ぶらぶらしている訳ではない
太陽が真上より少し傾きけた時、ヒロトは目を覚ました。
「昼を少し過ぎるさた位かな?」
ヒロトはぶつぶつ言いながら、手近に有ったバナナを一本もぎ取り口に頬張る。
「とりあえず寝床と、当座のバナナが有るけど、
もう少し食料を確保したいなあ。
寝床を中心に、回りを探索でもするか。」
ヒロトは寝床から起き上がり、梯子を降りていく。
「そぅ言えば靴もないなあ?」
自分の足元を見てつぶやく。
「とりあえず、後で考えよ!池?の方に行ってみるか。」
ヒロトは池?がある方角に歩き出す。
が!
オノっちを忘れている事に気付いて取りに戻る。
「忘れる所だったよ。オノっちがないと、オレだけじゃあ
何にもできないからな。頼りにしてるよ、オノっち❗️」
頭がおかしくなったのか、ヒロトはオノに話しかけている。
確かに、現代人がパジャマだけで、森の中に取り残されたら、
まず間違いなしに、餓死一直線だが。
何と無くヒロトなら何とかなりそうな気もするが(笑)
しばらく歩くと池?に着いた。
回りを見渡すが、少し前に来た時と変わらない。
(当然である。)
ヒロトは、池?に沿って歩き出す。
(特に何も考えていない。)
時折、池?の方を見ながら歩いている。
「池?なので倒木以外に漂流物は無いよな」
(訂正、少しは考えているみたいだ。)
「出来れば、池?の水を汲めるバケツの代わりになるものでも
無いかなあ?」
(訂正、飲み水確保を考えていたなら、
かなり考えているようだ。)
ヒロトは手に持っているオノを見る。
「オノっちじゃあ太い木は、斬り倒せないよなあ。
丸太でもあれば、中を削って桶代りになると思うけど、」
ヒロトは足を止め、クルット向きを代えて戻る。
寝床への帰り道、バナナを一房とバナナの葉っぱも取り、
寝床に帰る。
バナナの葉っぱを軒先に吊るし、ツタで縛り簡易な壁を作った。
昼の気温を考えると、今は、春過ぎ位に思う。
夏本番がどれくらい暑くなるか解らないからは早めに住居を
整えた。
一応、木の上なので鳥以外は来ないと思うが、屋根しかない
簡単な住居の見栄えが少し良くなってきた。
本当は土壁にしたいが、粘土が有るか解らない。
「竹があれば便利なんだけどなあ?
竹で籠を編んだり、弓も作れるし、家も、もっとしっかりした
のが出来るんだけど。」
「明日は、竹を探す事をメインに探索するかな。」
「何か、こおゆうのって、ワクワクしてくるなあ。」
「食料は無いけど、原始人の様な生活!」
「多分にオレは、こんな生活をしたかったんだろうなあ。
現代の様な窮屈な生活が向いてなかったと思える。」
「雁字搦めになったような社会の気がする。
高校で勉強して、大学でも勉強して、次はいきなり会社で
働く。会社で勉強何て役にたたないのに(泣)。」
「でも、それが普通で当たり前なんだよなあ。だけど
それが可笑しいと思うオレにはやっぱ無理だよな。」
ひとり言でボヤキながら寝転がり空を見ながら呟く。
多分、寂しさから来るボヤキではないが、
自分の胸に閉まっていた気持ちが、
回りに何も無い状況、そしてこれからの期待が
閉まっていた気持ちを吐き出したのだろう。