第57話 最高の戦力ができた。そして決戦だ
次の日。
集合場所に指定していた郊外の平原にて、俺は早速、十人の兵士たちの訓練を始めることとなった。
まず俺は、自分がどういう部隊を作ろうと思って召集をかけたのかを説明した。
集めたみんなにオープンカー型の空飛ぶ馬車を操縦できるようになってもらいたいこと、そして空中から敵軍に爆撃できるようになってもらいたいこと。
そんな感じのことを、俺は五分くらいで簡潔に伝えた。
次に、俺は一台のオープンカーに乗り、操縦を実演することにした。
3連鎖消しで生成した魔力を車体の真ん中の半球に流し、離陸する。
すると地上にいる兵士たちからは、「おぉーっ」と歓声が上がった。
どうせなら、テルミット・ヒドラが炸裂するところも、兵士たちに近くで見せてあげとこう。
そう思い……俺は4連鎖で円筒状の耐熱&耐物理結界を張り、その中に着火したテルミット・ヒドラを投げ込んだ。
数秒後、導火線の火が本体に移ったのか、テルミット・ヒドラからは猛烈な火を噴きながら数匹の竜が顕現した。
兵士たちが食い入るようにその様子を見つめる中……俺はオープンカーを着陸させた。
降りて兵士たちの様子を見ると……兵士たちは、結界を壊さんと必死に体当たりを繰り返す炎竜の様子に唖然としているようだった。
「なんだこの見たこともない威力は……」
「こ、この世のものとは思えない光景……」
「これが自然災害や災厄ではなく、人間が作った兵器だというのか……」
兵士たちは口々に、そんな風に驚きを口にしていた。
まあ、何度か見れば慣れるだろうし……初見の今は、炎の鑑賞に没頭させてやるか。
今説明を続けても頭に入らないだろうと思い……俺は数分間、兵士たちが満足するまで待つことにした。
そして火が消え、兵士たちが我に返ったところで。
「と、こんな感じで……あなたたちにはあの馬車を操縦し、今のように爆弾を地上に落とせるようになってほしいと思います」
俺はそう言って、説明パートを締めくくった。
そして……俺は一昨日オリハルコン錯体で染めておいた服を、各兵士に一着ずつ渡した。
「空飛ぶ馬車の操縦には、膨大な魔力が必要となるんすけど……これを着とけば、日が当たる限り無限に魔力が使えるんで、安心して乗り回してください。あ、日にあたらないと意味ないんで鎧の上から着てくださいね」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
俺が指示すると、兵士たちは素早く魔力供給服を着た。
「じゃあみなさん、一人一台ずつどれかの馬車に乗ってください」
次に俺はそう指示し、全員に馬車に乗り込んでもらった。
「そしたら早速、浮き上がってみてください。真ん中にある半球状の部分に魔力を流しつつ、頭の中で行きたい方向を念じればそちらに動きます」
そして最後に、そんな指示を出すと……全員の機体が無事浮き上がり、本格的な操縦練習が始まることとなった。
操縦練習は、かなり順調に行った。
流石に最初は各々の飛び方がおぼつかなく、事故防止のため俺が操作補助に入らなければならない場面が何度か出たが……三十分もすると、みんな統率がとれだして綺麗な編隊飛行ができるようになってきたのだ。
特に、今回集まってもらった中にいた、普段は小隊の指揮をしていたという男が非常に優秀だった。
その男はいち早く操縦に慣れたかと思うと……拡声魔法を使い、的確に全体の統率を取り始めたのだ。
彼のおかげで、途中からは何も手助けせずともただ見守っているだけで良くなった。
この分なら、早速爆撃の練習に入れそうだな。
操縦練習開始から一時間くらい経って、そう感じた俺は……全員に列に並んでホバリングさせ、テルミット弾を一個ずつ配った。
そして、
「上の紐の部分に火を点けて、地面に投げおろしてください」
そう指示を出す。
すると全員が、一糸乱れぬ動きでテルミット弾を投下し……地上では、十か所から炎の竜が噴きあがった。
ふと後ろを振り返ると……おそらく様子を見に来たであろうリトアさんが、口をあんぐりと開けたまま立ち尽くしていた。
「様子見に来たんですか? ご覧の通り、順調そのものですよ」
「ええ。それは分かるのですが……これが天災ではなく我が軍だというのが、にわかには信じられません……」
俺が声をかけると、リトアさんは空中の十機と地上の炎竜の群れを交互に見ながら、上の空な口調でそう言った。
ま、身内がそれだけ驚くなら……これを向けられる敵軍には、結構恐怖を覚えさせられそうだな。
あわよくば戦意喪失させられるかもしれない。
結構な時間続けて練習させてしまったので、俺は一旦全員に休憩を取らせることにした。
◇
午後からは、ひたすら爆弾の投擲練習をさせた。
流石に練習で実弾を使いまくるのはもったいないので……俺は一つ、練習方法に工夫をすることにした。
実弾のかわりに、同程度の重さ・形状でできた石を投げさせることにしたのだ。
もちろん、ただ投げる物を石に変えただけでは、空中にいる兵士たちからは着弾位置を確認しづらくなる。
その解消のためにも、俺はもう一工夫入れた。
何をしたかというと……地面スレスレに、衝撃を受けると発光する結界を魔法で張ったのだ。
これなら結界に石が着弾することでその周囲が光るので、着弾位置を確認しづらい問題は解消できる。
この方法で、日が暮れるまで、俺は兵士たちに練習を続けさせた(もちろん途中途中休憩は挟みつつだが)。
そして、次の日からも似たような練習メニューをこなさせ。
二週間くらいたったある日……ついにゾグジー国との境付近の兵から、こんな報告が上がってきた。
「ついに……ゾグジー国の軍が、こちらに攻め込む動きを見せ始めました。間者の報告によると……あちらの軍が国境を超えてくるのは、明後日の夕方だそうです」
報告書に目を通しながら、リトアさんはそう要点を話した。
ついに、空軍の出番がお出ましか。
初陣、しっかり結果を残して行きたいところだな。
この話を楽しんでくれたあなたへ
下の「☆☆☆☆☆」から応援ポイントを入れてくださると更新の励みになりますので、是非よろしくお願いします!
【嬉しいお知らせ】
本作品『スライム召喚無双』ですが、8/10にカドカワBOOKS様にて書籍化が決定いたしました!
イラストレーターはともぞ様です。
キャラデザとか表紙とか、また追ってご紹介いたしますのでお楽しみに!





