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夢憑依Ⅲ(私は獣人)  作者: 夢未太士
[第3章]―第1部【獣人ノキナ編】
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お別れの時

お別れの時


車で移動する準備が終わり獣人保護区へと一行は進んで行く、まるで映画で見たゾンビから逃れる車の集団コンボイのように。

国道を北西へ向かって山道を走る、はじめは順調に見えた道だったがカーナビには無かった工事中の立て札。

嫌な予感がした車10台以上のコンボイ、あらかじめ予定していたはずの道程だがどこでばれたのか待ち伏せされた感が濃厚になってくる、工事中なのかちゃんと確かめる為に車から降りたときそれは起こった。

工事中の看板から先の道路が大きな音と共に崩れ落ちた、さらに背後からは大型トラックが突っ込んでくる。


「皆車から降りて逃げるのよ」

「森ににげるしょ」


気功術で防護膜を張りノキナは車から降りてくる獣人や警備のSPを森へと誘導する、車を降り森へ逃げ込む一行の後ろから大型トレーラーが激突した。約5台の車を巻き添えにしてがけ下へと落ちてゆく、かろうじて危険を察知し全員が車外に逃げ助かった後、護衛のSP6人は銃を手に激突したトレーラーの後ろからくるであろう敵に備えた。

到着地まであと20k、歩いても何とかなる距離だが一行の中にはまだ幼い獣人の子供も一緒だ、幼い彼らにはつらい道のりとなりそうだがだからと言って追手は手を抜いてはくれないだろう。

この先にも刺客が待ち構えているのが見え見えだ、何人いるか知れないがそれでも先に進むしかない、シルビアもノキナもそう考えていた。


「シルビアさんここは我々が守りますから先へ進んでください」


SPは全員何故かサングラスを着用している、全員スーツで決めた彼らは 皆任せろとばかりに首肯する、かっこいいよねこんな時のお兄さん達は。


「解ったわ、皆無理しないでね」

「イエス マム」

「ご無事で」

「あなた達もね」


一行は森に入り先頭はノキナと犬獣人のグループ、しんがりをシルビアと猫獣人そしてウサギの獣人が受け持つ。

今回馬の獣人は参加していない、彼らはやはり進化を望んだので研究所へ逆戻りすることになった。

当然彼らも人間として扱われることは言うまでもない、研究が進めば馬の獣人も人と同じ容姿を手に入れることができるだろう、彼らの決断は今後見守るしかないが問題は今だ。

一行が森の中を進むとやはり現れた人さらいのグループと金で雇われたであろう狩猟好きの人間達、どう言い込められて参加したのかこちらの見た目はほぼ人間と変わらないのに。


「おい話が違うぞ、獣人じゃないじゃないか」

「今更なんだ、金は前金で渡してあるんだ仕事をしろ」

「ふざけるな、人殺しなんてできるか」


どうやら我々の姿を見て、雇われたハンター達は獣人=もっと獣に見える=人ではないと、予想して仕事を請け負ったようだ。

敵は我々を見て混乱をしている、特に金で雇われたハンターは当然、相手が獣だと思っていたからこそ興味本位で参加したが、目の前にいるのはどう見ても人間が30人以上、しかも人間も含まれている。

発砲すれば人殺しだ、普通の人ならそんな事できるわけがない。

こちらが様子をうかがっていると、雇われハンターと悪人達はその場で仲間割れを始めた。

ノキナはこれをチャンスと見た、ハンターと悪人の差は着ている服や手に持つ銃ではっきりとわかったからだ。

ハンターは全てライフルを所持していたが、悪人は拳銃とマシンガンを所持していた。

それさえわかれば後は悪者だけに的を絞れば良い。

ノキナは素早く動く、木を蹴り反動を利用して敵に近づくと悪人に絞って攻撃を加える、1人又1人と敵の悪人が倒されていく。

5人以上いた悪人達を全て無効化すると、雇われたハンター達も銃を下ろした。


「すまない俺達は騙されていたんだ、許してくれ」

「わかっているしょ」

「ここから先は俺達も先導する」

「たのむしょ」


そして悪人たちをハンターが持ってきたロープで近くの木に縛り付けると、一行はさらにその先の森へと進んで行った。

ちょうど目的地まであと10kと言うところで2回目の爆発音が響いた、今度は一行が進む真上からのがけ崩れだった、縦2列で歩いていた一行は爆発による土砂崩れに巻き込まれ半分に分断されるとともに仲間の多くが土砂の下敷きになってしまった。

だがこの時奇跡が起こった、目の前に濁流のように多いかぶさる岩や土、誰もがその下敷きになれば助からないと思っただろう。

数秒後、辺り全体が大きく光に包まれるとまるで時間が逆に進むように土や木が元通りに戻っていく。


「な?なんだ!」

「奇跡?」


ただし奇跡はそれだけでは終わらなかった、崖が元通りに戻ると今度はランダムに人が淡い光に包まれていく。

2回目の光は1回目とは違っていた、2回目の光は一人一人を包むように淡く光だし、そして足元から光が治まると同時に姿まで消えていく。

獣人やハンター達まで光に包まれては消えていく一人また一人、他の獣人が光っている仲間の手を取り光から引きはがそうとするがそれは無駄だった。


「おいなんだ、どうなってる」


全ての光が治まって残ったものは仲間を見ながら確かめる、約半分の獣人と人間が忽然と姿を消してしまっていた。

そしてその中にはノキナも含まれていた。


「ノキナ ノキナー!」シルビア


親友ノキナがいないことに気づくとシルビアは大きな声で叫んだ。


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