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第74話 遠くの恒星周囲に置いてきた

 この世界の太陽は……地球にいた時と同じく、黄色い。

 そして恒星の表面温度は、黄色い星より青白い星の方が高い。

 つまり、青白い星は黄色い星に比べ、より多くのエネルギーを放っていることになる。


 このことから俺が立てた仮説は、このようなものだ。

「どうせこの魔導具を飛ばすなら、太陽の周囲ではなく、青白く輝く星の周囲にした方がいいのではないか」


 この魔道具の場合、衛星魔道具と魔力受信魔道具がどれだけ離れていようとも、魔力送受信のロスは起こらない。

 である以上、簡単な話、最初から太陽にこだわる理由はどこにも無かったのだ。


 ”ソーラー”パネルという以上、どうしても太陽光を利用するイメージばかり浮かびがちだったが……はっきり言って、この魔道具のまえでは、そんなのは余計な先入観に過ぎなかったな。

 せっかく思いついた以上は、早速実行だ。


「見た感じ、青く光っているのは……」


 俺は上下左右グルっと見回し、ぱっと見青白そうな星に目星をつけた。


 ……いい感じに見える星は見つかったが、このままだと距離感がさっぱりだな。

 どのくらいの速度で混沌剣飛行をすればいいか、ざっくりとでも分かればいいのだが……。


「プヨン、あの星って鑑定できると思うか?」


「……がんばれば、ちょっとはできるとおもうよー!」


 流石に遠すぎて無理かと思ったが、プヨン曰く「がんばればできる」みたいなので、俺はせめて距離の情報だけでも掴めないか試してみることにした。


「幻影色合わせゲーム、頼んだ」


「りょーかい!」


「頑張れば」というくらいだから、生半可な連鎖での強化じゃダメだろうな。

 とりあえず俺は試しに14連鎖消しをしてみて、その魔力を鑑定強化につぎ込んで鑑定してみた。


【恒星】

 視等級4.0の惑星。

 現在地から見える恒星の中では最も高温。

 特に名前が付けられていないため、とりあえず【恒星】と表示されている。

 現在地からの距離は約1200光年 ■


「……欲しい情報は全部手に入ったな」


 鑑定の表示内容を見て、俺はそう呟いた。


 適当に目星をつけた星がまさかの最も高温なヤツだったのは、単純にラッキーだな。

 距離が約1200光年ってことは……光速の6000万倍くらいの速度で飛べば、だいたい十分でざっくり近づけるか。


 俺は混沌剣飛行で一気に加速し、鑑定した星を目指した。



 ……そして、10分ちょい経って。


「……着いたな」


 俺は「ざっくりと近づいて鑑定、移動速度を調整してまた更にざっくり近づく」を繰り返し……目当ての恒星を周回する一番近い惑星の軌道より内側のところまで、近づいてくることができた。


 光速の一億倍まで出せる移動能力、この剣を進化させた頃はデタラメだなどと思ったものだが……こういう用途だと、結構現実的に役に立つもんだな。


「そういえばプヨン、お前もオリハルコン触媒纏ってるが……太陽とこの星で、なんか違い感じるか?」


「うーん、なんかまりょくがぶわぁぁってかんじ?」


 そんな会話をしつつ、俺は試作号でやった手順通り、一機また一機を衛星を周回軌道に乗せた。


 姿勢制御が始まり、ちゃんと稼働できていることを確認する。


「……大丈夫そうだな。プヨン、次元の地図で、誰か今次元妖と交戦中の奴を探してくれないか?」


 そして、俺は帰還するために、プヨンにそう頼んだ。

 ……この満天の星空の中、どれが太陽かなんて見分けもつかないし、「元来た方向に戻ろう」って方針で動いても、1度ズレただけで20光年は離れた場所に移動してしまうからな。

 混沌剣飛行で帰ろうとすると確実に迷子になるので、帰りはこの方法しかないのだ。


「みつけたよー!」


 などと考えていると、プヨンはすぐに交戦中の冒険者を探し当ててくれた。


「よし、じゃあ帰ろうか。……その特殊空間経由でな」


「はーい!」


 誰だか知らないが、戦闘中お邪魔させてもらおう。

 トドメを刺しちゃうとその冒険者まで宇宙の果てに連れてきちゃうので直接攻撃はできないが、補助魔法とかで支援はするのでそれであおいこってことで。


 プヨンが能力を発動すると、俺たちは揃ってその特殊空間に転移した。


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書影公開されました!
『スライム召喚無双』第一巻は8/10に、カドカワBOOKSより発売です!
イラストはともぞ様にご担当頂きました!
(↓の書影をタップすると活動報告の口絵紹介にとべます!)

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力が届くまでの時間は? 魔力の発信って光速より速いんか?
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