第76話 UFOの精鋭部隊
小屋を出た俺はまず、幻影色合わせゲームの10連鎖消しで自身とプヨンに隠密魔法をかけた。
万が一UFO48関連の襲撃だった場合に、見つからないように情報収集するためだ。
そして記録結果を再度見ると、俺は結界が破られた方に向かって混沌剣で飛んだ。
結界が張られている地点に来ると……俺は全方位を見回し、何か異変が無いか探した。
見たところ、結界自体の修復は既に完了しているようだ。
肝心の、破った奴の正体は一体何だったのか。
それらしいもの探していると……胴体の一部がペシャンコになった宇宙船が、俺の目に止まった。
何かに衝突しましたと言わんばかりの故障っぷりだし……あれは怪しいな。
そう思いながら見ていると、パイロットスーツを着た男女が五人、宇宙船の中から出てきた。
あのパイロットスーツは見覚えがある……というか、ザネットが着ていたものにそっくりだ。
やはり今回結界が割られた原因は、UFO48関連……最悪の予想が当たったか。
五人は何やら話を始めたので、俺は「会話を傍受したい」と念じながら2連鎖消しをして、傍受魔法を発動した。
すると……彼らがどんな会話をしているのかが聞こえてきた。
「……なんでこんな事になるんだか。障害物処理班、ちゃんと仕事しろよな?」
「仕方ないでしょ? あの結界、私たちが通過する0.5秒前までは存在しなかったんだから。そんな不意打ちされちゃ、破壊光線の発射準備だって間に合わないわよ!?」
一人の男が不満を漏らすと、「障害物処理班」とやらだと思われる女が反論した。
どうやら俺たちは、この宇宙船が通過するほんの直前に結界を張ってしまったみたいだな。
「0.5秒前……明らかに狙ってやってやがるな。俺たちの存在を分かっていて、故意に確実に移動手段を潰せるタイミングで結界を張ったとしか思えねえ」
「『ザネットが殺されたかもしれないから、調査に出向け』なんて言われた時は、まさかあの辺鄙な星の人間にそんなことがって思ったんですけどねー。これができるなら、アイツなら死んでもおかしくないかもですー」
更に聞いていると……彼らのうちの一人の口から、ザネットの名前が出てきた。
彼らがUFO48の関係者であることは、これで間違いないようだ。
しかし……「調査」ってことは、まだザネットの死が完全にバレているわけではないってことか。
そこに関しては、死体を放置せず持ち帰ったのが功を奏したみたいだな。
とすれば、もしかしたらコイツらとは戦う必要は無いんじゃないのか?
ザネットが殺されたという明確な痕跡が無ければ、コイツらに俺たちの惑星を攻撃する理由は無いはずだし。
宇宙船が壊れたとなれば、調査もままならないはずだし……救援を呼んで帰って、出直してくれる可能性も0じゃない。
そんな期待を抱きつつ、引き続き俺は彼らの会話に耳を傾けた。
「……ったく、めんどくせえなあ。で……どうする?」
すると……ちょうど彼らは、今後の方針について話し合い始めた。
だが……彼らが取った選択は、俺も予想だにしないものだった。
「どうするもこうするも、惑星Nー227ー05Eは破壊するしかねえだろ。意図的に移動手段壊してきやがったんだぜ? こんなの、宣戦布告でしかねえ」
「だな。ここから目標の惑星までは75億㎞くらいしか無い。俺たちなら、それくらい生身でも移動できる」
「『神5』である私たちが、宇宙船を壊されましたなんて泣き言を言って救援を呼ぶなんてあり得ないものね? ザネットなんてどうせ下っ端なんだし、『急に文明レベルが上がってたので不意打ちで殺されたとしてもおかしくない』くらいの調査報告しとけば十分だわ」
「UFO48きっての精鋭部隊の意地を見せるですー」
なんと……彼らは、俺たちの惑星を破壊する方針に決めたのだ。
「Nー227ー05E」は、ザネットの任務カードに書かれていた俺たちの惑星の番号なので、間違いない。
……おいおいおい、調査報告、そんな適当でいいのかよ。
ていうかコイツら、さっきからただの偶然を宣戦布告と勘違いしてやがる。
まあそれでも、何の対策もしないまま地上に降りられてたら詰んでた可能性が高いので、比較的遠くで足止めできただけマシだが。
しかもこいつら、UFO48の精鋭部隊なのか……。
みんな揃いも揃ってプライド高そうだし、コイツら意地でも惑星覆ってる方の結界壊してくるだろうな。
結界の強度を信じ、「壊そうと躍起になって疲弊したところを一網打尽」って選択肢も無くはないが……ザネットレベルならともかく、精鋭部隊が五人となると一瞬で破壊されてもおかしくなさそうだ。
それよりは、結界には戦闘の余波から惑星を守ってくれる役割を期待して、正面からぶつかった方がまだ希望はあるか。
いや……そういう運用方針であれば、俺たちの惑星と太陽をちょうど覆うくらいの楕円結界に切り替えてもらうべきか?
惑星を守れても、太陽を消滅させられたらどっちみち詰みだし……。
俺はその辺の相談をするため、一旦ダイさんの元へ帰ることにした。





