惑星ビュリア
第2部 惑星ビュリア
目が覚めるとそこは森だった、周りを見渡すと何人か同じように目をこすり起き上がろうとする者達が見えた。
「大丈夫かにゃ」
ノキナは自分の手足を確認した、いつの間にか人化の術が解けてしまっている。
あわてて再度人化の術をかけなおし皆の無事を確認する。
「ここは?、皆大丈夫っしょ?」
そこは森の中だが違っていたのは上空に見える太陽と月…
ノキナは直感で分かったここは惑星ビュリアだと…
前の夢憑依で見た4つの月と2つの太陽、だが分かったのはそこだけ。
ノキナは人化の術をかけなおすと、ハンターや仲間の獣人達に声をかけていく。
どうやらこの場所に飛ばされたのはハンターが2人、猫科獣人がノキナを合わせて8人、犬科の獣人が10人、そしてウサギ科の獣人が3人、そのうち犬科の子供が4人。
ノキナはすぐ事の状況を把握し皆に説明を始めた。
「みんな聞いてくれっしょ、ここはたぶん地球じゃないっしょ」
「地球じゃないって、どうしてわかる?」
「空を見てみるっしょ」
そこには3つの月と2つの太陽が空に浮かんでいるのが見えていた。
「嘘だろ」
「こんな事どうやって信じろって言うんだ!」
「信じなくてもいいしょでも地球じゃなくても、生き抜くには皆で助け合わないといけないしょ」
「でもどうやって」
「まずは道を探すしょ、その後町を探すしょ」
「ハンターさん達、お名前を聞きたいっしょ」
「俺はジェームス・ビギナー」
「俺の名はドナルド・キャスター」
「あたしの名前はノキナ、ハンターさんにも後で気功術覚えてもらうしょ」
「なんだそれ?気功術?」
「この世界では気功術=魔術が生死を分けるしょ」
一行は森を進んだまずは水を求めて、犬や猫の獣人がいるおかげで川はすぐに見つかった、一行が連れてこられた場所は川の上流に近く、魚は泳いでいなかったが水は冷たくおいしかった。
その後もそれほど問題は無く時折猪やシカを捕まえて食事タイムとなった。
狩猟の知識があるハンターもいたので、シカをさばくのも問題なかったが鹿や猪を倒すときにライフルは使わずに倒すことを勧めた。
まあノキナが一人で全て倒してしまえば銃を使う事もなかったからだが。
「ノキナ、あんたはここが何処か知っているのか?」
「驚かないなら話すしょ」
「さっきのバカでかい猪や鹿を見た後で驚くなと言ってもなあジーザス」
「解った驚かない、話してくれ」
ノキナはこの星の事そしてこの先、待ち構えている問題そして生き残るためにしなければいけないことを話した、最初は2人共驚きながらも聞いていたが。
地球に戻れないことを知ると、観念したように肩を下ろした。
「それでか銃を使うなと言うのは」
「試しに撃ってみるかっしょ」
「いや やめておくよそれより魔法を教えてくれ」
前の夢でも解ったことだが爆薬や爆発による音の響きや振動で気功や魔法は形を崩されてしまうと言う欠点があるらしい。
気功術を纏い銃を使用すると銃を持った腕を中心に気功強化術が解けてしまうのだ。
確かに数発撃って獣に当たればうまく行けば倒せない相手ではないことも分かっているが。
この星の獣は地球の獣の倍近い大きさがある、それは倍以上の弾を消費することになり結果として沢山球を撃ち込まれた肉を食べるのはどういうことかと言う事になる。
弾があるうちは良いのだが、ハンター達もそんなに弾を持っているわけでもなく、ノキナは銃に頼るのではなく気功術による魔法を手に入れる利便性を説明した。
まあ彼らから見たらマジックみたいなものだが、この星で気功術はマジックではなく本物なのだから。
ノキナが気功術を教えるとハンターたちは何やら片言を話しながらも見様見真似で気功術を体験して行った。
「サムライ」
「けんぽう」
「ぜん」
獣人よりは下手だがうっすらと光り出すと彼らはそれが気に入ったのか、それからは手品を覚えるようにほぼずっと歩きながら気功術を続けていた。
まるでおもちゃを得た子供のようだ。
気功術のおかげで体力は皆十分あがり、その後も1日約100k近く森の中を進んだ、ノキナもこの森が何処かは解らなかったが、過去の記憶からある程度はあたりを付けてはいた。
そうこの森は東暦2000年にはノキナ獣王国となる国の森の中。
まさかノキナと言う名前が東暦2000年に国の名前となっているとは思わなかったが。
ならばその名を知っている俺はこの獣人の少女が国を作る又は国王になる未来と言う事に加担すると言う事になる、だとすればこの場所はそうなる前の国のどこかと推測した。
このまま川縁を下ればそのうち森が開け道や畑が見えてくるはず、その後は村か町を探せばいい。
但し前回訪れたこの星の様子から2000年前にどれぐらいの文明がこの星で営われているのかは未知数だった。
今後の計画としては皆を守りながら敵となるものの排除、そしてこの国の中に入り込み我々の生きる場所を作らないといけない。
川沿いを進んでいくと徐々に川幅が大きくなり、そして草原が多くなる地区を超えると今度は丘が見えてきた。
獣人たちは途中疲れてしまい子供たちもぐずったりしたが、ほぼ大きな問題も無く人がいるであろう場所へと全員で到達することが出来た。




