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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
第2部 惑星ビュリア
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人魚のローレア

人魚のローレア


海竜たちは女性が多く中には人魚もいた、聞くところによると海竜族と人魚族との交流は昔からあるらしく、たまたまアビスが人魚村に訪れた際見染めたのが第4夫人のローレアだった。

ローレアは現在体調不良で床に臥せっていると言うのでノキナは彼女を見舞うことにした。


「今帰ったぞ」

「王様おかえりなさいませ・・ゴホゴホッ」

「じっとしているがよい」

「そちらの方は?」

「今度この国の王になった姫王ノキナじゃ、王になったと言っても今までと変わらぬから安心してよいぞ」


ローレアは目を大きく見開いてアビスの様子をうかがうが、アビスの顔を見ると目を閉じこう言った。


「やはりあの夢は本当でございましたか…」


ローレアは予知能力者だった、息子のクラビスの事も知っていたがアビスの強引さに負けて黙っていたのだ。

人魚族は必ず能力を一つ持っていると言う、昔の話だが人魚が番となるために琴を操り歌う事で人族の男を魅了したと言う伝説を聞いたことがある。

中には人魚を食べると永遠の命を得られると言う話もあるが、噂はうわさとしてそれだけのうわさが全て嘘という事もないだろう。そこには何かしらの理由があるはず。

それにしても綺麗な人魚だった、こりゃアビスが見染めるのも無理はない。

だが顔色がよくないのが気にかかった、火山性の噴煙や海の汚れだけではなく、体調がすぐれぬのは何やら魔法系の臭いもしてくる。

ノキナは猫系の獣人である、特に魚系の臭いには敏感で人魚もその仲間なのか?鮮度の良し悪しをかぎ分ける事には結構自信がある。


「ローレアとやらその方最近人族に会わなかったか?」

「そういえば前に南の国に住む人間を助けたことが有ったな」

「はい 船が転覆したと言われ、可哀そうなので何人か助けてあげたのですが。そのお礼と言われ人族の町に招かれたことが有ります」

「何か渡されたのか?」

「こちらの水晶を頂きました」


ちょっと見ただけで魔力を感じたノキナは鑑定の魔法を唱えた。

するとその黒い水晶から煙が沸き上がり空気に溶けて行った。


「魔力吸引と睡眠誘導の魔法が掛けられていたぞ」


そう言うとノキナはローレアに対して治癒の魔法とスキャン(魔力鑑定)の魔法をかけた。

治癒は今より体調が悪化するのを防ぐためと、鑑定魔法を使用した場合のアンチ魔法によるデバフを防ぐ為だ。


「うむやはり、おぬしの体のあちこちに人族に掛けられた魔法の跡がある、催眠誘導の魔法がかけられておるな」

「外見では分からないがおぬし食べられたかもしれぬな」

「なんじゃと、だが食べられた跡はどこにも見当たらんが」

「睡眠誘導魔法で眠っている間に移動させ、体を切り刻み部分的に取り出した後で治癒魔法で治せば体は元通りじゃ、じゃが治癒魔法だけでは失われた本来の体は治らん。」

「だがら魔力量や本来持っているはずの能力は失われたままになる、それは他人に食べられたことの証じゃ。少し様子を見よう、おぬしが操られて夢遊病のように外へ行って誰と会うかを確かめてみよう、その者から魔力を取り返せねばならないからのう」

「何から何までかたじけない」

「乗り掛かった舟じゃ、おもしろそうじゃから最後までつきあってやるぞ」

「有難うございます、よろしくお願い致します」


その日は海竜の里で夜を明かすことにした、部屋で休んでいると案の定ローレアに掛けた追跡魔法で彼女が移動を始めたことを知らせてきた。

(やはり動き出したか)

