レストラン
レストラン
ギッタンから聞いたマフィアのボスは首都ボルンガから南へ50kのところにあるザンビカと言う町に居を構えていると言う。
気が付くともう60のおっさんとは思えないぐらい、今回の冒険になんかワクワクしていた。
ノキナは飛行の魔法をかけてローレアと共にザンビカ市へ向かった、ちょうど昼を過ぎていたので食事を摂る事に。
「ローレア、食事を摂ろうと思うが宜しいか」
「はい」
ザンビカ市に入ると検問で止められたが、王から渡された通行手形を見せると番兵は軽くあいさつし中へ案内を始めた。鼻の下を伸ばして…
そういえば普通にしていればノキナとローレアが連れ立って歩く姿は美女2人が歩いているとしか見えないだろう。
「この町へは初めてですか?どこから来たんですか。彼氏は居ますか…」
もうしつこいぐらい話してきたが、当然無言で歩き続けると番兵はあきらめたのか一言挨拶を最後に検問所へと戻って行った。
(あいつ仕事ほったらかしで若い女性を見るといつもああなのかな)
目抜き通りを少し歩くとレストランが目に付いた、何やらレストランの中から騒がしい声がする、何か有ったのかと思い少し覗いてみることにした。
「おいこの店は客にこんな蟲入りのスープを出すのかよ」
「申し訳ございません、ただ今すぐ代わりをお持ちします」
「かわりだ~そうじゃねえだろう、この俺様の気分をどうしてくれるんだよ」
「そう申しましても…」
「おめえじゃ話にならねえ、責任者を呼べ責任者を」
「少々お待ちください…汗」
うんテンプレ店バージョンだね、客はやくざ屋さんかなそれともド素人のチンピラかな?
責任者がやってくるとなんと滑り込み土下座をした、あっけにとられた客は一瞬ポカンとするが。
いちゃもんを付けた客は気を取り直しさらに畳みかける。
「土下座なんかしても俺の気分は治らんねえだろうが」
「それではどうすれば?」
「まずは落とし前として慰謝料だな、とりあえず1000ダル貰おうか」
「そんな虫に1000ダルは出せません」
「なんだって、出せねえだと!」
「はい、食材を買えという事ですよね」
「ちげえよ、俺のこの気持ちに金を出せっつってんだろうが」
「ですからその虫はこの店で入ったのではなく、お客様が入れたのでしょう」
「…あ…ち…ちげえよ」
「所有者サーチ、所有者の下に回帰せよ」
そう言うと皿に入った〇キブリは所有者の頭の上に乗り、一瞬光った。
「え…」
「それで何か文句がございますか?」
「おまえら けえるぞ」
「お代がまだですね、1000ダル頂きます」
「そんな金ねえよ」
「兄貴やばいですぜ」
「逃げやすか」
「俊足」
いちゃもんを付けていた客は俊足の魔法を使って逃げようとしたが、ドアの近くにいたノキナに足をひっ掛けられて盛大に転んだ。
「おわっ!」
(グシャ、ババキッ、ゴロゴロ)
その後は番兵を呼び3人は無銭飲食でお縄となった、その後ようやく静まったお店の中に入りウェイターに入店人数を2人ですと告げると、奥のテーブルへ通された。
「ようこそいらっしゃいました、先ほどはありがとうございます」店主
「うむ まあ通りかかったのでな、それにしても面白い魔法じゃな」
「まあ職業柄必要ですのでね」
「あの土下座も素晴らしかったぞ」
「お客様どうか他言はなされないようにお願いします」
「あははは」はずかしかったらしい
「それではメニューをどうぞ」
「ローレア食べたいものはあるか?」
「ノキナ様にお任せします」
「お勧めはあるかの?」
「本日はボウボウ牛のステーキとアルカン鳥のスープがおすすめとなっておりAコースで2つともお召し上がりになれますが」
「ではそれを2つと、軽い酒か果実のジュースをもらおうかの」
「かしこまりました」
そういうと責任者は厨房へ行き注文を伝達した、食前酒として持って来たのは赤いワインだった。この国の酒は全体的に薄めだ、気候的にやや熱帯に近く酒も強すぎる物は嫌われる傾向にある。酒の種類も豊富で特に果実酒が多く赤い酒もブドウとは限らない。
口に含むと甘酸っぱい香りと芳醇な酒の味が口いっぱいに広がる、たぶんこの店でも上のクラスの酒だろう。ローレアはオレンジ色のジュースを飲んでいる、口に含むと嬉しそうな顔をしていた、せっかくだから海にいては経験できない事を堪能してほしい。
食前酒を堪能していると数分後前菜が運ばれてきた、カルパッチョだろうか旬の野菜の上にジビエの薄切り(ハム)と食用花その上にオレンジ色をしたソースが掛けられていた。この店の料理は地球のフランス料理に似ている、だが日本でしか高級料理を食べたことがないノキナ(おじさん)にはどこの地区とか、ヨーロッパのどの国かは細かいところまではわからない。
その後運ばれてきたのはどれも素晴らしい味と香りの料理ばかりで60歳美容師の口もうならせるほどのコース料理だった。
(60歳美容師舌はたいしたことないが味覚音痴ではない)
最後に又店主が現れ「いかがでしたでしょうか?」と言うので日本語で「おいしゅうございました まいう~」と答えるとびっくり顔で「お客様はもしかして日本の」まあ土下座した時点でこの責任者が日本人だとは思っていたが日本の事を話すと、涙を流しながら責任者は話し出した。
聞いたところによると今から10年前、店の食材を手に入れようと店の休みを使って契約農家の畑へ野菜を収穫していたところ仲間何人かと一緒にこの地へ飛ばされたとの事。
仲間の何人かはすでに死亡して残ったのは自分と厨房で料理を作っているシェフの二人だけと言う。
こちらも自分の事を少し話すと、目をぱちぱちさせながら驚いていたが話の内容を考えると納得したらしい。
そしてこの国には麦はあるが米が無いらしく、今度ノキナ獣王国から持ってきてあげると話したところ是非にと言われ、商売の契約を交わすことになった。
「それは大変でしたな」
キヨフミ・アマノ
「それはもう でもこんなところで同郷の女性に会うなんて。しかも姫王様とは」
「まあな」同郷と言っても中身だけだけどね。
「この町のマフィアにはご注意ください、なんでも呪術使いがいるそうで。私たちもマフィアに上納金を治めてここで商売をしているのです」
「そうか情報すまぬな」
「いえ 当然の事です」
「では今日はごちそうになったなお勘定を頼む」
「いえ本日のお代はいただけません、その代わりお米の事味噌の事お願いします」
もう、これでもかと言うぐらい握手をして頭を下げられて、目をキラキラさせてお願いされれば断れなかった、というか断る理由はないのだが。
お店を出る時もずっとお辞儀してるし、仕方ない今日の事は日記にしっかり書き記しておこう。
ノキナは毎日日記を書いている、夢が覚めても日記さえ書いていれば本人が困らないようにだが。
ちなみにここ2日は日記の記帳をさぼっている、まあペンと紙さえあればすぐ書けるのでそのぐらいは問題ないだろう。
この世界には紙はあるがPCはまだないのが難点だ、聞いたところ音声記録の魔法と魔法石による保存はできると言うので、機を見て魔法石を手に入れ日記のように音声や映像の記録をやってみようと思っている。




