第78話 まずは一人目
俺が飛ばした斬撃は、混沌剣の「飛ぶ斬撃の追尾機能」により、神5たちに吸い込まれるかのように迫っていく。
全員を水平に薙ぐべく放ったこの斬撃は……しかし、当たる寸前で彼らに気づかれてしまった。
「……!」
全員が咄嗟の回避行動を取り……結果としてこの斬撃は、ほとんど避けられてしまった。
一人だけ、明らかに初動が遅かった奴には重症を負わせられたものの……それ以外は無傷か、ちょっとしたかすり傷を負わせられただけだ。
俺自身は隠密魔法で隠れているものの、斬撃そのものは視認可能だったため、気づかれて避けられたか。
だとしても……目の前に急に現れた斬撃を咄嗟に躱すって、一体どんな反射神経してるんだ?
不意打ちだけで終わるとは行かずとも、全員にそれなりの深手は負わせられると思ったのだが……計算が狂ったな。
思ったより、厳しい戦いになるかもしれない。
そんな風に状況を整理しつつ……俺は、次の一手のためにまた連鎖を組み始めた。
「ゴハァッ……!」
「今度は一体何だってんだ?」
「この近くに迎撃装置でも仕込んでやがったか! ぶっ壊してやる!」
斬撃を避けきれず、重症を負った奴が吐血したものの……神5のメンバーに、それを心配する者はいない。
神5、単に優秀な者が集められただけで、仲間意識は希薄といったところだろうか。
そして運がいい事に……彼らは今の斬撃を、迎撃装置か何かの仕業だと勘違いしてくれたみたいだ。
実際は俺の斬撃なのだが……ありもしない装置探しに躍起になってくれるなら、こちらも落ち着いて連鎖積みに集中できる。
「それらしいもの、全然見つからないですー」
「イライラしますわね……二発目が来たら、逆に居場所を突き止めてやりますのに!」
彼らが躍起になる中、俺は再び15連鎖を組み上げることができた。
本当は16、7連鎖はいきたかったところだが……発火してから連鎖終了までの時間もあるし、あんまり欲張り過ぎて連鎖中に見つかったりしてもアレなので、この辺で発火するのが賢明だろう。
15連鎖が消え終わると、俺はその魔力で自身に身体強化をかけた。
それにより、俺はまた超集中状態に入るのを感じたが……同時に、俺自身の魔力反応も増幅したからか、隠密魔法は意味を成さなくなった。
――もっとも、だからといって、もう不意打ちはしないというわけではないが。
まずは重症を負った奴から、確実に仕留めさせてもらうとしよう。
「……お前か! さっきの斬撃を放った奴は!」
早速メンバーの一人が俺に気づき……俺を指差して、そう言ってきた。
「不意打ちとはいえ……この俺の額から、血を流させるとはな。ザネットを殺ったのも、お前で間違いないな!」
「さあ……何のことだ?」
とぼける素振りを見せつつ……俺はプヨンだけに聞こえる声で、こう囁いた。
「プヨン、あの重傷を負った奴の後ろに回ってくれ。そして……俺の方に向かって、プラズマタックルで突き飛ばしてくれ」
俺にかかっている隠密魔法は解けたが……プヨンにかかっている分はまだ健在なので、プヨンの存在は敵にバレてはいない。
それを利用して、俺自身の膨れ上がった魔力反応でのミスディレクションもしつつ、プヨンに裏手に回ってもらおうというわけだ。
プヨンが突き飛ばしてくれたところを、音ゲーの如くタイミングを合わせて斬り伏せ、絶命させる。
神5を一人でも殺せば、またレベルが上がるだろうし……それで実力差が縮まれば、残りの四人は正面から堂々と倒せるようになるはずだ。
「結界といい斬撃といい、お前らの挨拶はいちいち礼儀がなってねえな。……覚悟はできてるんd――」
「ぷらずまたっくるー!」
敵が御託を並べている間に、プヨンのプラズマタックルが炸裂。
不意打ちは完璧に決まり……重症を負った奴が、こちらめがけて飛ばされてきた。
「――今だ!」
それに合わせ、思い切り剣を振り抜くと……重症を負った奴は縦に真っ二つになり、絶命した。
<ハバ ユカタはレベルアップしました>
まずは一人撃退、作戦通りだ。





