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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
第2部 惑星ビュリア
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伊の国屋

伊の国屋


次の日中央の町へ行くため同行者を募る。

ハンター2人は当然参加だができればあと1人か2人連れて行く予定だ、獣人にも数人ノキナは手伝ってもらおうと思っていた。

するとネコ科の女子カニニと犬科の男子マッキーが付いてくると名乗りを上げた

二人とも人化の術や防御術の中級まで取得しており、一人でもなんとかできるぐらいの資質を持っている。

他の獣人は平らの坊さんと村長に頼んで面倒を見てくれるよう頼んだ。


「それではよろしく頼むでしょ」

「おまかせくだされ、よき働き手じゃわれらも助かる」

「それじゃ皆、一仕事終えればまた戻ってくるでしょ」

「行ってらっしゃいノキナ~」

「またね~」

「みんなげんきで~」


ノキナ達は早速中央の町まで出かけることにした。

馬も無く馬車や車も無いがこの世界には魔法がある、と言う事で早速ノキナは全員に俊足の魔法をかける、この魔法も以前の夢憑依で冒険者の魔法師が使っていたのを覚えていたので何とかかけることが出来た。

中央の町まで500kはあるとの事で徒歩では絶対1日で着かない、最低5日は必要な距離だが俊足の魔法で5倍まで筋力と持久力を上げると時速50k近くだせるようだ、但し最高速では体にかかる負担が大きすぎるので、平均時速約40k程度で進むことにした。

一応休む時間も入れて2日程度をかけて目的地に着く予定、まずは最初の宿泊地那須村へと向かった。

那須村は伊賀村と同じような閑散とした農業村だ、伊賀村の住職に貰った紹介状を見せると村長がいる屋敷へと通された、藁ぶき屋根に太い柱の屋敷の庭にはニワトリが数羽いて、ここでは牛や豚も飼っていた。

途中でとれた猪を金に換えられるか聞くと1頭銀貨10枚と交換してくれた少し安い見積もりだが村長の懐にお金の持ち合わせが無いのと、本日の宿泊場の借り賃が含まれているのでそのぐらいの損は仕方がないだろう。

それに今晩の食事もつけてくれるそうだ、この村も今年は豊作と言う話でやはり手伝わないかと誘われたが用事があると告げると残念そうな顔をされた。


「すまないしょ」

「まあしかたないがね、ゆっくり泊まってけ」


村長はノキナが食事の際頂きますと言うと「あんた同郷かね」と言われ少し故郷の事を話してその日は就寝した。

どうやらこの国の農村は外の話に飢えているのか、他の村の事をやたらと聞いてくる自分たちがいた世界と比べればテレビもラジオもないのだから、外の情報がすぐわかると言うありがたさはこういう状況にならないと分かることもないだろう。

翌朝は村長の娘や村の女集に食事と弁当おにぎりを作ってもらい村を後にした、日本の田舎は良いね心が暖かいしまた来ようと思ってしまう。

(ここは日本じゃないのにね)

2日目あと200kで志賀町に着くこの辺りでは一番大きな町らしい、途中で鹿を1頭狩っておにぎりと一緒に食べる、いいね自然の中で生きるっていうのは皆も楽しそうだ。

順調に行き過ぎて怖いぐらいだが、大きな町に入れば問題は必ず向こうからやってきそうな気がするのでこの気楽さも一時的なものだ。

そうこうしているうちに滋賀町まであと少しと言う所でトラブル発見、お決まりのテンプレとみられる風景、荷車を引く商人が侍風の2人にいちゃもんを付けられているのが見えた。


「何処みて歩るってるんじゃ、怪我して歩けんじゃろうが」


商人風の男がペコペコ頭を下げているのが見える。


「申し訳ございません、お許しください」

「済まねえと思うならわかっとるよな、責任とってくれや!」

「いてええ~いてえよ」


テンプレバージョン和風だ、侍の一人は大袈裟に足をかばい痛くてもう歩けないと言い出し道に座り込みわざとらしく声を上げていた。


「金がねえだと~」

「申し訳ございません、ただいま商いをしてきた帰りでして、お金は商品に変えてしまいまして」

「商品だと、そんなものもらってもいみねえじゃろが」

「申し訳ございません…」

「ん~じゃあそこの娘を貸してもらおうか?」


侍の手が娘の腕を掴み乱暴に引き寄せる。


「ジェームス、ドナルド やってみるしょ?人助け」


2人はニコッと微笑むと顔を見合わせて荷車に向かって行く、それを見た侍風の2人は驚いた顔をしながらも演技は忘れない。


「なんでえ おまえら、邪魔するとたたっきるぞ」

「できる物ならやってみな」


ジェームスがどすを聞かせた声で侍に言葉を返す。

侍は売り言葉に買い言葉と 刀を上段に掲げると袈裟切りに切りつけた。


ガンッ!

