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 昼休み。


 はあ、文芸部どうしうようかな設楽さん。


 いつも弁当持参なので窓際の席で広げると

 購買行きのヤツらで空いた教室で

 弁当持ちの女子が数人でかたまって食べ始めていた。


 いいなあ。

 男子は基本購買派だし群れることをしない。

 たまになおとその周辺が一緒になるけど

 女子は女子。

 男子はそれぞれ食う。


 日なたでのんびり食べつつ、

 放課後に思いを馳せていると



 前の席にだんっと壁が出来た。


「?」

 前の席の佐伯はもっと背が低かったが?


「いつも弁当持ち?」


 上から声が降ってきた。

 

「購買まで行くのメンドいし。

 あとセツヤクのため?」


「弁当代、小遣いになんのか」


「いや、家計のため」


 微妙な沈黙が降りて、否そこは笑うとこだぞ

 と思いながらヤツの顔を見てみた。


「冗談だよ。趣味で作ってるの」


 もっと引かれた。


「おま、自分で弁当作ってんの?!」

「余り物詰めてくるだけだぞ」


「ああ~」


 ようやくご安心いただけたようだ。

 まあ、中学生男子が弁当自分で一から作るのは珍しいだろうな。たまには作るけど、普段は夜の残りとか冷食を詰めるくらい。量も少ないし。でも自炊は出来た方が便利だ。食べたい時に食べたいものが作れる。おまけに仕事帰りの母に感謝される。それはもう載せるための作戦だろうってわかるくらい大袈裟に褒められ、片づけまでカンペキ!な料理男子の出来上がり。


 「で何か用?」


 弁当を食べ終えてふぅっとなったところで

 こいつの名前を思い出した。


  高木

 

 うん、壁にふさわしく一番後ろの席だな。

 体育のバスケで壁になるヤツだ。


 「あのさあ」


 ものすごく言いにくそうに高木が言った。

 何か厄介事の予感がするのは気のせいだろうか。いやいつものか。


 「俺バスケ部なんだけど」


 それがどうした。



 「大森さんに女子マネ頼みたいんだけど」

 「なんで俺に告白するんだ」

 「は? いやそうなんだけど違」

 「なお~(・д・)」


 心底めんどくさくなってなおを呼んだ。

 俺はいま忙しいんだ。人の恋愛ごとなんかにかまってられるか。


 なおはやっぱり高木に誰?って顔しながら寄ってきた。高木があわあわしているので用件を言ってやる。親切だね。


 「やだ。それ面倒くさい」

 「ええ~」


 一瞬で断られた。

 落ち込む高木に聞いてみれば、はっきり言って事故物件だった。なおはしっかり女子経由で知っていたらしい。女子マネ同志がケンカの末そろって退部。男子部員のやる気低下と雑用の押しつけ合いで練習どころじゃないっぽい。普段なら女子マネなんて人気ポジションなのになり手がいない。3年の先輩に勧誘を押しつけられたらしい。


 「悪い。坂下、女子と仲いいから頼めると思って。いきなり声かけてごめんな」

 

 「いや気にしてないけど。バスケ部大変だな」


 「人間関係がな~」

 「ほんとそれ」


 高木は困り顔のまま肩をすくめて席を立った。

 もっと体育会系のヤツかと思ったら苦労人だった。

 




新たな属性。料理男子に世話焼き男子。

おかんかな?

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