第58話 いざ、交戦開始
次の日の朝。
俺はいつもの平原に全員を集合させると……とある魔法の確認を行うため、まずはリーダー役の人だけにオープンカーに乗ってもらった。
彼が乗ったオープンカーが離陸した後、俺は2連鎖消しでその魔法を発動させる。
すると……彼が乗ったオープンカーは、完全に見えなくなった。
「な……消えた?」
「俺の目がおかしくなったのか? さっきまでそこにいたはずなのに……」
俺がオープンカーにかけたのは、光学迷彩の魔法。
地上に残った兵士たちの反応を見る限り、問題なく作動しているようだった。
光学迷彩の魔法を解除し、着陸してもらう。
そして再度、総員に近くに集合してもらうと……俺はこれからのことを、軽く説明することにした。
「これから始まるのは、今までのような練習ではなく実戦です。場所は、ゾグジー国との国境辺り」
「「「はい!」」」
実戦、という単語で、兵士たちの目の色が変わった。
初めての戦法だけに、緊張しているのだろうか。
「戦場までちょっと遠いので、そこまでは俺が皆さんを連れていきます。皆さんにはそれぞれ自分の馬車に乗ってもらって、そしたら俺が全員の馬車に魔力を流して動かします。なので、乗ってる間は休憩してもらって構いません」
「「「……はい!」」」
「あと移動中は、先ほどお見せした光学迷彩魔法で姿を隠して移動します。なので、移動中に敵軍に見つかったりはしないと考えて結構です」
「「「…………は、はい!」」」
説明の間……なぜか兵士たちは互いに顔を見合わせ、それに伴って若干相槌も遅れるようになってしまった。
何か分からない点でもあったのだろうか。
「質問があったら遠慮なく聞きにきてください。なければ、心の準備が出来次第搭乗してください」
俺はそう言って、説明を締めくくった。
ちなみに……光学迷彩を使う目的は、進軍中に敵に発見されるのを防ぐことだけだ。
「文明力の差での勝利」という形にしたいので、戦闘中に奇襲をかけるとかで使うつもりは全くない。
とはいえ……予定より早く発見され、警戒されるとこちらとしてもやりづらくなるかもしれないからな。
それだけは避けるようにしようというわけだ。
そして、兵士たちはというと……。
「……なあ、10台一気に魔力流すって、魔力消費エグくないか……?」
「だよな。一台でも、服からあり得ん魔力量吸われ続けてるの感じるのに……」
「流星魔獣とタイマン張った英雄って、やっぱ格が違えんだな……」
なぜか、魔力消費量を計算していた。
説明で引っ掛かってたの、そこかよ……。
かと思えば……。
「途中で馬車が姿眩ましたの、ユカタ様の魔法だったのか……」
「当たり前だろ! あんな異次元の離れ業、消去法で誰がやったか分かるだろ!」
なんか無茶苦茶な理論で推測されていた。
……ま、まあとにかく、質問があるわけじゃなさそうだな。
そう思いしばらく待っていると、全員の搭乗が完了したので、けん引開始することにした。
「プヨン、画面よろしく」
「おっけーい!」
連鎖数は、5ダブくらいでいいか?
そう必要魔力量を推測しつつ、俺は連鎖消しで魔力を生成し全員のオープンカーに流した。
今回俺がけん引することにしたのは、現場到着に時間をかけたくなかったから。
魔力供給服は、普通に操縦する分には十分な魔力を生成してくれるのだが……オープンカーのキャパをフルに使うスピードで飛ぶには、出力が足りないのだ。
服由来の魔力だと最高時速500キロくらいしか出ないが、幻影色合わせゲームで魔力を込めればキャパ限界のマッハ2くらいのスピードを出せる。
これで、サッサと国境付近に到着してしまおうというわけである。
10台のオープンカーが、勢いよく加速する中……俺はそれを、速度を抑えた混沌剣飛行で後追いし始めた。
◇
かなりの速度で移動した甲斐あって、俺たちは昼過ぎには戦場予定地付近の陣営に到着した。
移動に際し、兵士たちは特に操縦とかも行ってはいないものの……まあ飛行機に乗った後みたいな疲れは出ていると思うので、俺は全員を明日に備えて休ませることにした。
その後俺は現地陣営の人と軽く話し合いをし……そして、夜になったら俺も眠りに着いた。
そして、次の日。
いよいよ、戦いが始まる時が来た。
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あ、あと、次回更新時には表紙とかキャラデザとか、その辺公開できそうです。
そちらもお楽しみに!