「それで終わりか?」


ジェームスの纏った気功防御術で刀ははじかれ侍はしりもちをついた。


「なんだこいつ刀で切れねえ化け物だー」


侍二人は一目散に逃げた、それは必死だった足の痛みも忘れて。

後に残った我々は次の瞬間、腹を抱えて笑った。

それはもう侍たちの驚き用と慌てふためく姿が可笑しかったとしか言いようがない。


「あーはっはっはっはっ」


それを見ていた商人も笑いだし娘も涙を流しながら笑い始めてしまった。


「2人共けがはないかい?」

「あなたの方こそお怪我は?」

「お助けいただき有難うございます、なんてお礼しをしたらよいやら」

「俺の出番がなかったよ…トホホ」


ジェームスも半信半疑だったのか刀で切られそうになった肩に手を当てると、服の一部だけが切れていることが分かったが、表情には自信が見てとれた。

一方ドナルドは出遅れたらしい、少し残念な表情をしていた。


「旅の方有難うございますお礼をさせてください」

「お礼と言われても、うちのボスの言いつけですので」


いつの間にか2人の中ではノキナがボスになっていたようだ。

ノキナが代わって今回の旅のことを説明すると、商人はそれでは家へ寄って行けと言うのでお言葉に甘えることにした。

町の入り口には奉行所から派遣された町方風のお役人が橋の両側に立っており、薙刀を交差させ商人の前で通せんぼをするいわゆる関所というやつだ、そこで商人は懐から通行手形を取り出し役人に見せる、それだけで通行の許可が下りたのか・なんと我々も仲間と判断したのかそのまま通関が許された。

町の目抜き通りを少し進むと志賀町は活気にあふれ侍や町娘であふれかえっていた、各お店から大きな声で「いらっしゃい」と掛け声がかかりまるで江戸時代のような下町の風景を呈していた。

商人の名前は伊の国屋貞吉と言い、まだ小さいながらこの町の半分近い取引にかかわっていて屋敷もそこそこ大きかった。丁稚や使用人も6人以上いてあと少しで大店になるところだと話してくれた。

お店の暖簾を分け入ると江戸時代さながらの数寄屋の風景が目の前に広がった。

カメラが有ったなら絶対写真を撮っておくだろう、とノキナ(60のオヤジ)は思った。

靴を脱ぎ屋敷の中へ通されると貞吉は6畳2つの部屋のふすまを開け放ち座布団を用意する。


「ささ ここでおくつろぎください、今 甘味とお飲み物をお持ちします」


数分すると娘のお菊がお茶とお菓子をお盆にのせ持って来た。


「粗茶ですが、どうぞ」

「ありがとうしょ」

「ありがとうにゃ」

「有難うっす」

「うまそうだ」

「サンキュー」


それぞれに礼を言うとお菊は微笑みながら話し始めた。


「皆様は本日お泊りする宿はお決まりですか?」

「それはまだきめていないしょ」

「お決まりでなければ今夜は我が家に泊まって頂けませんか?」

「先ほど父とも話しましたが、実は今この町の宿はよそ者には検閲を課せられていて。言いがかりをつけられて奉行所に連れていかれる事件が増えています」

「それは面倒でしょな」

「要は税金として取れるならよそ者からってことだな」

「そうなのです ここならお咎めもございません」

「良いのでしょか、迷惑ではないのかしょ」

「命の恩人をこの先困る事を知っていて危険にさらすことなどできません」

「えらいしょ 普通そこまで出来ないしょ、皆よいかな今日はこの家に泊まるという事にしょて」

「俺は構わないぜ、野宿よりゃましだ」

「賛成にゃ」

「だいじょぶっす」

「おK」


その日は伊の国屋で泊まる事にした、夕食は当然和食だがこの町は海からは遠く魚料理はさすがに出なかったが我々が旅の途中で狩ったシカ肉を見せるとすぐ買わせてくれと言われ、交渉したところなんと小判2枚と交換してくれた(小判1枚銀貨50枚分)しかもそのシカ肉を料理し夕飯に出してくれたのだ。

新鮮なシカ肉の刺身や焼き肉そして鹿汁に皆で舌包みを打ちながら夜は更けて行った。

驚いたことに日本の文化が色濃いこの国には、醤油は当然だが味噌も有り昔のように量り売りをしていた。

伊の国屋でも当然扱っていて今は味噌4種類醤油は3種類、もちろん米も扱っている。

夜は用意された布団一式に皆驚いていたが貞吉の言葉に促され本日の疲れを癒すべく就寝、私は明日この国の行政を行う首都を目指す予定だ。


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