと確信できるが、海竜アビスを見るとやはりビビってしまう。