後をつけると海竜島から10キロ南に船が一艘停泊していた、結構大きな商船だった。

ローレアは目を閉じたまま操られるままに島から抜け出し海を泳ぐとその船の中へと入って行った。


「…うう…ああ…」

「おお来たか、待っていたぞ」


商人はそう言ってローレアを抱きよせると、体を触りまくり自分のベッドへと運んで行った。

それから目の前でさんざんローレアを性欲の捌け口にした後自分が果てると、なんと商人は手にナイフを持ちローレアの体に突き入れ内臓を取り出そうとした。

ノキナ(ちょっと着くのが遅かったか…)ノキナは隠匿の魔法を解き商人の手に握られたナイフを取り上げ首を締めながら言った。


「おぬしそれ以上すれば地獄へ落とすぞ」

「だ・だれだ」

「助けてもらった恩をあだで返すとは、商人の風上にも置けぬやつ。まずは全て話してもらおうか、嫌とは言わせぬぞ」


ノキナは商人に拘束の魔法と隷属の魔法を使い、反抗できないようにしてから今までの経緯を全て吐かせた。

ローレアの内臓はこれまで計5回に渡り取り出され闇オークションで売られたとの事。

一つはこの商人が食べたと言うので、まず商人から生気を吸い取り1つ分はローレアへ返すことが出来たが、後4つはそれぞれ取り返しに行かなければならなくなった。

ローレアに掛けられていた睡眠誘導の魔法と従属の魔法を解き、残る4つの内臓が売られた相手とその場所への行き方をクズ商人に質問した。


「だれに売った!」

「領主だ」


売った相手と場所はなんとか解った、売られた先の人物はしっかりと帳面に記入しており購入した人物のいる場所はほとんどがザンキアナ国内にいることが判明。

取り調べの後は商人に各種の譲渡契約書を書かせ資産の全てを一時没収するとにした、何も悪徳商人をそのままにしておくことは無い、悪い奴にはそれ相応の罰が必要。

この世界でお金を手に入れても自分の世界には持って帰ることができないが、ノキナにとってはプラスになるのだから。

手に入れた船の船員達の前でノキナは怒声を張り上げる。


「今からこの船はわしがもらい受けた、これが証拠じゃ。従えないものは即刻この船から降りても良いがこの海は海竜の海じゃ、どうなるかは知らんからそう思え」


海竜の海で海に飛び込み無事に済むわけがない、船員は全員ノキナの言う通り従うことになり船をザンキアナのコンゴウ港へと進路を取ったが。

コンゴウ港までこの商船で行くと1週間はかかると言われたので飛翔魔法を使用することにした。

飛翔魔法、今まで自分には使用したことが有るが、今回は船に魔法を掛けて目的地まで行ってみようと考えた、うまく行けば今後の旅は空飛ぶ船でできるようになる。


「メイキングフライングシップ、この船を大空へと飛び立たせ我が移動の道具となれ」


飛翔の魔法は船全体を包み一時的だが商船は飛行船になった。

(ひゃっほ~飛行船だ~)

もうノキナの魔法は何でもありかもしれない。

もちろん船体を強化して船体の周りを防御魔法でコーティングも施す、さらに自動で空を航行するように魔法をかけた。

船はコンゴウ港へは半日で着いた、1万k12時間である。船は音速近くまでスピードを出したことになる、初めて使う巨大飛行魔法は到着するまでドキドキの飛行船旅行だった。


「姫さまー傾向いてますー」

「これでどうじゃ」

「あわわ 今度は前が低いです」

「今度はどうじゃ」

「姫様~ い 息苦しいです~」


スピードが上がると空気が負圧で息ができにくくなる、それを解消するために船全体を空気の風船で包み込む、当然のことながら複数の魔法が必要になり、即興で作り出す。

空気魔法・防御壁魔法・状態固定魔法・拡張魔法・安定化魔法などなど。

飛行状態についても、水平を保つまでに10分以上調整することに、さらに高度の調整をしたりと空を飛ぶのにも色々と魔法を新たに作るノキナだった。


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